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シリーズ47年の愛が詰まった『ルパン三世 PART5』 ストーリー構成からジャケットの色まですべてのこだわりがすごい

 現在放送中の人気アニメ『ルパン三世 PART5』(以下、『PART5』)。今回が5回目のテレビシリーズとなる本作ですが、第1シリーズが放送されたのは、なんと47年前の1971年。世代を超えて親しまれてきた、まさに国民的アニメと言うべき作品です。

 そんな長い歴史の最先端にいる『PART5』では、物語の構成にとある“仕掛け”が施されており、古くから作品を追いかけているシリーズファンを唸らせているのをご存知でしょうか?

 その“仕掛け”のカギとなるのは、ルパンのジャケットの色。ジャケットの色が持つ意味とともに、『PART5』が持つ魅力について紹介していきます。

(画像はアニメ『ルパン三世 PART5』公式サイトより)

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話数とジャケットの色の関係

 まず、『ルパン三世 PART5』の話数ごとのルパンのジャケットの色と物語の構成を表にまとめたものをご覧ください。

話数ジャケットの色構成
1話続きもの
2話
3話
4話
5話
6話ピンク1話完結
7話続きもの
8話
9話
10話
11話1話完結
12話1話完結
13話続きもの
14話
15話
16話

 特徴としては、

・話数によってルパンの着ているジャケットの色が変わる
・物語の根幹をなすストーリーのときのルパンは青ジャケットを着用
・続きものの合間に1話完結ものが放送されている
・1話完結もののは青ジャケット以外を着ている

以上のようになっています。

 じつは『ルパン三世』のテレビシリーズにおいて、シリーズごとにジャケットのカラーが変化していることは、ファンのあいだでは有名な話。

(画像は「ルパン三世 PART5」1話~12話一挙放送より)
(画像は「ルパン三世 PART5」1話~12話一挙放送より)
(画像は「ルパン三世 PART5」1話~12話一挙放送より)

 そしてこのジャケットの色は、緑色ならクールでドライ、赤色ならコメディ要素強め……のようにルパンの性格にも関係しているのも、これまたファンのあいだではよく語られる話でもあります。

 そんなジャケットの色が同シリーズの中で勢揃いするのは、おそらく『ルパン三世』史上初なのではないでしょうか。

 そしてこれこそが本シリーズの“仕掛け”。ジャケットの色とともに、ルパンの性格や物語の雰囲気なども一変しているのです。

青ジャケットルパン(1~5話、7~10話、13~16話)

 たとえば、本シリーズのメインジャケットカラーと言える青色の場合。

(画像は「ルパン三世 PART5」1話~12話一挙放送より)

★青ジャケットルパンの特徴
性格:シリアスとギャグのバランス型。女性関係が落ち着いた傾向
不二子との関係:複雑な大人の関係
物語の雰囲気:シリアスとギャグのバランス型

殺人描写:あり

 『ルパン三世 PART4』と同様、ふだんはおちゃらけた態度を取りつつも、ここぞという場面で見せるオトナのダンディズムなルパンが描かれています。

 とくに女性関係は落ち着きを見せていて、本シリーズのヒロイン枠のアミに対しては保護者的ポジションで、不二子に対しても“ルパンダイブ”をするような積極的なアプローチはしていません。

(画像は「ルパン三世 PART5」1話~12話一挙放送より)

ピンクジャケットルパン(6話)

 6話の「ルパン 対 天才金庫」ではピンク色のジャケットに衣装チェンジしたルパン。この回は5話までの雰囲気から一変、『PART3』を彷彿とさせる昭和アニメ的なスラップスティック色の強いコメディになっていました。

(画像は「ルパン三世 PART5」1話~12話一挙放送より)

★ピンクジャケットルパンの特徴
性格:スケベなお調子者
不二子との関係:積極的にアプローチ
物語の雰囲気:コメディ要素強め、ややアダルティック表現あり
殺人描写:なし

