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『トレインスポッティング』『スラムドッグ$ミリオネア』監督が、自身の作品を通して伝えたかったメッセージとは

 エンターテインメントを楽しむための深掘りトークプログラム『WOWOWぷらすと』。今回は日本では4月から公開されている映画『T2 トレインスポッティング』でメガホンを取ったダニー・ボイル監督の特集をお送りしました。MCの西寺郷太さん、ぷらすとガールズの東美樹さん、ゲストに映画ジャーナリストの宇野維正さんをお迎えし、前作に続いてこの続編も手掛けた鬼才について、とことん語っていただきました。

 前作の『トレインスポッティング』はもちろん、『28日後…』、『スティーブ・ジョブズ』、そしてアカデミー監督賞を受賞した『スラムドッグ$ミリオネア』など、多くのヒット作を持つ彼が、映画を撮る中で、一貫して伝えたかったこととは、一体何だったのでしょうか。

『T2 トレインスポッティング』公式サイトより。

アメリカのタランティーノ、 イギリスのダニー・ボイル

左から東美樹さん、宇野維正さん、西寺郷太さん。

宇野:
 ダニー・ボイルについて思うのが、彼自身『スラムドッグ$ミリオネア』【※】で評価されているんですよ。ロンドンオリンピックの開会式の総合演出も手掛けて、アカデミー賞も獲って、あらゆる意味で、これ以上の事ってないじゃないですか。でも割と誤解されているというか。もちろん『トレインスポッティング』のイメージの人もいるけれど、意外と監督としての“ダニー・ボイル節”というのが言われていないんです。

※スラムドッグ$ミリオネア
2008年公開。第81回アカデミー賞では作品賞を含む8部門を受賞した。

『スラムドッグ$ミリオネア』Amazonより。

宇野:
 『トレインスポッティング』を語る上で絶対に欠かせないのが、(クエンティン・)タランティーノの影響なんですよ。年齢もダニー・ボイルの方が上なの。でも当時は映画界においてはネームバリューがなかった。『パルプ・フィクション』【※】という映画が当時、音楽の使い方などで世界を席巻するわけです。今になって『トレインスポッティング』を見直すと、シック・ボーイ(という登場人物)が映画オタクという設定なんですよ。彼は延々と『007』の話をするわけ。でも、あれって不自然なんだよね。エジンバラにいるヘロイン中毒の20代前半のヤツが映画オタクって。実は、あれってタランティーノ(をモデルに)したかったんですよ。

※パルプ・フィクション
1994年公開。クエンティン・タランティーノ監督作品。第67回アカデミー賞の7部門にノミネートされ、脚本賞を受賞。

西寺:
 あぁ、本人のキャラクターだったんですね。

宇野:
 もちろん原作にも(シック・ボーイが映画オタクだという)要素がちょっとあるんだけども、ダニー・ボイルは当時、飛ぶ鳥を落とす勢いだったタランティーノみたいな映画をちょっと作ろうとしていたんだと思う。

番組スタッフ:
 ユーモアや音楽のセンスが良いっていうのは、タランティーノからちょっと拝借したって感じなんですね。

宇野:
 そう。だから当時、“アメリカのタランティーノ”、“イギリスのダニー・ボイル”みたいな感じで、オシャレな映画を作ってた。僕なんかは『トレインスポッティング』を映画的にものすごく評価していたわけではないんだけれども、抗う事のできない勢いみたいなのがあった。

『パルプ・フィクション』Amazonより。

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