ゲーム『ウマ娘』で制作済みの音楽をほぼ全曲作り直すことになった理由とは? まるで”ウマ娘2″を作るように──「うまぴょい伝説」から始まった楽曲制作5年間の歩み
ウマ娘はアイドルではなく女子プロレス?
──内田さんと言えば、『アイドルマスター』や『アイドルマスター シンデレラガールズ』など、アイドルの歌唱曲を数多く手掛けられてきた印象が強いです。『ウマ娘』に関してもアイドルソングに強いということでの抜擢だったのでしょうか。
内田:
いえ、アイドルソングというよりも、どちらかというとキャラクターソングやアニメの音楽プロデュース、それに付随する歌収録ディレクション、イベントの音楽監修等を多く手掛けてきた実績からかと自分では思っています。
本田:
ゲーム会社にずっといると歌を作るタイミングって少ないんですよね。とくに声優さんの歌収録をしっかりできる方ってじつはあまりいないんです。
──声優さんの歌収録って、いわゆるキャラソンがメインになってくると思うのですが、やはり違うものなんでしょうか。
内田:
もちろん基本的、基礎的なところは共通の部分が多いです。それに加えてキャラクターソングの歌収録では、地声との音域の違いだけではなく、このキャラクターならこの曲はこう歌うとか、この歌詞だったらこういう表情を付けるよねなど、セリフを収録するような演技感や表現を伴った歌唱スキルが必要になってきます。
本田:
言葉に表情をつけて歌ってくれるんです。あらためて声の職人なんだなと尊敬してしまう。
内田:
ですので、僕らのやるべきことは、どうすれば活き活きとした血の通った歌になるのかを、キャストさん方々といっしょに考え共通認識を深めてディレクションを進めていき、ベストのテイクを収録する、そのお手伝いをすることだと、そう思っています。
本田:
内田はディレクションの仕方がわかりやすかったり、伝える際の表現が圧倒的にうまいんですよね。
内田:
確かに伝えかたというのは意識しているポイントではあります。同じ曲でも違うキャラクター、違うキャストさんでディレクションの仕方は当然異なってきますので、良いレコーディングになるよう、そのあたりは柔軟に対応しています。
──歌収録ディレクション、イベントの音楽監修等のキャリアからと。失礼しました。てっきりアイドルソングのノウハウを持つからだと。
本田:
ウマ娘たちはアイドル的な人気はあるけどアイドルとは違うとは思うんです。プロジェクトスタート当初、チーム内で企画の話を聞いたことがあるんですが、そのときは昭和の女子プロレスに近いと感じました。
──えっ!? 女子プロレスですか?
本田:
はい。ビューティ・ペアやクラッシュギャルズって知っています? 昔の女子プロレスは試合の合間にリングでライブステージをやることがあったんです。ウイニングライブの立ち位置としてはそれが近いのかなと。
内田:
確かに“女子プロレスみたい”と説明を受けたことがあり、「なるほど」とは思いました。
「最高のコンテンツ」を目指して音楽にも妥協しない
──以前、リアルサウンド掲載のインタビュー【※】で、「ゲーム内BGMに関してはアウトソーシングしていたが『プリコネR』ではより良いものを作りたい」と、途中から社内のサウンドチームが関わるようになったとおっしゃっていました。
今回の『ウマ娘』でもお話を聞いている感じ、がっつり社内サウンドチームが関わっている体制だとは思うのですが、実際のところどうなのでしょう。
※『プリンセスコネクト!Re:Dive』楽曲はなぜ充実? サウンドプロデューサー本田晃弘に聞く(2018年9月26日掲載)
本田:
おっしゃる通り、『ウマ娘』も『プリコネR』と同様の体制です。『プリコネR』と異なる点としては、『プリコネR』リリース時の社内音楽担当は僕ひとりだけでしたが、今は多くの社内スタッフが関わっており、業務の細分化ができたことにより効率的に開発に関われるようになりました。
──ふむふむ。サウンドチームが関わることで、具体的にどのような利点が生まれるんですか?
