TVアニメ『Re:ゼロ』音楽担当のイケメン作曲家が仕事への熱意を語る「こういう作品に携わりたいと常々思っていた」
「こんな作品の仕事がしたくて作曲の仕事を始めた」Re:ゼロ劇伴作曲について
大森:
去年の話題作のRe:ゼロのお話をお伺いします。
末廣:
本当に幅のある作品なんですけど、世界観は王道ファンタジーという枠に収まる作品で、まさにこういうジャンルの仕事がしたくて作曲の仕事を始めたような作品でした。常々こういう作品をやりたいと思っていたので、待ってましたという感じでした。
大森:
Re:ゼロの渡邊政治監督が末廣さんの曲を使った作品を見てオファーされたんですよね。
末廣:
渡邊監督は僕個人を知らずに音楽だけを聞いてオファーされたので本当に嬉しかったです。しかも自分のやりたい作風でやらせていただけました。
監督は打ち合わせで「ここはモリコーネ【※】みたいな曲が欲しい」とか「ここはクラシックのあんな感じの曲が欲しい」とかリクエストが的確で、説明もすごく熱いんです。打ち合わせだけで作品のエネルギーが流れ込んでくる熱い方でした。
※モリコーネ
エンニオ・モリコーネ。イタリアの作曲家であり映画音楽で特に知られる。2016年、『ヘイトフル・エイト』の音楽で第88回アカデミー賞作曲賞を受賞。
大森:
あともうひとつ、音響監督の明田川仁さんとの出会いがありましたよね。
末廣:
そうなんです。明田川さんとは7年ぶりにまたお会いすることができました。「ご無沙汰しております。以前待ち時間にお話させていただいた末廣です」とご挨拶したら「廊下でしゃべったあの子か!」と覚えていただいていて、めちゃくちゃ嬉しかったです。無事、劇伴作家になれましたと報告ができました。
大森:
ミラクルが繋がっていますね。
末廣:
これがきっかけで10月から放送されるアニメ『少女終末旅行』でも明田川さんと、またお仕事ご一緒させていただきますね。
Re:ゼロで一番大変だった曲「こういうまがまがしい曲を作るのは得意」
大森:
Re:ゼロでは合計で60曲ぐらい劇伴を作られましたが一番難産だった曲があるらしいですね。
末廣:
どれも難産ではあったんですが、一番は『絶望と贖罪のヒュムネ』という曲ですかね。
大森:
ヒュムネとは何語ですか。
末廣:
ドイツ語で賛美歌という意味で、曲名をつけるときに世界観を崩さない曲名を考えているんですが、ひどい残酷なキャラクターが出ているときに流れる曲なのでそのキャラクターが神々しく思えるような曲名をつけました。
大森:
すごく映画チックで壮大な曲ですよね。
末廣:
監督からの要望でアニメを意識しないで作って欲しいと言われました。だったらハリウッド映画に使われるような手法でと思い、メロディアスではあるけど迫力ある感じで作りました。
木本:
和音がややこしくて疲れたと仰ってますが(笑)。
末廣:
譜面を作っていても音符が多いのでややこしいなとは思っていました(笑)。とにかく物量が多くて時間がかかりましたね。
木本:
こういうまがまがしい曲を作るときってどういうテンションで曲を作っていますか。自分もまがまがしくなってしまいますか。
末廣:
僕もまがまがしい作品の方がもともと好きなので(笑)。怖いところとか人間のドス黒い部分を音楽的に表現するのは得意ですね。作るのは音符が多くて大変なんですけど、モチベーションが上がって楽しいですね。普通のドラマにはこういう曲はないですから(笑)。