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『とある』御坂美琴のレールガンの威力を科学的に検証 マッハ3で発射されTNT爆薬0.5t分の爆発力でも壊れないゲーセンのコインって一体

 アニメ『とある科学の超電磁砲』に登場する御坂美琴。彼女は発電系能力である電撃使い(エレクトロマスター)であり、「物体に電磁加速を加えて放つ」というエレクトロマスターの中でも最高位の能力である超電磁砲(レールガン)の使い手です。

 美琴の代名詞でもあるレールガンは、作中で何度も彼女のピンチを救い、劇的な勝利に貢献してきました。そんな彼女のレールガンの能力を科学的に検証するのが、シルフィード(NSVF)さんが投稿した『【空想科学】美琴の”超電磁砲”の威力を検証してみた【レールガン】』という動画。

 投稿者のシルフィード(NSVF)さんが、アニメ『とある科学の超電磁砲』に登場する御坂美琴の「超電磁砲(レールガン)」の威力について徹底的に検証を行います。

アニメ『とある科学の超電磁砲』
(画像はアニメ『とある科学の超電磁砲』公式サイトより)

【空想科学】美琴の”超電磁砲”の威力を検証してみた【レールガン】


レールガンとは?

シルフィード(NSVF):
 まず、美琴のいう「レールガン」というものの原理についてみていきます。図のように二本の伝導体でできたレールの間に、同じく伝導体でできた物体を置きます。これらは物理的に接触しています。

 これに電圧をかけ、電流を流します。

 すると図のように磁束と呼ばれるものが発生します。

 さて、ここでフレミングの法則【※】より、電流と磁束の関係から、ローレンツ力と呼ばれる力が生じます。

※フレミングの法則
磁束と電流の関係により力が生じる法則。

 電流を断続的に流し、このローレンツ力を中央の導流帯に与え続けることで、徐々に加速し弾として発射するわけです。この弾を弾体と言います。

 しかし物体に電気を流すとジュール熱とよばれる熱が発生し、弾体となる伝導体は非常に高熱となります。威力を期待するだけの大電流を流す場合、多くは伝導体がプラズマ化【※】してしまいます。蒸発の上位互換だと思ってください。

※プラズマ化
気体を構成する分子が電離した状態。

マッハ77.3で翔ぶコインの重さは……?

シルフィード(NSVF):
 今度は実際に起こった被害から超電磁砲の威力を求めたいと思います。アニメ『とある科学の超電磁砲』第一話のシーンから考えていきましょう。

 美琴さんがコインを放ちます。高速で走行中の車に、何らかの衝撃をもたらし、車は上向きの力を受け宙を舞い、放物線を描いて、無残にも墜落する。

 車の上昇高度は、車の速度や大きさに関係なく、車の重量と滞空時間で決まります。場面中の滞空時間を測るとおよそ12秒。つまり落下と上昇に6秒ずつかかったことになります。

 自由落下の公式に当てはめると上昇高度hは、

h[m]=0.5×重力速度g[m/s・s]×(滞空時間[s])^2=0.5×9.8×6^2=176.4[m]

 これはちょっと高すぎるような……。

 車の重量を1トン程度とします。1トンの物体を高度176.4mまで持ち上げるのに必要なエネルギーEpは、位置エネルギーの公式に代入すると、

 Ep=質量[kg]×重力加速度g[m/s・s]×高度[m]=1000×9.8×176.4=1728720[J]

 使用しているコインが同じものとするならその速度

v=√(2E/m)=26296.16[m/s]=マッハ77.3

 これは速い! 逆に美琴さんの自己申告であるマッハ3に固定すると、必要なコインの重さは……m=2E/v^2=3.32[kg]!? 美琴さんはこんな重いものをジャラジャラとスカートに入れとったんですか!

