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地獄の“プリズムショー”がついに開幕! 全人類に贈るアニメ『キンプリ』を満喫するためのススメ

 唐突だが、皆さんはSNSで「キンプリはいいぞ」「キンプリを観ろ」という言葉を目にしたことはないだろうか。

 ここでいう“キンプリ”とは2013年4月より放映されたアニメ『プリティーリズム・レインボーライブ』(以下、『プリリズRL』)をオリジンとしたスピンオフ作品である『KING OF PRISM』(キンプリ)シリーズを指している。

 魅力的な男性キャラクターが多数登場し、非常に高い人気を誇る本シリーズの3作目『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』(以下、アニメ『キンプリ』)がとうとう2019年春よりTVアニメ化。最高の輝きを魅せてくれている。

(画像は「KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-」 公式サイトより)

シリーズを見てなくても楽しめるアニメ『キンプリ』

 シリーズものであるため、オリジンである『プリリズRL』を含めると膨大なバックボーンがあり、いきなり今回のアニメから見ても理解できないのでは……? と心配している方々、安心してほしい。

 「考えるな感じろ」こそ『キンプリ』シリーズの魅力。たったふたつのワードを抑えておくだけで、アニメを最高に楽しめる。

プリズムショーのトップを目指す一条シンを中心に描かれる青春物語

 プリズムショー【※1】ユニット“Over The Rainbow”の演技に魅せられた少年・一条シンがプリズムスタァ【※2】を目指して成長していく、というのが『キンプリ』の物語の中核。

 元プリズムショー協会会長・氷室聖にプリズムショーの才能を見出されたシンは、彼が主宰を務めるプリズムスタァの養成校・エーデルローズに入学し、さまざまな経験を経て成長していくさまが描かれていく。

※1 プリズムショー
プリティーリズム世界のフィギュアスケートのような競技。スケート、ファッション、歌唱力の3点で評価される。

※2 プリズムスタァ
プリズムショーの競技者のこと。

「世界が輝いて見える」と呟いて土手からチャリでフライする彼が本作の主人公・一条シン。なかなかファンキーな思考回路でプリズムスタァの素養は十分。
(画像は「KING OF PRISM by PrettyRhythm」上映会より)
シンは実直で他人の為に行動できる絵に描いたような好青年だ。
(画像は「KING OF PRISM by PrettyRhythm」上映会より)

エンターテインメントの塊なプリズムショー

 そして、本作の見どころと言えば、エンターテインメントが全力全開で押し寄せてくるプリズムショーの演出

 このプリズムショー、フィギュアスケートのように滑りながら歌って踊り、観客のときめき度を競っていく競技なのだが、中でも注目してほしいのがキメ技とも言える“プリズムジャンプ”

 ジャンプという言葉はついているが、もはやジャンプの枠組みに収まりきっていない、トンデモ必殺技になっている。

華麗なジャンプを披露。ここから夢のような世界に誘われる。
(画像は「KING OF PRISM by PrettyRhythm」上映会より)
まさかの分身。そしてやさしくハグしてくれる無限ハグという技。
(画像は「KING OF PRISM by PrettyRhythm」上映会より)

アニメ『キンプリ』を見るうえで注目しておきたいキーパーソン

 上記で紹介したふたつさえ抑えておけば、もうアニメ『キンプリ』を楽しむ準備は万端……と、言いたいところだが、本作において物語の盛り上がりを演出してくれる欠かせない存在がいる。

 法月仁大和アレクサンダーのふたりだ。

タフな悪役・法月仁

 『プリリズRL』より一貫して悪役として描かれる男が法月仁

 彼自身がプリズムスタァだった頃には当時ライバル関係にあった聖を罠にかけて怪我を負わせ引退に追い込み、現役を退きエーデルローズ主宰の座に就いてからも策略を巡らせては悪行三昧。

 そんな彼だったが、あまりにオイタが過ぎたために当時のプリズムショー協会会長であった父・法月皇によって半ば追放状態に処されていた。

 そんな彼が、『キンプリ』シリーズで父の死を契機に見事カムバック! エーデルローズ財団の遺産を引き継いだ仁は新たにシュワルツローズという養成校を立ち上げ、自身の後釜として聖が主宰に収まっていたエーデルローズに莫大な債務を押し付けつつ有望な選手を引き抜いて再び業界最大手の座に返り咲いたのだ。

『プリリズRL』時代の法月主宰。「大事なのは“格”」という名言を放ったシーン。
(画像は「KING OF PRISM by PrettyRhythm」上映会より)
拠点である超高層ビルの最上層はなんと露天風呂! 仮面をつけて入浴……そして謎の扇を持っている。すべてがエクセントリックだ。
(画像は「KING OF PRISM by PrettyRhythm」上映会より)

 アニメ『キンプリ』でも最初からエンジン全開な彼は、第1話からプリズムショー会場を景気よく爆破するという暴挙に及ぶ。まさに期待通りの活躍だ。

 確かな経営手腕や打ちひしがれてもすぐに立ち直る強靭なメンタル、そしてエキセントリックな言動の数々が醸し出す謎のカリスマ性はクセになること間違いなし!

