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カラー・ドワンゴ・麻生塾によるアニメ・CG制作会社【スタジオQ】が福岡に設立。「業界の人材不足問題を解決したい」会見で語る

交通アクセスが良い “コンパクトシティ” 福岡

西田:
 福岡には、どういった魅力を感じましたか。

川上:
 最初は海外に行くべきだと考えて、タイにスタジオを作れないかとトライしてみました。その中で、長期的なことを考えた時に、やはり日本でやった方が良いという結論になりました。福岡という選択は、本質的にはご縁があったということです。

西田:
 それは麻生塾さんであったり、福岡市であったりするのでしょうか?

川上:
 そうです。今日も高島市長に来ていただき、明確な支援をしていただけるのが、凄く良かったと思います。

西田:
 福岡市には、このお話はどのタイミングで来たんでしょうか。

髙島:
 最初の構想段階でお話をいただきました。福岡はコンテンツ、知識創造型産業の集積に力を入れています。川上さんと庵野さんが手を組んで、麻生塾と一緒になって素晴らしい一流の人材を輩出していただけることは、福岡からすると、喉から手が出るほど欲しいものです。

 ここで、なぜ福岡なのかということですが、プレゼン資料を用意しておりますので、そちらを使って説明いたします。まず、通勤通学時間で言うと、全国で最も短い時間で通うことができます。

髙島:
 とにかくコンパクトシティなのです。例えば、空港と駅と港がすべて半径2.5km以内にある都市は、アジアを探してもなかなか無いのです。オフィス家賃、家の家賃も東京の6割くらいです。

西田:
 出張で来る立場からしても、空港からすぐ行けるので、とてもありがたいです。

高島:
 そうでしょう。東京は海外に行くのが本当に大変です。福岡は空港から天神まで10分。海外20都市にもすぐに行けます。

髙島:
 福岡のゲーム関連産業は、10年間で企業数は約3倍、従業員数は約4倍になりました。ゲーム会社のレベルファイブさんも頑張ってくださって、ゲームだけではなく、アニメの『妖怪ウォッチ』も福岡で作り、東京、さらには世界へという良い前例となっています。クリエイティブ関連産業の伸び率は、日本の政令都市の中で一番高いのです。

川上:
 改めて福岡に来て良かった
と思います(笑)。福岡は飛行機で来やすく、空港の便は最重要だと思います。日本の地方都市の多くは活気がないけれど、福岡は東京より元気なのではないかと思います。
 
地方に拠点を作るのは、僕らにとっても冒険です。成功させようとすると、僕らも福岡に何度も来なければいけない。そういう意味でも、僕らが何度も来たくなる土地だというのは重要です。

行政、産学連携、それぞれの役割

西田:
 今、この業界に必要とされているスキル、テクノロジー、考え方はどんなものでしょうか。

庵野:
 アニメーションに関わるスキルで唯一必要なのは、「映像、アニメーションが好き」ということだけです。逆にいうと、好きじゃないと続かないんです。
やる気がないとやっていけないところがあります。でも、「創ること」は面白いのです。

 具体的な今後は、集まった人材を見て決めていこうかなと思っています。

西田:
 人材を育成する機関の立場から麻生さんはどう思われますか。

麻生:
 僕が一番衝撃を受けたのが、韓国企業のNAVERさんです。企業が学生の育成を率先してやっていることに驚きました。日本にはそういう機会が少ないのです。教育機関が企業と距離を縮めてやっていかないと厳しいのではないかと感じています。

髙島:
 行政からも言えるのですが、これからは雇用を作らなければいけない。そして、より成長性の高い分野に投資したいのです。

 たとえば、子どもたちにアニメーションを作りたいという憧れがあったとしても、親の世代が「具体的なゴールが見えないから」という理由でブレーキをかけます。ですから、親世代も知っている作品を送り出している会社が一緒にやっているスタジオQが出来るということで、そういった親世代への訴求力もあると思います。

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