矛盾解決の鍵は電気ではなく磁力にあった! 「零距離レールガン仮説」

 コインの重さだけでなく、劇中のこのシーンについても矛盾が発生しています。

シルフィード(NSVF):
 気合を入れて押し返せたということは、気合を入れた時点でさらにコインに力を加えたということに他ならない。これはもうレールガンでもなんでもない。

 レールガンはレール上で加速し、弾体を射出する兵器です。だからレールから射出された後は力を加えることはできないし、速度は落ちる一方です。しかし逆を言えば、レール上にある間は加速することができるのです。

 つまり、レールから射出されてから対象に着弾するのではなく、レールを対象の目前まで作り、射出直後に対象に着弾する。こうすればレール上にある間なら電流を加えることによってさらなる加速を行えるので、最終話にあるようなせめぎあいが可能となります。

 さて、問題はこのレールについてです。

 美琴は周囲の金属を磁力によって操ることが可能なのです。そして注目すべきはレールガンの発射後の描写。

 この二つの場面の共通点。どちらの場面も、発射後には地面が抉れているのです。道路を形成するアスファルト・コンクリートにはスラグという材料が使用されており、これには微量ではありますが金属類を含有します。超電磁砲で破壊したと思わせて、実は道路から瞬時にレールの材料を調達していたのではないでしょうか。

 こうしてみると、美琴がレールガンを撃った際に走るオレンジ色の線はコインの軌跡ではなくレールが高温になり発している光であると考えればコインの途中経過が見えることに辻褄が合います。

 これを零距離レールガン仮説と呼称したいと思います。これによって他の諸問題も解決できるといいのですが……。

仮説からみる「本当の超電磁砲」の威力

 最後に、零仮説をもとに最終話で見せた美琴の「本気」の威力を見てみたいと思います。

シルフィード(NSVF):
 テレスティーナは美琴の射程距離を知っていることを自慢していたので、美琴の距離は60mほどはとっていたでしょう。また、美琴が放ったロボアームは大きさからみて金属製ですし20kgぐらいとしておきます。

 すると前述の式よりロボットにあたる直前にはおよそ

24959.2[m/s]=マッハ73.4

 まで加速されていたことになります。この時の運動エネルギーとは、約2.1[GJ]。TNT換算にして0.5トン分! 

 音速を超えて運動する物体からは先端を頂点とした円錐状に衝撃波が発生するのですが、その先端角θはarcsin(1/マッハ数)で求めることができます。美琴から2mの時点での衝撃波を考えると、この時点での速度はマッハ13。となると衝撃波の生じる角度は4.4度。このとき美琴の体付近の衝撃波を受けない範囲は、半径19.4cm.。これでは美琴さんは全力でレールガンを撃つと右手だけを残して消し飛ばされる!

 Wikipediaによると美琴の身長は161cm。これを基準に衝撃波の受ける範囲を先の場面から図示すると、このようになります。

 赤い部分が衝撃波を受ける範囲です。肩から下が完全に持って行かれますね。

 物体に物体が力を加えると必ず反作用というものが生じます。物体Aが物体Bを押すとき、BもまたAを押しています。これを反作用と言います。反作用は物体に加えた力と同じだけの大きさの力を受けます。今回の場合レールガンがこの力を受けることになります。

加速度5.2×10^6[m/ss]で質量20[kg]の物体を押す力とはその積で104×10^6[N]。

 これは質量10.6キロトンの物体が受ける重力に等しい。50万トンタンカー20隻を持ち上げる程度の力でレールは反作用を受けます。レールは磁力操作で形成しているわけですから、美琴は磁力操作能力だけでこれだけの力を支えていることになります。

 逆算するとこの磁力操作能力で車10000台を空中にぶん投げることが可能ということ。これはもう一々砂鉄集めて得物にするとかしてないで100gくらいに固めてボンボンマッハ単位で投げつける方がよっぽど強い! 今後の学園生活を円滑に進めるためにも、美琴さんには撃つたびに衝撃波と熱線を撒き散らし地面を抉るはた迷惑極まりないトンデモ技は自重して、鉄球投げや釘マシンガンで戦っていただきたい。


 撃つたびに衝撃波と熱線を撒き散らし地面を抉っている美琴に、「まあ中学生だし、格好いい超電磁砲の方を選ぶであろう事は確かだな 能力の上手い使い方なんてレベル5に教える人はいないだろうし」「科学の力ってすげー」といったコメントが寄せられました。

 解説をノーカットで楽しみたい方はぜひ動画をご視聴ください。

▼動画はこちらから視聴できます▼

【空想科学】美琴の”超電磁砲”の威力を検証してみた【レールガン】

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