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約4か月弱の「失敗と挫折」を繰り返しながら“古代文明風ギア”を作った男の軌跡

 今回紹介するのは、え付けの紙はさん投稿の『工作初心者が古代文明ギア(歯車)っぽいモノを作る』という動画です。

投稿者メッセージ(動画説明文より)

工作経験ゼロ、美術経験ゼロ、機械経験ゼロ、通知表オール3だった男が
デザインナイフや筆、しまいにはエアブラシなんて生意気なモノを手にしてしまう動画

作業中、「古代文明の歯車」ならば、エジプトよりマヤ文明の方が雰囲気が合っていると感じたが、マヤ文明の文字や絵は難しそうだったので、必死にエジプト文明も合っていると自分に言い聞かせていた


 モノづくり。それは誰しも一度は「あんなものが作りたい!」「こんなものが作りたい!」と思いながらも、想像と現実のギャップの前に制作を諦め、心が挫けた人も多いのではないでしょうか。

 そんな中、投稿者の「え付けの紙は」さんは、挫けぬ心で「古代文明風の歯車」を制作し、その様子を動画で紹介しました。制作にかかった期間自体は約1週間なのですが、確立するまでになんと約4か月もの時間を費やし、その間「失敗と挫折」を繰り返したそうです。

 まずは、え付けの紙はさんが確立した制作の流れを見ていきましょう。

 歯車を作るために『gear template』というサイトで歯車の設計図を作成します。

 作成した設計図を紙に印刷して、それを厚紙に貼り付けます。張り付けた部分を切り抜き、スチレンボードに貼り付け、再度切り抜きます。この時、使っている道具は『卓上スチロールカッター』と言い、今回の制作において必要不可欠な道具となっています。

 先ほどの歯車に加えて、合計4つの歯車を作成します。

 続いて、歯車の軸を作成していきます。鉄の棒を用意して、それを短く切ります。短くした棒の先端にベアリングを取り付けます。その後、歯車の中心部分に差し込みます。

 出来上がった歯車を土台に固定させます。固定方法は磁石を使って、土台を挟み込むような形で固定させます。これによって、歯車の配置を自由に調節することができます。

 先ほどの要領で残り3つの歯車を配置します。画像では分かりにくいですが、配置した歯車がうまくかみ合って動いています。

 次は背景となる壁画の制作を行います。用意した壁画の画像を印刷します。印刷した紙に、歯車の歯の部分を抜いた大きさの円をコンパスを使って書き込みます。その後、スチレンボードに貼り付けます。

 ここから細かい作業となるヒエログリフの切り抜き作業を行います。この作業はとても疲れるらしく、すべての作業を終えるのに約6~7時間もかかるそうです。

 すべての切り抜きが終えたら、溶岩石を用意します。この溶岩石をスチレンボードに押し付けることで、岩の質感を再現することができます。

 出来上がったパーツに塗装を施します。2種類のアクリル塗装を順番に塗っていきます。この時、とにかく薄く塗るのがポイントになります。塗り終わったら乾かすために1晩寝かせます。寝かせたら、同じ手順でもう一度塗っていきます。

 塗装した壁画を寝かせている間に、歯車の塗装を施します。

 すべて塗り終えたら、これらを組み合わせていきます。

 歯車を動かすために、モーターを取り付けていきます。今回は右下の歯車1つだけを動かします。その歯車を回転させるために「歯車とモーターをかませるパーツ」を歯車に取り付けます。そのパーツとモーターを繋げます。

 モーター部分を土台の裏側に配置します。発泡スチロールを使ってモーターの位置を調整します。

 最後に今まで制作したパーツを取り付けていきます。壁画の横部分に段ボールを張り付け、歯車を配置します。手前部分にキャンドルライトを4つ起けば完成となります。実はこのキャンドルライト。え付けの紙はさん曰くMVPアイテムらしく「もっとも質を上げてくれたアイテム」だそうです。

 完成品がこちら。キャンドルライトに充てられた壁画の文字が幻想的な雰囲気を演出していて、とても素敵です。
 作業時間ですが、効率よく制作すれば早い人であれば、1日で制作可能とのことです。また、道具費ですが、この金額のうち約4万円ほどはエアブラシの金額になります。エアブラシの作業自体は、普通のブラシでも代用可能なので、1万5000円ほどで制作可能ということです。