本田:
大きな強みとしては、企画全体を把握したうえで細かいすり合わせをしつつ制作できることです。
外部の方にも、あり得ないぐらいのご尽力をいただいていますが、どうしても企画の全容をお伝えすることは難しいですし、打ち合わせやリテイクについても無制限にお願いするわけにはいきません。
それに対して内部で作る場合、ゲームの始めから最後まで、全体の流れや構成、演出を見られるわけじゃないですか。そこからトライアンドエラーを多く繰り返せるというのは大きいメリットです。
内田:
距離感が近い状態で制作に取り掛かれますよね。
本田:
そうですね。自分でゲーム全体を見たり体験しているので、ゲームを作るうえでのコミュニケーションの齟齬が発生しにくくなるのも大きいです。
──そういえば「『ウマ娘』は音楽にもこだわっている」とお聞きしていたんですが、タイトルとして音楽に力を入れるようになった経緯って何かあるんでしょうか。
本田:
『ウマ娘』に限らず、Cygamesには「最高のコンテンツを作る」というビジョンがあり、“音楽”に関しても妥協しないというのがあります。
内田:
サウンド部の人数も増えましたよね。僕が入ったころはまだ全然人数も少なくて、ほとんどはサウンドデザインや組み込みのスタッフで、楽曲を作れるのは本田と僕くらいしかいなかったのかな? そこからより良質な音楽を作っていこうと人を集めていって。
本田:
BGM関係だけで18人まで増えましたね。『ウマ娘』担当に限ってもリリース直前では音楽チームスタッフの8割は関わっていたので、そういう意味では音楽に対する意気込みは強いと言えるかもしれません。
──“『ウマ娘』だから音楽にこだわる”ではなく、“最高のコンテンツを作るために音楽にも妥協しない体制に”ということですね。ふむふむ……ちなみにおふたりにとっての「最高のコンテンツ」ってどのようなものなのかお聞きしてもいいですか?
本田:
僕の場合、天邪鬼な、ないものねだりが根本なんです。どれだけすばらしいゲームをプレイしたり、コンテンツに触れたりしても、「ここはもう少しこうできたんじゃないか。もっともっとよくすることはできたんじゃないか」って思ってしまう性格なんです。自分の作ったものに関してもそうです。
もちろんパーフェクトというのは無理な話ですし、技術革新が起きるたびに可能性が広がっていくわけです。その中で自分の求めるものを追い続ける。それが自分の中での「最高のコンテンツ」ですね。そういうのってすごい楽しいなと。
──なるほど。追い求める先なんですね。内田さんはどうですか?
内田:
僕の場合は、当たり前のことではあるのですが、最高のコンテンツはみんなで作り上げていくものだと思っています。
自分の担当する領域の中できっちりとひとりひとりがベストを尽くす。もっと改善できないか、まだ工夫できるところはないか、と常に考えながら業務にあたる。
現状に満足せず細かなところまで気を配り、そのひとつひとつの積み重ね、「もっとより良いものを」という想いの集合体が「最高のコンテンツ」になってゆくのではないかと。
本田:
大事なことですよね。この世には僕のように隙があればサボることを考えている人だっていないわけじゃないですから(笑)。
内田:
当然近道などなく、本当に日々の努力の積み重ねしかないと思っている。その先に最高があるのかな、と。
本田:
みんながそれぞれの最高が違うので、ひとりひとり自分がユーザーだったらこれが最高だと思うものをやろうと。「最高のものをやりたい」という意思がしっかりあれば、ダメとは言わないのは全体の雰囲気としてありますよね。
内田:
良い循環ができていますよね。まわりのがんばりに影響されて自分もがんばろう、足を引っ張ったら恥ずかしいぞ、と。
本田:
本当にそう。今回の「キャラクターが3Dで生き生きと動くようになって、絵がすごくよくなった。だからBGMも変えよう」もまさにそうで。
きっと僕が知らない範囲でもそういう動きがたくさんあると思うんです。そういうお互い研鑽と言えばいいのかわからないですが、相乗効果で良いものに向かって作っていくんだと。みんながそれぞれ「最高」を目指している。そう信じて制作に取り掛かっています。
リモート環境になって楽曲制作に影響は?