“プリズムショーの破壊者”・大和アレクサンダー

 どことなく危うい空気をまとった『プリリズRL』から続くキャラクターたちとは違い、主人公のシンをはじめ『キンプリ』シリーズから登場するキャラクターたちは比較的真っ当な世界観で生きている連中と言って差し支えない。

 未だプリズムスタァの卵である彼らはその感性も我々一般人に理解し得る、話のわかる奴らなのだ。

 だが、その中で一際異彩を放つ漢がいる。“プリズムショーの破壊者””ストリートの暴君”となんとも期待値の高い二つ名を引っ提げて現れた大和アレクサンダーだ。

ツーブロックのオラ感がハンパじゃないアレク。ちなみに歌がめちゃくちゃ上手い。
(画像は「KING OF PRISM by PrettyRhythm」上映会より)
こわい。
(画像は「KING OF PRISM PRIDE the HERO」上映会より)

 彼はそのオラついた見た目どおり、アイドルとはかけ離れたストリートダンスを得意とする“ストリート系”のプリズムスタァ。同様にストリートを源流とするOver The Rainbowのメンバー・仁科カヅキがストリート系の地位を貶めているとして彼に強い怒りを抱いている。

 彼をもっとも象徴しているのはその鍛え抜かれた鋼のフィジカル。特に腹筋には絶大な自信を持っており、その硬度はカヅキの必殺技・バーニングソードブレイカーすら弾き返すほど。

天空から剣を召喚するカヅキのバーニングソードブレイカー。
(画像は「KING OF PRISM by PrettyRhythm」上映会より)
アレクの鍛え抜かれた腹筋がバーニングソードブレイカーを上回る!
(画像は「KING OF PRISM by PrettyRhythm」上映会より)

 また、破壊者、暴君といった異名通りその性格もきわめて攻撃的で、彼のプリズムショーでは「軟派なプリズムショーは一切禁止とする!」と言い放って分身して編隊飛行を開始、鍛え抜かれた腹筋からエネルギー弾を投下して爆撃する666の黙示録という技で会場を完全に破壊したり、エネルギーの檻で会場を取り囲む技で観客を人質に取ったりとまさに暴虐そのもの。

 そんな彼がアニメ『キンプリ』ではどんな破壊を見せてくれるのか? 期待せずにはいられない。

プリズムジャンプから編隊飛行に移行!
(画像は「KING OF PRISM PRIDE the HERO」上映会より)
恐怖! アンゴルモアの牢獄ロック! で観客は脱出不能に。
(画像は「KING OF PRISM PRIDE the HERO」上映会より)
巨大うちわによる風圧で腹筋エネルギー弾を返されるがアレクは墜落の勢いを利用してそのまま攻撃に転じる。この一連のシーンは必見!
(画像は「KING OF PRISM PRIDE the HERO」上映会より)

挫折を乗り越えた“HERO”速水ヒロ

 以上を抑えておけばアニメ『キンプリ』を満喫できるだろう。

 ここから先は『キンプリ』シリーズを語るうえで欠かせない、速水ヒロいう男を軸にこれまでの物語を振り返っていく。シリーズ未視聴者はストーリーの大筋をザっと知るために、シリーズ視聴者は復習として活用してほしい。

 『キンプリ』シリーズの主人公は一条シンと位置づけられているが、過去シリーズで描かれていたのは紛れもなく速水ヒロの物語と言える。

プリズムショー中のOver The Rainbowの3人。左から速水ヒロ、神浜コウジ、仁科カヅキ。
(画像は「KING OF PRISM by PrettyRhythm」上映会より)

 絶対アイドル・速水ヒロ、作曲の天才・神浜コウジ、ストリートのカリスマ・仁科カヅキで結成されたユニット・Over The Rainbowは仁の手によって財政難に陥っていたエーデルローズを支えるべく活動していたが、コウジが負債の穴埋めをすべく多額の報酬を得られるハリウッド映画の楽曲制作のオファーを受けて渡米。