 このエピソードではルパンだけでなく、次元や銭形警部も『PART3』のカラーリングで登場。 『PART3』を知るファンにはたまらない、懐かしい雰囲気を醸し出していました。

 ピンクのジャケットを着たルパンと仲間たちがくり広げるドタバタギャグの嵐は、『PART3』の放送当時を思わせる見事な出来。その再現性は、もはや『PART5』ではなく『PART3』の最新話とも呼ぶべきレベルにまで達していました。

 この回の脚本を務めたのは、『PART5』副監督の酒向大輔氏。『PART3』当時の雰囲気を再現した独特な仕上がりは、『ルパン三世』シリーズにあこがれてアニメ業界に入ってきた酒向氏だからこそ作り出せる味と言えるでしょう。

(画像は「ルパン三世 PART5」1話~12話一挙放送より)
(画像は「ルパン三世 PART5」1話~12話一挙放送より)

赤ジャケットルパン(11、12話)

 また11話「パブロ・コレクションを走れ」では、ルパンは赤ジャケットを着て登場。これはテレビアニメ第2シリーズで初登場し、その後の劇場版アニメやTVスペシャルでも長く使用されてきたコスチュームです。

(画像は「ルパン三世 PART5」1話~12話一挙放送より)

★赤ジャケットルパンの特徴
性格:スケベなお調子者
不二子との関係:積極的にアプローチ
物語の雰囲気:コメディ要素強め、ファミリー向け
殺人描写:直接的な描写はなし

 TVスペシャルを彷彿とさせるようなルパン一味の冒険活劇が描かれたこの回では、峰不二子から見たルパン像にスポットライトが当たります。

 『PART5』本編ではビジネス仲間や戦友としての側面を描かれつつ、15話ではさらに複雑な大人の関係を見せたルパンと不二子ですが、このエピソードでは仕事仲間以上、恋人未満といったラブコメチックな雰囲気に。

 女心よりも男のロマンを求めるルパンに不二子が終始ヤキモキさせられるという、少し変わった物語となっていました。

(画像は「ルパン三世 PART5」1話~12話一挙放送より)
(画像は「ルパン三世 PART5」1話~12話一挙放送より)

初代シリーズの緑ジャケットへの期待

 赤、ピンク、と登場していることで、つぎに期待するのは緑ジャケットルパン。

 シリーズ中でもとくにハードボイルドかつドライなテイスト漂う存在だけに、いま再登場したらどのように描かれるのかは気になるところ。16話の次回予告で登場していたので17話に期待しましょう。

(画像は「ルパン三世 PART5」16話上映会より)
(画像は「ルパン三世 PART5」16話上映会より)

 シリーズ構成の大河内氏によれば、こうした1話完結型のエピソードでは、作り手側も“自分のいちばん好きなルパン”を表現しているとのこと。

 こうした過去作品と当時の作風へのリスペクトこそが、シリーズを長く愛してきたファンの心をつかみ、テイストの異なる単発エピソードという挑戦を成功へと導いているのでしょう。

 『キノの旅』原作者の時雨沢恵一氏、『普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。』、『BanG Dream!』などのシリーズ構成で知られる綾奈ゆにこ氏など、今後もさまざまな脚本家が参加することが発表されている本作。

 それぞれの作家によってどのようなルパンが描かれるのか……47年もの長きに渡って愛されてきた『ルパン三世』の愛がすべてが詰まっていると言える本シリーズがどう展開されていくのか、目が離せません。

『ルパン三世 PART5』はニコニコで!

 『ルパン三世 PART5』第1話「地下塔(ツインタワー)の少女」はニコニコ動画チャンネル放送で無料公開中。

 さらに、最新話をチャンネル放送で一定期間無料公開、ニコニコ生放送でも各話上映しているので、コメントともに『ルパン三世 PART5』を楽しみたい方はぜひご視聴ください。

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