──去年の今くらいの時期から新型コロナウイルス感染症により、ゲーム開発環境的にも変化が大きい1年だったと思います。実際に音楽制作において影響はどうでしたか?
本田:
BGM制作チームに関してはとくにないですね。
内田:
マジですか。
本田:
BGMの制作は自宅でもできるので。好きな飲み物は冷蔵庫にあって、タバコを吸う人はその場で吸えて、休憩する際にはベッドで横になれるし、なんせ通勤の往復がないのが大きい(笑)。むしろ自宅のほうが音楽の制作環境としては快適かもしれません。
内田:
それは確かに。ただ、楽器収録は影響があったんじゃないですか?
本田:
影響としては、やはり集まって録音というのができなかったので、それぞれが自宅で録音した音をまとめてガッチャンコするかたちに移行したときはあります。ただそれ自体も協力していただいた皆様のおかげで音楽が破綻することはなかったので、影響としては少なかったですね。
──歌収録に関してはどうだったのでしょう?
内田:
歌収録に関してはかなり影響を受けましたね。それまで毎日のように組まれていた収録でしたが、2020年3~6月は全てストップさせざるを得なかったです。
現在では、スタジオに入る人数を最低限に制限して、オンラインでチェックができる環境を整えたり、もちろん毎日の検温や換気と消毒等の基本的な対策もしっかりしたうえで、収録に取り組めているのですが、一時期はリモート環境に移行するための試行錯誤もあって、苦労する部分はありました。
──では現在では影響なく音楽制作が可能と。そういえば、ライブイベントも精力的に展開されてきましたが、このご時世だとなかなか難しい部分もありそうですね。
内田:
そうですね。キャスト陣や来ていただけるトレーナーの方々、関係するスタッフの健康を第一に考えるとやはり難しい状況ではあります。ただライブイベントを開催したい気持ちはもちろんありますので、配信も視野に入れつつ、進めていければと考えています。
本田:
ライブか……僕はお客さんとして見たいですね。
内田:
いつもお客さんと同じスペースで見ていますもんね。
本田:
そうそう。スタッフパスをつけてるからスタッフだと勘違いされやすくて、席の場所を聞かれたり、トイレの場所を聞かれたりするんですよ。
──すごい(笑)。なぜそこまでしてお客さんのスペースに行かれるんです? スタッフ用の席がありそうなものですが。
本田:
普通は会場のあらゆるところに移動してステージを見たり聞いたりすることってできないですよね? それをすることによって、いろいろな感じかたや気づきがあったりして、後の制作に活かせることって多いんです。
関係者席だと目の前で盛り上がっているお客さんを見ることは難しいですし、何よりも熱の近さが違うので。
『ウマ娘』の音楽はジャンル関係なく何でもあり
──『ウマ娘』全体における音楽のテーマってなにかあるのでしょうか。
本田:
いえ、『ウマ娘』に関してはジャンルを絞っていないんです。
『ウマ娘』は学園とレースが舞台になるので、魔王とのボス戦もないですし、剣で斬りかかったり魔法も使いません。そのような作品でコンセプトをガッチリ決めてしまうと、音楽の幅を狭めてしまう。
ですので、ゲームにあえば何でもあり。もちろんユーザーさんが楽しんでもらえるのが大前提で。
──なるほど。
本田:
ゲーム音楽の制作は、ある程度のコンセプトをかためて、それを軸に作っていくのが基本なんですが、スマホゲームの場合はじっくり何時間もプレイする機会ってあまりないじゃないですか。短時間でこまめにプレイする人もいたり。
だから、ゲームにさえあっている音楽だったらどんなジャンルでもいいんじゃないかと思っているんです。
内田:
でも端から聞いていると、何でもありと言いつつ、個人的に「本田テイスト」みたいなのは感じてはいるんですよね。
──本田テイストというのは?
