「ゴミ山の下に腐った死体」「腐乱した犬の死骸があった隠し部屋」…“不動産執行人”が実際に見たヤバすぎる現場の数々
御札が貼ってある不思議な家
徳光:
動物関連で思い出したんですけど、動物好きな方がご覧になっていたらかわいそうな話なんですけど、Bくんが学生の時分に、アパートで独り暮らししていたんですけど、駅からだいたい5分くらいのところの途中に、ちょっと古めの一軒家があったんですね。そしてその家に、人の気配が全然ない。
でも、2階に目をやると、2階の窓に御札のようなものがぶわーっと貼ってあったと。「なんだ、この家ちょっと怖いな」と。
毎日通っていたら、ある日、2階に明かりが灯っていました。御札の隙間からちょっと光が漏れて。「なんだ、やっぱり住んでいるんだ。怖いな」なんて、その日も通りすぎたと。
今までは帰り道の話だったけど、次の日に、朝学校に行く前にその家の前を通ったら、窓にフェンスが付いてる家とかあると思うんですが、そこに傘が何十本も掛かっていた。その前の日はなかったんです。
ニポポ:
いきなり傘が何十本も。
徳光:
「変な人が住んでいるのかな」と。
そして、学校に行って、帰ってきたら玄関があるべき場所に「犬は獣、猫は魔物」という、結構達筆な文字が和紙に書かれたものが貼ってあった。
ニポポ:
どっちが悪いんでしょうね。獣と魔物。
徳光:
解釈ですよね。
ニポポ:
人それぞれの。
徳光:
そして、家に帰りますが、そこで一喜一憂するわけにもいかない。次の日、また朝学校行ったときは、相変わらず「犬は獣、猫は魔物」と、さらにその横に「悪魔退散、達成」と、これまた達筆な字で書かれていて、「なんだ、これ」となって。
また学校に行って、その日はいつもより早く14時くらいに帰ってきたんですが、そうしたら、掛かっていた傘が全部開いていた。そうなると、気になって覗きたくなりますよね。
ニポポ:
それはそうですね。
徳光:
そしたら、ブンブンとハエがたかっていて、「臭いな」と。それで傘を覗いたら、ビニール傘の真ん中に猫の死骸が積み重なっていた。
ニポポ:
やっちゃったんじゃないですか。「獣と魔物」で魔物の方を。
徳光:
魔物を退治したから、家主は達成感があったんじゃないかという話。
その後、近所の人が通報したらしく、それは全部撤去されたみたいです。動物にそういうことする人、嫌ですよね。
動物虐待の悲惨な現場
ニポポ:
僕も嫌なんですけど、仕事上、どうしても出会っちゃうんですよ。本当にネグレクトで飼育を放棄してしまうというケースをいくつかご紹介しましたけど、実際の虐待という……。
徳光:
それは人間? 動物?
ニポポ:
動物に対しての事例もあって。そこは、「ここ、案内してください」と言ったら、家主さんが、「私たち入れないんですよ」と。「なんでですか」と。
徳光:
まぁ、なりますよね。
ニポポ:
「落ち武者の霊が4人出るんです」と言われ、「これは、やばいな」と。でも、やらなきゃいけないんで、行くんですけど。でも、その物件自体がちょっと危ないというのが、昔事業所だったところで、1階が事業所、2階が寮になっているんですね。コストを極限まで抑えたかったんですよ。だから、水道をひかない。
徳光:
ひどいな。
ニポポ:
「どうしてるんですか?」と言ったら、なんと井戸。最初、室内に井戸を掘っていたんですよ。その井戸が枯れちゃって、どうしたかというと、今度は外に掘ったんです。だから、井戸が二つあるというむちゃくちゃな……。
徳光:
なかなかレアケースですよ。そこに、多分落ち武者が(笑)。
ニポポ:
(笑)。そこで、毛が酷いんですよ。井戸が中にも外にもある家なんで。さらに言うと、水がふんだんにあった土地なので、人工池も造っていて、もう虫の量と湿度の高さが酷い状況だったんですけど、それでも入らなきゃいけないんで、蚊とかにやられながら入るんですよ。
どんどん売上が落ちて、お金が寮生たちに払えなくなっていく、そんな悲惨な状況でみんな心が荒んでいくんですよ。2階の寮に外階段から上がるんですけど、ここはもう悲惨で、あまりの湿度に壁紙が全部剥がれていて、ダンボールを貼っているんですよ。
中でも、最後まで居た方というのが、一番マインドを病んで……。
徳光:
やられちゃって。
ニポポ:
それで、ダンボールの壁で一応湿気を避けている感じで、4人住んでいて、ダイニングキッチンがあって、お金は出せないけどご飯だけはいいのを出してあげようとしていたらしいんですけど。湿度で家ってやられちゃうんですよ。だから、ドアを開けると、バキッと外れちゃうんですよ。本当に『バイオハザード』みたいな世界なんですけど。
徳光:
朽ちているということですね。
ニポポ:
それで、最後まで居た方の部屋を開けたら、そこだけ開かなかったんですよ。どういうわけか鍵が掛かっていたのと、立てつけが悪かったので、開かなかったんですけど、無理やり開けたら、自分のベッドより動物を入れていた鳥かごみたいなのがいっぱいあるんですよ。その鳥かごの中に、猫ちゃんとか犬ちゃんとかが入っているんですけど、どうやらバチバチ……。
徳光:
ストレス発散で……殺して……。
ニポポ:
切断されていたんですよ。
徳光:
うわぁ、かわいそう。
ニポポ:
それをオーナーの奥さんも知っていたんだけど、「辞められたら業務が回らないから黙認しちゃっていた」というのを最後に語っていた。その落ち武者はなんなんだと言ったら、みんな寮から出たいんだけど、お金貰えないし、意外と手厚くやってくれているし、寮にいた人たちも、はっきり言ってしまうと、拾われてやってきたような人たちなんですよ。例えば、ドヤ街からマイクロバスに乗ってきたような。
徳光:
それでも、食事の確保をしてくれたという意味ですもんね。
ニポポ:
そうそう。衣食住はあったからいたんですよ。なんだけど、「もう限界」と言って、最初の人が「辞めたい、辞めたい」と言っても出してもらえなかったんだけど、「お化けが出る」と言って出て行ったら、すんなり出してもらえたと。
徳光:
なるほど。
ニポポ:
それで、みんな「霊がいるんだ、最初一人だったのが、二人になった、三人になった、四人になった」「霊障が酷くなった」と言って出て行ったんだけど、まぁ、これはどっちが酷いんだという話ですよ。
徳光:
完全に霊とかよりも……。そいつは、犬や猫をどうやってピックアップしていたんでしょうね。
ニポポ:
野良なのか。
徳光:
野良ネコだったら分かりますよね。
ニポポ:
種類がまちまちだったのがすごいなと思って、所謂、小型犬からネコちゃんだったら毛並の種類もまったく違いますし、ハムスター的な小さいのとか、あと鳥。もうなんでもありでしたね。そこの臭いと雰囲気というのは、もう半端なかったですよ。そういったのも事後なんで、特に通報なんかもできないような状況なんですよね。
徳光:
鳥獣類保護法違反みたいな、そういうの。
ニポポ:
動物虐待には当てはまるんだけど、現場だったらね。