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1ml注射で脳死、1滴たらすと心不全…“猛毒ガス”の恐怖とは。第一次世界大戦や要人暗殺で使用された毒ガスを解説

 今回紹介する、おねカナ不思議旅さんが投稿した『絶対に使用してはいけない世界の危険猛毒ガス【VOICEROID解説】』では、音声読み上げソフトを使用して、猛毒ガスについて実際に使用された例を挙げながら解説していきます。

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たった1滴で心不全で死に至ることも

お姉さん:
 世界と日本には、毒、可燃性、火山などの様々なガスが存在しますが、ガスは英語で気体の総称を意味し、エアロゾルつまり霧状のものをガスと呼んでいるのよ。

カナ:
 ガスってなんだか吸えない毒ってイメージがあるよ。

お姉さん:
 違うのよ。ガスには酸素ガスや窒素ガスなどの圧縮ガスもありますし、山や海上にある霧もガスと呼ぶことがあるので、気体の総称よりも限定された言葉ではないみたいなのよ。今回は猛毒ガスについてご紹介いたします。最初に紹介するのは、ノーベル化学賞を受賞し、化学兵器の父と称されているほどの人物、フリッツ・ハーバーによって開発された人類初の化学兵器、塩素ガスについてご紹介します。

 塩素ガスは、第一世界対戦中の1915年、ナチスドイツにより使われていた毒ガスで、1リットルあたり50mgの濃度であれば呼吸器系に作用するため、喉の灼熱感や窒息感が起き、喀血肺水腫を起こします。

 さらに1リットルあたり400mgであれば、30分程度で死に至るとされ、1gであれば即死するほどの危険なものなのよ。塩素ガスは空気より重く、下に溜まる性質があり、地上にいる限り穴を掘っても逃げられません。その結果、第一次世界対戦ではこの塩素ガスによって連合軍側に1日で5000人の死者が出たと言うほど危険なものなのよ。

カナ:
 第一次世界対戦って、そんなに毒ガスが使われていたの?

お姉さん:
 そう、毒ガスが驚異的なものだと気付いた連合国は、塩素より協力な毒ガス、ホスゲンで報復。ドイツ側はイペリットと呼ばれるマスタードガスでやり返すといった具合に、大規模なガス戦争が起こったのよ。  

 この戦いで毒ガス開発者フリッツ・ハーバーに向けてアインシュタインや妻クララは言いました。「君は科学的才能を間違ったことに使ってますね」「あなたは毒ガスによって科学を捻じ曲げているのよ」。こうしてドイツ軍と連合国側によって、大量に毒ガスが使用された第一次世界対戦ですが、なんと10万人の死者が出て、戦いのあったベルギー西部イーペルでは、100年たっても白骨化死体が出てくるらしいのよ。

 では最後に紹介するのはロシアが1971年から1993年に開発したVXガスの約8倍の殺傷能力と言われているノビチョクについてご紹介します。

カナ:
 VXガスって科学で使ってた気がするけどどうなんだろう?

お姉さん:
 VXガスは記憶にも新しい金正男暗殺事件。オウム真理教による会社員VX殺害事件で使われていたように、殺傷能力が非常に毒ガスなのよ。実はVXガスは油のような液体で揮発性が少なく、注射あるいはエアロゾルという霧状にして使用されるのです。

 このVXガスの殺傷能力は皮膚に浸透し、死に至らしめることができる成分に近いため、水で洗っても取れないとされ、たった1mlを注射しただけで脳死状態になった事例があるほど強力なものなのよ。

カナ:
 でもなんでVXガスで人が死ぬんだろう?

お姉さん:
 人の神経にはアセチルコリンという神経伝達物質が流れており、そのアセチルコリンはあまり流れないように アセチルコリンエステラーゼというもので抑制されています。VXガスが体内に入ると、このアセチルコリンエステラーゼが機能しなくなり、過剰にアセチルコリンが流れた結果、神経伝達に異常が起こり、心臓肺肝臓など様々な機能を失うことで死に至るとされているのよ。

カナ:
 そんな少しのことで人って死ぬんだね。じゃあ、ノビチョクはどのくらいなんだろう?

お姉さん:
 ノビチョクは、超即効性の毒薬で、1滴だけ皮膚につけば2分経たないうちに倒れ、心不全死に至り、解毒剤にアトロピンがあるのですが、現実的に倒れるまでの時間でアトロピンを打つことは難しいとされているのよ。では、2020年にノビチョクが使用された事例がございますので、ご紹介しますね。

 2020年8月20日、この日 ロシアの政治活動家アレクセイ・ナワリヌイさんは、モスクワに向かう途中、旅客機内で苦しみ叫んで倒れ込み、意識不明の重体になり、オムスク病院に緊急搬送されました。

 夫人の強い希望が叶い、ドイツ病院シャリテ病院に移送され、その後ドイツの医師により、ノビチョクを裏付ける疑いのない証拠が見つかったと発表しているのよ。

カナ:
 ロシアじゃなくドイツでノビチョクが見つかったってどういうことだろう。

お姉さん:
 実はナワリヌイさん、2010年から反政府デモに参加など、反政府活動をしていた方で、2012年にはアメリカタイム誌に世界で最も影響力のある100人にも選ばれ、さらに政府に対する曝露動画を出せば、1億回再生されるほどの影響力を持っている方なのよ。

カナ:
 ということは?

お姉さん:
 ナワリヌイさんが毒を盛られたのは、現ロシア政府の可能性が示唆されているのよ。ロシア政府は関与を否定しておりますが、2006年にはアンナ・ポリトコフスカヤさんが自宅付近で何者かに射殺されたり、2015年ロシア政府に向けてウクライナへの軍事介入反対デモを呼びかけていた政治家、ボリス・ネムツォフさんも帰宅途中に6発の銃弾のうち背中に4発受けて死に至っているのよ。

 今回ナワリヌイさんは解毒薬アトロピンを打って、奇跡的に容態が回復したそうですが、毒ガスは助かったとしても後遺症がひどく、兵器の中でも最も非人道的なものですので使われない社会にしたいものですね。

 ほんの少しの量でも死に至ってしまう、恐ろしい毒物。現代にもこのような脅威が未だ身近に存在し続けていることを認識しておかなければいけませんね。解説をノーカットでご覧になりたい方は、動画を視聴してみてください。


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絶対に使用してはいけない世界の危険猛毒ガス【VOICEROID解説】』

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