内田:
ざっくりな表現になるんですが、上質感がありつつも綺麗にまとまり過ぎず、そして音像が大きいんです。楽器数を多くとって、全体の音をしっかり理に適ったものに仕上げてくる。
恐らくディレクションの段階で徹底しているんだと思うんです。全体的にしっかり方向性が統制されているので、曲調が大きく違ったとしても、作品全体として一本しっかりとした筋が通っている。
本田:
それは、ジャンルを決めていないことで、絵合わせや演出、ゲームの展開に合わせて作っているからかもしれません。だからこそ、場面によってはあえてふざける方向全開な曲を作ることだってあります。
内田:
でもそれって大事なことですよね。場面に応じてそれに沿ったBGMを作るという基本だけども何気に簡単ではないことを押さえつつ、しっかりと行き届いたBGMが入っていると。そういう印象です。
本田:
レースまわりのBGMもかなりこだわっていますね。レースごとに距離が違って、前半、後半で2曲にわかれているのですが、ゴールと同時にジャーンと終るように工夫してゲームに実装していたり。
内田:
レースパートの実装メンバーに話を聞くとおもしろいことがたくさんありますよ。実況をはじめ、いろいろとこだわってるんです。
本田:
そうそう。担当しているフランス出身スタッフのこだわりが際立ってるんです。ぜひ機会があったらお話を聞いてほしい。
ウイニングライブは最高に胸が熱くなる瞬間
──演出として“脇役”の音楽に徹しているBGMに対して、歌楽曲についてはウイニングライブという“歌を楽しむ”コンテンツがありますし、ある意味“主役”の音楽になりますよね。
内田:
そうですね。ただ確かにウイニングライブでは音楽が主役ではあるとは思いますが、やはり、ライブ演出あってこそです。この歌にはこんな映像があって、こういう表情がつくというのをキャストさんに伝えつつ、映像演出と歌が合致したものを届けられるように意識して作っています。
基本的に、それぞれのレースに紐付いている楽曲は、そのレースに縁のあるウマ娘たちの歌が実装されています。着順によって立ち位置と歌い分けも変わるので、そのあたりもぜひ楽しんでいただければ。
──『ウマ娘』の場合、リリース前から発表されている曲もありますが、ゲームで初めてお披露目される新曲も期待していんでしょうか。
内田:
はい。新曲のGⅠレース楽曲は、それぞれのレースを意識して制作しています。例えばクラシック三冠曲の「winning the soul」では『速さ』、『運』、『強さ』を歌詞に入れ込んでもらいつつ、一生に一度だけの挑戦だったり、だからこそ感じるとてつもないプレッシャーを曲に反映してもらいました。
また既存曲に関しても、メイクデビュー戦のようにフレッシュなレースではアニメ第1期のOP主題歌「Make debut!」を使用するなど、そのテーマにマッチする選曲をしております。
──新曲あり、既存曲あり、歌い分けありとなると、歌の収録数もすさまじい数になっていそうです。
内田:
本当にキャストさん方々には多くのご協力をしていただきました。また実装の都合上、ひとりひとりのソロミックスTD(音量や音質調整)を行う必要がありますので、担当のミキシングエンジニアは相当苦労があったかと思います。
「うまぴょい伝説」「Make debut!」のようないわゆる“全体曲”に関しては全ウマ娘分、GⅠ曲に関してはさすがに全ウマ娘とはいかないのが心苦しくはあるのですが、平均5、6キャラほど収録しておりますので、そのあたりもぜひ実際にご確認いただければと思います。
本田:
企画を聞いた最初の段階では「レースで走ってライブで歌うってどういうこと?」と、頭にクエスチョンマークが浮かんでいたんです。意味がわからなくて。でも、今では逆にレースの後にウイニングライブがないと物足りないと感じてしまう自分がいるんですよね。
──もうウイニングライブがないと満足できない身体に……。
本田:
ただ、『ウマ娘』の場合、自分が育てたウマ娘がレースで勝つことにより、センターで歌えるようになるわけなんですが、レースの前には育成パートがあります。
また、難易度の高いレースに出走することで見られるウイニングライブもある。最初から簡単にたどり着けるかというとそうではないんです。
内田:
チェックも兼ねて僕自身もプレイはしていますが、なかなか手応えありますよね。
本田:
途中まではスムーズにいけるんですが、だんだんと難しくなってきて……。とくに「うまぴょい伝説」をウイニングライブで見るのって、かなりやりこまないと難しいと思います。
──「うまぴょい伝説」がURAファイナル優勝時のウイニングライブというのも原点にして頂点って感じがして好きです。このウイニングライブってゲーム的にはご褒美のようなものであるという認識であっていますか?