 この素敵な作品を制作したえ付けの紙はさん。しかし、この完成の裏では、たぐいまれなる努力と「失敗と挫折」の物語がありました。

 最初の失敗は「歯車の失敗」です。
 左の歯車から「発泡スチロール」「段ボール」「スチレンボード」の材料で出来ています。歯車の歯部分はすべて段ボールです。
 「発泡スチロール」の歯車ですが、こちらは正規品のため、大きさが1通りしかありません。今回使用する歯車の数は4種類。そのため、え付けの紙はさんは発泡スチロールをくりぬいて自作しようと考えました。
 しかし、手作業だと、どうしても綺麗な円柱を制作することができません。そのため「発泡スチロール」の歯車はあきらめることになりました。

 続いて「段ボール」の歯車。こちらはある程度正確な円柱を制作することが可能でしたが、こちらにも問題点がありました。それは切り口がとても汚くなるということです。その結果、歯の部分がデコボコになり、歯車がかみ合わない部分が出てきてしまいました。歯車が2個程度なら問題ないのですが、3つ4つ繋げていくと、どうしても無理が生じてしまいました。

 最後の「スチレンボード」の歯車ですが、切り口は「段ボール」よりもきれいに制作できます。しかし、綺麗なのですが、真円にはならなかったのです。

 この手法で歯車の制作は無理だと判断しました。その後、いろいろと模索し続けた結果、冒頭で登場したサイト『gear template』にたどり着きました。このサイトで制作した設計図を元に『卓上スチロールカッター』を使うことで、綺麗な円柱を制作することが可能になったのです。

 続いての失敗は「歯車電動化の失敗」。
 初めは、歯車の軸に竹ひごを使用し、モーターとシンプルにつなげ合わせようと考えていました。しかし、ここでも問題が発生しました。

 1つめは、モーターの回転が速すぎたことです。あまりの回転の速さに、竹ひごが吹き飛ぶ事態に。そこで回転をゆっくりにさせる『ギヤーボックス』と呼ばれるパーツを使用することで、この事態を解決させます。それに伴い、支柱を竹ひごから『ギヤーボックス』のパーツをそのまま使う形になりました。

 2つめは、歯車を支える部分が脆くなる問題です。元々土台は発泡スチロールだったため、何度もさし込むと、歯車がぐらつき落ちてしまいます。そのため、土台を木にして支柱を磁石で挟み固定させる形に変更しました。

 3つめは、歯車をかみ合わせると、モーターの軸が空回りしてしまうことです。これはかみ合わせの部分が歯車の回転負荷に耐えられないからです。これを防ぐために、歯車にパーツを追加する形で対処しました。

 次の失敗は「壁画の失敗」です。
 様々な方法を試したえ付けの紙はさんでしたが、なかなかいい色が決まりませんでした。たとえ、それらしい色が出来たとしても、その色を再現するのはさらに難しかったそうです。なんと、この作業に1か月ほどかかったそうです。

 そこで、登場するのが、MVPと呼んでいたキャンドルライト。この光の色味によって壁画の色をうまく表現することができました。このキャンドルライトですが、幸か不幸か先ほどの色決めで制作時間が延びてしましました。その結果、制作期間がクリスマスシーズンに突入したことによって100円ショップの品ぞろえが変わり、このアイテムを発見することができました。
 え付けの紙はさん曰く「もしも、色決めを粘り強く決めず、早々に妥協してしまったら、キャンドルライトという選択肢を得ることができなかった」とのことです。

本来、この3枚のような動きを再現したかった。

 最後は「スライドの挫折」です。色決めでは、粘り強く試行錯誤を繰り返すことで突破口を開いたえ付けの紙はさんでしたが、このスライドに関しては、諦めざるを得ませんでした。

 本来は、歯車が壁から浮き上がらせてから、歯車を回転させるという仕組みを考えていました。その仕組みをなんとか実装できないかと1か月ほど試行錯誤を繰り返し奮闘しましたが、え付けの紙はさんの手先の器用さでは、不可能という結論に至りました。

 以上のような「失敗と挫折」を経て、完成したのが今回の作品となっています。動画前半では、「失敗や挫折」を感じさせない構成となっていますが、動画後半を見ることで努力の結晶を垣間見ることができます。
 そんなえ付けの紙はさんの制作過程などを詳しく知りたい方は、ぜひ動画をご視聴ください。


▼動画はこちらから視聴できます▼

工作初心者が古代文明ギア(歯車)っぽいモノを作る

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