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『ドラゴンクエストⅢ』は「プレイヤーが報われた気持ちになれる」ゲームである 面白さの秘訣はテキストに込められた“温かな人間味”にあった

 今回ご紹介するのは、ゲーム夜話さんが投稿した『【ゆっくりゲーム解説】ドラクエ3改訂版-ゲーム夜話【第1回-前編】』という動画です。

 1988年2月10日1991年11月21日にファミリーコンピュータ用ソフトとして発売した、ロールプレイングゲーム『ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ…』。“国民的RPG”という地位を不動のものとした本作には、洗練されたゲームシステムの裏に隠された「温かな人間味」が込められていました。

 本記事では、このゲームの魅力について、音声読み上げソフトを使用して、博麗霊夢(はくれい れいむ)ピサロナイトのふたりのキャラクターが、本作を考察した動画の様子をご紹介いたします。


【ゆっくりゲーム解説】ドラクエ3改訂版-ゲーム夜話【第1回-前編】


「触れたら最後、日本全土がハルマゲドン」

霊夢:
 国民的RPG、通称“ドラクエ”シリーズの第3弾。都心の家電量販店では、発売日に長蛇の列ができ、メディアでも大きく取り上げられ、人気シリーズとしての地位を、不動のものとした作品です。

 ちなみに、発売当初のキャッチコピーは「触れたら最後、日本全土がハルマゲドン」。言ってることは少しも理解できませんが、とにかくすごい気迫の籠ったコピーですね。

霊夢:
 通称、「ロト3部作」の完結編。父・オルテガの果たせなかった、魔王バラモス打倒のため、16歳の誕生日を迎えた主人公が、冒険の旅に出る物語です。

ドラクエに「温かみ」を感じる理由

ピサロナイト:
 ドラクエは、よく“温かみ”があると評されますが、まずは様々な要素から、その源泉を辿ってみたいと思います。これは「ロト3部作」に共通して言えることですが、『ドラクエⅢ』は、勧善懲悪の物語です。つまり、打倒すべき絶対悪が、初めから存在します。悪には悪なりに、悪行に手を染める理由や、彼らなりの正当性があったりするものですが、少なくともゲーム内でそれが語られることはありません。

 いわゆる「大魔王理論」です。「世界を恐怖のどん底に叩き落してくれるわ! ふははははっ!」ファミコン時代には、このような大魔王理論的な悪者がたくさんいました。

 これは有名な話ですが、「ロト3部作」には、当時の日本ゲームユーザーに向けた、“RPGの壮大なチュートリアル”という側面がありました。まずは「RPGとは何か?」ということを知ってもらうことに、重点を置いたということですね。

 ロト3部作の冒頭では、大魔王理論的、絶対悪を駆逐すべく、王様から使命を与えられることで、ゲームの目的が最初から明確になっています。

 そして、それぞれに特色と付帯的な目的が設けられていて、『Ⅰ』はさらわれた姫を救うという、いわば王道的使命が与えられ、『Ⅱ』では、瀕死の兵士から、ムーンブルクの惨状を知らされることに端を発して、王子が魔王打倒のために立ち上がり、『Ⅲ』では、父親が果たせなかった、打倒バラモスの志を、母親の想いとともに果たすという、旅立ちの動機が示されています。

 さらに『Ⅲ』では、ゲーム最序盤で訪れるレーベの村で、親を魔物に殺されたという子供と、それを不憫に思う男が登場し、続くロマリアには、「母親を魔王から守りたい」と、寝言で呟く少年がいます。

 一見、見過ごしてしまいそうな細部でも、勇者は「子供たちや一般の人々を守るために戦っている」という温もりのこもった描写が、丁寧に積み重ねられています。

 そして、勇者たちの行動によって救われた人々が、犠牲に対する弔いと、心のこもった感謝の想いを口にし、プレイヤーが報われた気持ちになれる作品でもあります。

 以前、ある人が、「ドラクエは、街のみんなが褒めてくれるから好き!」と言っていました。これは、ゲームに深く入り込ませるための、プレイヤーを“その気”にさせる要素であると同時に、プレイヤーの行動によってリアクションが生じる、ゲームならではの双方向性を活かした描写だと思います。

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