 時を同じくしてアレクとの勝負に思うところのあったカヅキもエーデルローズを離れ、かつて聖、仁と並んで3強と目されていた元祖ストリートのカリスマ、DJ.Cooこと黒川冷の元で特訓を始める。

氷室主宰、あまりにも経営能力がなくてびっくりする……。
(画像は「KING OF PRISM by PrettyRhythm」上映会より)
ラストライブでハリウッド行きの列車に乗り込み去っていくコウジ。
(画像は「KING OF PRISM by PrettyRhythm」上映会より)
そのまま星座になっちまった……。
(画像は「KING OF PRISM by PrettyRhythm」上映会より)

 こうしてOver The Rainbowは活動休止を余儀なくされ、ひとり取り残されるヒロ。

 そこに追い打ちをかけるかの如く、エーデルローズの債務不履行を盾に自身を象徴する曲である“pride”の著作権を奪われてしまう。【※】

※映画『KING OF PRISM by PrettyRhythm』の最後に流れた次回作の予告(上映当時はまだ制作未定だった為、演出として描かれていた)では、“奪われたPRIDE”のテロップと共にシュワルツローズ所属のプリズムスタァ・如月ルヰがprideを歌う映像が流れ、観客を大いに驚かせた。

上映時は次作の予定など無かったため、地球上の観客全員が衝撃を受けた。
(画像は「KING OF PRISM by PrettyRhythm」上映会より)

 “pride”はヒロにとって何よりも大切なコウジとの絆そのもの。それを奪われ、さらに仁の策略でコウジがシュワルツローズに移籍するというデマを流されたことでヒロは深刻なスランプに陥る。

 縋る気持ちで真偽を問いただすためにコウジを訪ねるヒロだったが、そんな彼の心の甘えを見抜いたコウジは敢えて厳しく突き放す。

prideを歌うルヰ。構図もセリフもヒロの「俺だ!」の対比になっている神演出。
(画像は「KING OF PRISM by PrettyRhythm」上映会より)
『プリリズRL』時代に「俺だ!」とキメた時のヒロ。
(画像は「KING OF PRISM by PrettyRhythm」上映会より)

 失意のまま街をさまようヒロはそのまま姿を消してしまう。ヒロはもうステージには立たないつもりで姿を眩ませていたものの、母に背中を押されたことで復帰を決意。

 プリズムスタァの頂点を決めるプリズムキングカップに向けて特訓中の後輩たちに合流するが、彼のスランプは深刻で“使い物にならない”と評されるほどフィジカルも衰えていた。

 未だスランプから抜け出せずに塞ぎこむヒロ。しかし、ある日の特訓後にエーデルローズ寮生で料理が得意な鷹梁ミナトが腕を揮ったカレーを食べたことで気持ちを取り戻す。カレーの隠し味にはリンゴとハチミツ【※】が使われていたのだ。

※リンゴはヒロのプリズムショー中に使われるアイテムで、ハチミツはコウジのプリズムショーでケツから出してくるアイテム。ヒロはリンゴとハチミツのハーモニーに自身とコウジの絆を再確認したと思われる。

ケツからハチミツを出す男・コウジ。『プリリズRL』では常識人だったのに……。
(画像は「KING OF PRISM by PrettyRhythm」上映会より)

 立ち直ったヒロは錆びついたフィジカルを徹底的に鍛え直し、奪われた“pride”の代わりとなる曲もコウジの恋人・涼野いととその弟・涼野ユウに用意してもらって万全の態勢でプリズムキングカップに挑む。

 しかし、大会はアレクによる完膚なきまでの会場破壊によってあわや続行不可能という事態に陥ってしまう。

 破壊され尽くした会場跡には沈痛なムードが漂い、大会の中止が宣言されるが、ステージに現れたカヅキが残骸のなかでプリズムショーを始めると、なんと自身のショーで会場を新しく作り直してしまった。【※】

※会場を破壊したアレク、アレクの破壊行為を止めるために乱入したタイガ、会場を作り直したカヅキは規定違反で失格となってしまう。

音響設備すら破壊された会場で歌い始めるカヅキ。
(画像は「KING OF PRISM PRIDE the HERO」上映会より)
なんとプリズムショーで会場を作り直してしまった。
(画像は「KING OF PRISM PRIDE the HERO」上映会より)