内田:
そうですね。ご褒美的なものだと考えていただいて間違ってません。
というのもあって、育成しているうちに不思議と自分の担当しているウマ娘をセンターで歌わせてあげたいと思うようになってくるんです。
本田:
いっしょにがんばって、レースで勝って、ウイニングライブで歌っている姿を見ると、トレーニングに励んだことや、いっしょに過ごした日々が脳裏に浮かんで胸が熱くなってくるんですよ。
──思い出がギュッと詰まった時間でもあるんですね。
内田:
そう考えると、ゲーム内の「ライブシアター」ではいつでも好きなときに獲得した楽曲のライブを任意のウマ娘と衣装で視聴することができるので、うれしい機能かもですね。
──あ、それはうれしいと思います。既存曲も多く、ゲームでの新曲、ウマ娘ごとの歌い分けを実装と、音ゲー顔負けの楽曲数になっていると思うんですが、逆にここまでやって「なんで音ゲーじゃないのか?」と不思議に思う部分が……。
本田:
それは言わないでください(笑)。
内田:
逆に音ゲーではないからこそ、僕自身が楽曲制作まわりの監修だけでなく、ウイニングライブのサウンド実装に深く関わってこだわることができた、という面もあるかと思います。
音ゲーですとどうしても定期かつ継続的に新曲を投入していく必要があり、そのために必然と楽曲制作プロデュースに集中することになって、ゲーム実装部分に関してはお任せになってしまうと思うのです。
その点、『ウマ娘』では映像演出チームやサウンドデザインチームとしっかり連携を取りつつ、着順による歌い分け実装部分の追い込みやバランス調整、ライブ音響まわりにしっかりと時間を割くことができました。
ゲームと音楽、一体となってユーザーの感情を揺さぶれるように
──気づけば2時間30分近くお話させていただいて……お忙しい時期なのに。
本田:
いえいえ。内田はCD発売も含めていろいろ動いているからこれからが本番って感じですよね。
内田:
そうですね。CDリリースが控えているので、そのマスタリングやらハイレゾ【※】配信まわりの音源チェック、ブックレットの確認やら、リリースイベントの準備とかですかね。ゲームがリリースされても、ある意味そこがスタート地点ではあるので、ありがたいことではありますが、まだまだ僕は忙しさが続きそうです(笑)。
※ハイレゾ……CDと比べて高解像度な音源。
──もう長々とすいません! でも音楽を軸にしつつ、脱線しつつ、いろいろなお話がお聞きできて楽しかったです。僕自身もそうですが、これから音楽に注目してプレイされるユーザーも増えるのではないかと思います。
本田:
本日これだけ音楽のことをお話させていただいたうえであれなんですが、BGMのことは意識せず、何も考えずにゲームを楽しんでいただけるとうれしいです。
BGMを作っている立場ではありますが、僕個人としてはゲームを純粋に楽しんでいただきたい。そのうえで、「あれ?全然気にしてなかったけど、もしかしてBGMも良い?」と思っていただけたらありがたいのですが、あえてBGMに注目してほしくない想いがあります。
内田:
すごい真面目。
本田:
音楽担当が言うことじゃないですよね。コンテンツディレクターが言うことを言ってしまいました(笑)。
──ゲーム内のBGMを担当されている本田さんだからこその想いなのかなと。
本田:
そうかもしれません。ただ、歌は歌として独立したコンテンツの楽しみになっているので、歌に関しては違うと思います。
