1000人を超えるオタクの引っ越しを手掛けたオタク特化不動産会社代表に聞く「オタクの引っ越し事情」。一般人には理解できないオタクがこだわる物件の条件とは
引っ越しで失敗しないために知っておきたいこと
──おたくのやどかりを設立して10ヵ月になりますが調子はどうですか?
平田社長:
サイトを立ち上げたときよりも圧倒的にお客さんは増えて、事業の規模はかなり大きくなっています。
やしろあずき:
従業員も増えてますよね。
平田社長:
そうそう。いまはアルバイトを含めると12人くらいに。立ち上げ時の2倍くらいの規模になってます。
やしろあずき:
女性も増えてて。しかも現役のコスプレイヤーなんですよね?
平田社長:
現役コスプレイヤーの方で、しかもきちんと宅建の免許を持っている方が入りました。女性はだいたいその方が担当してます。
やしろあずき:
なので男性と回るのは怖い、という方でもけっこう安心。
平田社長:
後、12月のスプレー事件【※】以降、急激にお客さんが増えました。「ほかの不動産会社が怖い」や「万が一があったら嫌だ」など引っ越しじたいに不安を感じる方が多くなっている印象です。
※2018年12月16日に札幌の雑居ビルで発生した爆発事故。アパマンショップ平岸駅前店内にて未使用の除菌消臭スプレーを大量に噴射していたことが原因とされている。
やしろあずき:
あの事件が起きる数ヵ月前のマンガで触れていて、それでおたやどマジじゃん、っていう流れがツイッターでもあって。
平田社長:
むしろマジだと思われていなかったことにびっくり。
やしろあずき:
それは僕も思いました。マジなんですよねマジ。
平田社長:
ちょもすさんの記事とやしろさんのマンガが、けっこう誇張しているように思われてるんですよ。
──あると思います。けっこうネタっぽい見えかたはしていますし、正直ちょっと盛ってるのでは? と感じちゃいます。
平田社長:
それがまったく逆で、じつは抑えているんですよ。
やしろあずき:
そうそう。マンガ内容の打ち合わせでもありますもんね。このネタはちょっと危ないから止めるかとか。
平田社長:
本当に書いちゃいけないことを書いてしまうと、損害賠償、業務偽計妨害罪に発展してしまうリスクもありますし、それこそ本当に黒いバンでさらわれないように、抑えてマンガを描いているんですよ。
やしろあずき:
もしさらわれたらツイッターで捜索届出しますよ(笑)。
──さらわれる平田社長(笑)。2月、3月はやっぱりお客さんもほかの月より多くなるんですか? 引っ越しシーズンですし。
平田社長:
そうですね。おかげさまで多くのお客さんにご利用いただいています。
──平田社長……でもおたくのやどかりの記事でこの時期に来るお客さん全方位にケンカ売るようなこと言ってたじゃないですか。
やしろあずき:
大バカ。
平田社長:
待ってください……。就職だったり入学だったり新生活の準備で引っ越しが2月3月になるのは当然なんです。ただ時期を選べる立場なのにあえてなにも考えずにその時期に引っ越すのはおすすめできないってことです。
──つまりはバカと。
平田社長:
……ノーコメントで。
やしろあずき:
ご か ま し た !?
不動産会社の相見積もりは意味がない
──話を戻し、先ほどお話した時期と同じように、引っ越しする際、損をしないために知っておきたいことがあれば教えていただけないでしょうか。
平田社長:
そこはお任せください。まずよくありがちなミスが「相見積もり」をしてしまうことですね。
やしろあずき:
複数の会社で見積もりすると、不動産会社から物件営業の電話がめちゃくちゃかかってくるのでホントに地獄。
平田社長:
それに本来どこの不動産会社でも見られる物件のデータ【※】って同じなんです。
※会員となっている不動産会社が閲覧可能な「レインズ(REINS)」というコンピューターネットワークシステムでは市場に出ている物件を見ることができる。
──でも行った不動産会社によって出てくる物件が違うことってありませんか?
平田社長:
これは業界でずっと続いている風習なんですけど、自社で管理している物件だったり紹介してメリットのある物件があると、営業マンがそれを紹介したがるからなんです。
やしろあずき:
都合がいいところしか紹介しないんですよね。全部見たいのに。
平田社長:
うちではそのデータを全部お客さんに見てもらって、そのうえでいっしょに物件を探していきます。なので、不動産屋の相見積もりだけは絶対に意味がなくて。なのでうちでは相見積もりされる方はお断りしています。
転職のタイミングでの引っ越しは要注意
平田社長:
後、転職のタイミングで引っ越しする方は引っ越しのタイミングはとにかく大事です。
やしろあずき:
転職と同時に引っ越すってよくありますよね。
平田社長:
かなり多いです。なので失敗もたくさん見てきました。
──どんな失敗が?
