ボカロ動画『ワールドイズマイン』絵師のredjuiceさんが『ギルティクラウン』『虐殺器官』キャラ原案を手掛けるようになるまで
初音ミク10周年を迎えて
——10年前、ボカロ曲を起点に、様々なコラボが増えて大きなムーブメントとなりました。supercellやlivetuneはその原動力となっていたように思うのですが、その実感はありましたか?
周りを盛り上げてるというよりは、他のボカロPやイラストレーターといっしょに盛り上がって、何より全力で楽しもうとしていた感じでしたね。ボーカロイドというのは、技術的な流行とか、ブーム乗りたい人達が集まったというより、クリエイター同士がお祭り騒ぎできるプラットフォームとして画期的だったんです。当時は、僕たちにとってそこが一番楽しい遊び場でした。
——わいわい楽しんだうえ、さらに仕事の幅も広がったわけですね。
これらの活動が起点になって、プロとしてデビュー、多くの仕事をいただけるようになったのは間違いないです。“初音ミクさん”には本当に色々お世話になりました。呼び捨てじゃなくて、“さん”付けしておかないとダメですね(笑)。
——三輪さんは、今後supercellの活動の可能性も語っていましたが、いかがでしょうか?
そうですね、何か具体的な予定は何も無いと思うんですけど、関係者に「心の準備しとけよ」って言われてて。「EGOIST」も含めて水面下で色々な動きはあるのですが、まだ内緒です。
(了)
編集後記
ゲームのコントローラを改造した道具など、独特な制作環境をもつことでも有名なredjuiceさん。取材時にたまたまお持ちだったので見せていただいた。これはキーボードの替わりに使用する入力装置だ。
高専出身ではあるものの、電子工作はほとんどやったことがなかったという。
「伊藤計劃作品『ハーモニー』のキャラクター原案を手がけていた時期に、スタジオに詰めて10数時間作業する日が続いて。キーボードにずっと手を置いて、消しゴム、コントロール、シフトに指を固定していたら、ギターを弾いてるみたいになって(笑)。すごい痛くなっちゃったんです。」
「ゲームのコントローラがキーボードの代わりになるのは知っていたんですけど、もう少しボタンがほしいな、と思って。中身の基盤を見たらわりと簡単に改造できそうだったので、ハンダごてを買って、色々つけました」
電気工作の趣味ではなく、あくまで必要に迫られてコントローラを作ったというわけだ。さらに、自作のツールはこれだけにとどまらない。
「スタジオの作業場がわりと手狭だったので、大きめのタブを使うとこのコントローラも置きづらかったんです。ローラー部分はブラシの太さを調節するためのものなんですが、これは常に手に持っていたいので、その部分だけのツールを作りました」
色をぬる際には、左手にはこのローラーを持ち、常にコロコロとサイズを変えながら、細かい部分と大きい部分を塗り分けているのだとか。ちなみに、黒い小さなボックスには、プログラム可能なマイコンが入っているとのこと。
使用するツールにも妥協しないその姿勢こそが、細部まで繊細なイラストを描く秘訣なのだろう。
「ニコニコ超会議2017 ボカロ絵師作品展」で展示を行った三輪士郎さん、redjuiceさん、かんざきひろさんのインタビュー記事全文を下記よりご覧いただけます。