内田:
でも歌も同じですよ。ウマ娘たちといっしょに喜んだり、感動したり、その一端を担えればうれしいなと。
歌唱曲を担当している身としては、歌にはストーリーや世界観にさらなる広がりと深みを与えてくれる力があると常々思っていますし、そのような楽曲をお届けできるよう日々尽力しております。
そして音楽だけ、ゲームだけではなく、それら一体となってユーザーさんの感情を揺さぶれるように。そんな歌を意識して今後も楽曲を制作してまいりますので、『ウマ娘』の楽しみのひとつとして感じていただけたらうれしいです。
──本日はありがとうございました!(了)
『ウマ娘』楽曲制作において、もともと制作済みだったBGM約30曲をゼロから作り直すことになった理由──それは、開発が進んだことでゲームとしてのクオリティーが上がったから。そのクオリティーに音楽が追い付けていないと感じたからであった。
技術の進化によりキャラクターが3Dでより生き生きと動くようになった。だからBGMもそれに合うように作り直そう、と。
言葉にするのは簡単だが実際に行うのは想像以上に大変なことだったはずだ。
内田氏は語る。
自分の担当する領域の中できっちりとひとりひとりがベストを尽くす。もっと改善できないか、まだ工夫できるところはないか、と常に考えながら業務にあたる。現状に満足せず細かなところまで気を配り、そのひとつひとつの積み重ね、「もっとより良いものを」という想いの集合体が「最高のコンテンツ」になってゆくのではないかと。
本田氏は語る。
きっと僕が知らない範囲でもそういう動きがたくさんあると思うんです。そういうお互い研鑽と言えばいいのかわからないですが、相乗効果で良いものに向かって作っていくんだと。みんながそれぞれ「最高」を目指している。そう信じて制作に取り掛かっています。
音楽に限らず、シナリオ、グラフィック、ゲームパートetc……それらすべてが丁寧に作りこまれているからこそ、『ウマ娘』はこれほどまで人気を集めているのだろう。
そんな『ウマ娘』であるが、2月24日にリリースされ、運営型ゲームとしてはまだスタートラインにたったばかりな状況だ。これからゲーム内外含めてさまざま施策が展開され、ユーザーたちに「最高のコンテンツ」を届けてくれるに違いない。『ウマ娘』のこれからが楽しみだ。
ただ、テンポよく遊べる育成シナリオ、ウマ娘たちの掘り下げがたまらないストーリーパート、ついつい眺めてしまうレースシーン、豪華すぎるウイニングライブ、『ウマ娘』をプレイしていると時間があっという間に溶けてしまうのが困りどころである……。
© Cygames, Inc.
■『ウマ娘 プリティーダービー』WINNING LIVE 01は3月17日発売
収録楽曲
01.GIRLS’ LEGEND U
02.NEXT FRONTIER
03.本能スピード
04.はじまりのSignal
05.うまぴょい伝説
06.ドラマ「夢への一歩」
[Bonus Tracks]
07.GIRLS’ LEGEND U (Game Size)
08.NEXT FRONTIER (Game Size)
09.winning the soul (Game Size)
10.本能スピード (Game Size)
11.はじまりのSignal (Game Size)
12.うまぴょい伝説 (Game Size)