 カヅキの活躍もあって大会が続行されると、現在の“pride”の歌い手であり、かつてシンをプリズムショーの世界に導いた謎の青年・如月ルヰの順番が回ってくる。

 彼は“pride”を使わずに最高の演技を見せると、「なぜ“pride”を使わなかった」というヒロの問いに「自分にできる最高のショーをしたかったから」と答える。

突然ポールダンスを始めるルヰ。最高のショーとはいったい……うごごご!
(画像は「KING OF PRISM PRIDE the HERO」上映会より)

 ルヰの答えにある決意をしてステージに立つヒロ。彼が自身のショーに選んだ楽曲はいととユウに用意してもらったものではなく、仁に奪われたままの“pride”だった。

 ヒロが“pride”を選んだことで「お前は失格だ」と狂喜する仁。自身の描く“最高”の為に“pride”を歌い続けるヒロ。何をしてもヒロの失格は変わらないと仁は嘯くが、そこへエーデルローズが負債を解決したとの知らせが入る。物語の裏側では総資産200兆円を誇る十王院グループの御曹司・十王院カケルが尽力し、大企業に債務保証の約束を取り付けていたのだ。

物語の裏で動き続けたカケル。最大の功労者は間違いなく彼だろう。
(画像は「KING OF PRISM PRIDE the HERO」上映会より)

 かつて『プリリズRL』時代に屈折した感情から「コウジの曲を一番上手く表現できるのは……俺だ!」と言い放ったヒロだが、ついにその言葉が結実した。

 ヒロのショーはまさに圧巻で、降臨したプリズムの女神に新たな王として祝福される。戴冠(たいかん)したヒロの威光には仁すら平伏を余儀なくされるのであった。

ファンの黄色いバラで地球が包まれる!
(ヒロのコンサートには黄色いバラを持っていくのがしきたり。)
(画像は「KING OF PRISM PRIDE the HERO」上映会より)
新たな王として戴冠するヒロ。
(画像は「KING OF PRISM PRIDE the HERO」上映会より)

 『プリリズRL』で当初は悪役として登場し、悪だくみをしながらメガネのモダン(つるの先の耳にかかる部分)を噛む、低音ボイスでひたすらコウジに粘着しまくるなどのエキセントリックな奇行が持ち味だったヒロ。

 そんな彼がさまざまな人物との交流を経てかつての“プライド”を取り戻して成長していき、ついには頂点に輝くというストーリーはまさに王道的だ。

おもしろい感じだった頃のヒロはコウジの曲を欲しがりさん。
(画像は「KING OF PRISM by PrettyRhythm」上映会より)

エンターテインメントのさらに向こうへ

 テレビ放送では2019年4月15日にとうとう第1話が放映された。話の流れとしてはこれまでのおさらいとキャラクター紹介がメインになる回だったが、どうやら本作も法月仁が大暴れし、エーデルローズvsシュワルツローズの構図でプリズムショーバトルが展開されることになりそうだ。

 一方、気になるのは一条シンと如月ルヰの関係。これまでの劇場版でも断片的にしか語られなかったルヰの正体や目的、そしてシンに秘められた秘密がついに解き明かされるのだろうか。ヒロの物語は前作でひとまずの結末を迎えているので、本作ではエーデルローズの寮生たちにスポットが当たるのではないかと筆者は予想している。

 プリズムショーの大会が始まる前の第1話時点で既に会場は仁の手によって爆破済み。かつてアレクが過去最大級の衝撃を与えた会場破壊を1話時点で踏襲してきたあたり、今期はさらにその上を行くという“Plus Ultra”(ラテン語で「もっと先へ」の意)の気概が我々オーディエンスにも伝わってくる。

 色々な意味で目が離せないアニメ『キンプリ』。宗教上の理由や親族の遺言などやむを得ない事情がない限り、この“怪作”を体験しない選択肢はない。“頭ではなく心で観る”アニメ。それが『キンプリ』であり、その魅力なのだ。

 

▼『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』第0話▼

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ライター
Jくん
元ゲームメーカー勤務の脱サラ系ライター。攻略本の執筆をはじめ、主にゲーム攻略系の記事で余生を過ごしている。本サイトではアニメ関連の記事を担当。
会社を辞めた理由はゲームのやりすぎ、深夜アニメの見すぎで慢性的な寝不足になったから。原稿執筆中はキレやすくなる厄介成分を抱える社会不適合者。
編集
竹中プレジデント
フリーライター時代はファミ通Appでゲーム攻略記事を執筆。『ガルフレ(仮)』でスマホゲーム筆下ろし。
現在はニコニコニュースオリジナルの編集として、アニメやVTuber関連の記事を担当。二次元美少女に萌える日々。

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