生を諦めないか、死と向き合うか。『最後の医者は桜を見上げて君を想う』の「絶対に諦めないエリート外科医」と「死を運ぶ死神皮膚科医」の対立模様から目が離せない
映画化企画も進行中の医療ドラマ小説、『最後の医者は桜を見上げて君を想う』をご存知でしょうか。
エリート外科医の福原と、医者なのに“死神”と呼ばれる桐子ら名医たちの生き様を描く本作。今回はそのコミカライズ版を紹介していきます。
病魔の影を前に決断を迫られる患者たちに対し、相反するアプローチを掛けるふたりからは、生きることの意味を考えさせられます。
武蔵野七十字病院の問題人物・桐子先生
高齢の患者とその家族に、医者の青年は衝撃の宣告を言い渡します。
「来年橋田さんは生きてはいません」と、極めて直接的に患者たちの希望を打ち砕いた彼。
「医学的には手の打ちようはない」と断言した若医者は、抗がん剤治療すら無駄なあがきだとでも言いたげ。
しまいに彼は激昂する家族たちを制して、患者に対し「あなたはどう死にたいですか」と手を差し出すのでした。
かの若医者による残酷な仕打ちは、この武蔵野七十字病院で副院長を務める福原雅和にも知れ渡ることとなります。
患者の家族に泣きつかれた福原先生は、すぐに非礼をわびて彼らをなだめて……。
「奇跡は起こります、いや起こしましょう!」と、心強い言葉とともに患者の手を握る福原先生。
すると、遅れて部屋から出てきた先ほどの若医者が、「お大事にどうぞ」と会釈ひとつで帰っていくではありませんか。
患者と家族たちを前に、その男――桐子修司を睨みつける福原先生。
先ほどの振る舞いからもわかるように、皮膚科医の桐子先生は七十字病院の問題人物なのでした。
“死神”桐子の陰鬱なルーチンワーク
精神内科医の音山春夫が訪れたのは、第二医局とは名ばかりの倉庫。
桐子先生は、半ばそこに島流しにされたような形で医療に従事していました。
もっとも、桐子先生はこの劣悪な環境が意外にも気に入っている様子。
彼の同期でもある音山先生は「病院を追い出されてしまうよ」と忠告するのですが、果たして桐山先生にそんな言葉は届いているのかどうか……。
そんな変わり者である桐子先生のルーチンワークは、専門外のものも含めて患者たちのカルテを読み込むこと。
それも彼がピックアップするのは死の可能性が高い患者のものばかりという、なんとも薄気味悪い有様です。
音山先生は、よその患者に首を突っ込むと福原先生を怒らせると再度忠告しますが、桐子先生は「僕ら医者が向き合っているのは患者だけだよ」と突っぱねます。
ともかくこんな行いこそ、医者として恥ずべき“死神”という異名が桐子先生に付けられた理由なのでした。
絶対に譲れない、相反する哲学を持つふたり
一方そのころ、福原先生は重い病気を抱えた少年の回診中。
手術を明後日に控えた少年の心に寄り添う姿からは、医者としての確かな実力が感じられます。
さらに福原先生は、不安げな少年に対し「手術は俺がやる。俺は絶対失敗しない」と約束。
そうして病室を後にした彼の目には、患者を助けたいという揺るぎない闘志が宿っているかのようでした。
数日後、少年との約束を果たした福原先生は、別の患者の難手術も成功させた模様。
シャワーも浴びて上機嫌なところに、通りすがりの音山先生から声をかけられます。
じつはこのふたりも同期なのですが、音山先生は何やら言いにくそうに福原先生を食堂へと誘います。
そうして向かった先にいたのは、3人目の同期である“死神”桐子先生でした。
音山先生の企てにまんまと引っかかった福原先生でしたが、桐子先生とは一切口を利こうとせず。
痺れを切らした音山先生は、「桐子とあんまり話してないだろ、色々と誤解があったり……」と話を振るのですが……。
そんな気遣いを受けた福原先生は、むしろヒートアップ。
ついには桐子先生を指差し、「お前の医者としての振る舞いすべてが気に入らない。いや、許さない」と彼を真っ向から否定しにかかります!
続けざまに「病院と患者のために俺はお前を必ず追い出してやる!」と宣言した福原先生。
わずかな可能性でもそれを信じ、患者を救いたい一心の彼にとって、桐子先生のような医者は何より許せない存在に違いありません。
しかし桐子先生は「医者として何が正しいか君に決める権利などないよ」と、あくまで動じません。
積極的に余命宣告することで患者を“死”と向き合わせるのも、彼なりに患者に寄り添おうとするためのアプローチなのでしょう。
かくして、平行線のまま対立し続ける福原先生と桐子先生。ふたりは今後、さまざまな状況の患者たちと出会いながら、その結末を見届けていきます。
そのうえで、この先ふたりはどのような場所へと行き着くのか。興味を持った方はぜひ発売中の2019年8月24日発売の第2巻をお買い求めください。
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(画像はニコニコ漫画『最後の医者は桜を見上げて君を想う』より)
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