平田社長:
会社を辞めてから引っ越す方がとにかく多いんです。これは本気でやめたほうがよくて、なぜかって無職扱いでのスタートになるんです。当然審査が通りにくい。
──おたくのやどかりのサイトでも無職の引っ越しは難しいっておっしゃってましたよね。
平田社長:
引っ越す方にはその意識がなくて。「転職活動1ヵ月以内に終わらせるから同時に部屋も探したい」という希望なんですが、まず要望通りのところには引っ越しできません。
──そういう場合どうしてるんです?
平田社長:
まず前の会社の在籍日時を確認してもらいます。バイトでもなんでもいいからとにかく在籍を確認する電話を1本できるだけで審査の通りやすさが上がるので。
やしろあずき:
在籍してなかったときの絶望感。
平田社長:
「もう辞めてるんだよね~」ってなるとマジか~って。そうなると、保証人をたてたり、もしもう内定が出ているなら内定証明書をもらったり、後は審査が緩い物件を紹介したりです。
──職だけでここまで変わってしまうの怖い……。
平田社長:
あるなしで全然違います。これは本当に引っ越す方全員に知ってほしい。
これをされたら要注意な不動産会社の対応
──不動産会社でこういうこと言われたりこういう対応されたら気をつけろ! みたいなことってあります?
平田社長:
この時期だとトバシが圧倒的に多いです。忙しいからひとりで内見に行ってきてねって。ちょっとおかしいだろうと。
やしろあずき:
オタクの人ってウェイ系じゃないので適当にあしらわれるというか、あまりちゃんとした対応されないんです。
平田社長:
ひとりで内見することのなにがダメかって、実際にひとりで物件を見ても間取りだったり周辺の環境だったり、素人の方じゃ気づかないヤバいポイントがたくさんあるんです。ひとりで行ってもそれに気づかない。
やしろあずき:
僕もおたやどで内見中、家に入った瞬間に「ここはダメですね。ヤバい」って言ってくれて。かなりズバズバ。
平田社長:
うちではズバッというようにしています。ダメな物件はダメって。表面だけ取り繕っても本当にいい家って見つからないので。
やしろあずき:
痛感しました。収納だったり部屋のかたちだったり窓の位置だったり、自分では全然気づかない。
平田社長:
後はアリバイ会社。これがいちばんよくない。1回使ってしまうと抜け出せないんですよ。
──アリバイ会社ってなんですか?
平田社長:
たとえば夜系のお仕事で部屋の審査が通らない人に書類を偽造してくれるんですよ。職業会社員で月給30万くらいの給与明細を出して、それで審査を通すんです。
やしろあずき:
すごいのが、ネットで「アリバイ会社」って調べたらものすごい堂々と商売しているんですよ。
平田社長:
そうそう。
やしろあずき:
クリーンなイメージのサイトがあって、堂々とうちに任せてくださいって。
平田社長:
バレたら普通の方法では二度と引っ越しできないレベルで重いペナルティがあるので、知らないでやっちゃった、ってならないように気を付けてほしいです。
やしろあずき:
後、これは僕の体験談なんですが、不動産会社の人が急いで契約させてこようとしたときは落ち着いて冷静になったほうがいいです。
──ああ、この前マンガでやっていたやつ(笑)。
やしろあずき:
わざとらしく「え? この物件に希望者が殺到ゥ~!? やばそうっス~」みたいな。
平田社長:
ちょっと盛ってるでしょ(笑)。
やしろあずき:
いやいや、物件の内見が終わって外に出た瞬間にいきなり目の前で電話をしだすんです。それで「この物件に希望者が殺到ゥ~!? 」って焦りだして。その後、ちょうど物件の前を歩いていた家族連れを指して「多分あの人ですよ、すぐ決められたらヤバいっす」って焦りながら煽ってきたんですよ。
平田社長:
ああ、それは僕が以前ブラック企業に勤めていたときにそういう手法はありました。内見中に偶然通りがかった人を内見者だと思わせるために「今日は混んでますね」くらいの感じの。
──人気がある物件だから早く決めたほうがいいアピールですよね。
やしろあずき:
よく考えたら僕が住む物件に家族連れで住むわけないんですよ。でもこっちはヤバい決めなきゃって焦っている心理になっちゃうんです。
平田社長:
あるあるなので気を付けてほしい……。でもなんかあれですね。今日、普通のことしか言ってないですけど大丈夫ですか? 記事になります?
──いえいえ、けっこう驚きの連続でしたよ(笑)。
やしろあずき:
これが普通だって思う平田社長がヤバい(笑)。
──最後に、いま引っ越し中だったり近々引っ越しを考えているオタクに向けてアドバイスなりメッセージをお願いします。
平田社長:
まず僕がずっと言っているのが、おたくのやどかりを使わなくても全然いいんです。おたくのやどかりのサイト上で騙されたり損したりしないような情報を発信しているので、ひとつの知識として知っておいてください。
今日ここでお話したことを覚えているだけでも大分違うと思います。それでもしそのあたりのやりとりがめんどくさい方は、社員全員がオタクのおたくのやどかりがあるので、もしよければ使ってみてください。
──本日はありがとうございました!
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