リン・ミンメイ、伊達杏子、初音ミクetc…バーチャルアイドルの歴史をアニラジ元パーソナリティー・おたっきぃ佐々木が語る
90年代後半に「バーチャルアイドル」はマニアに浸透
おたささ:
90年代に入っていきます。91年に『ストリートファイターII』がリリース。ここからが格闘ゲームブーム。格闘ゲームといえば、格闘ゲームの女の子がブームになって、そしてコスプレがブームになった。コスプレブームが一番火がついたのがここだと思うんですよね。そういうところで現実とキャラクターの区別というのが曖昧になっていくというか。
94年にはゲームのヒロインを集めた雑誌、その名も「Virtual IDOL」が創刊。現在のキャラクター重視なシーンの方向性を作り上げた一つの雑誌なんじゃないかなという見方をしています。同じ1994年、『マクロスプラス』に登場したシャロン・アップル。
これは作品内ではバーチャロイドシンガーという言い方をして、作中で描かれた人々は現実に存在しないのがわかった上で、ちゃんとアイドルとして認識している。また楽曲がすごい。菅野よう子さんが担当していたので、なんかもうアイドルシーンの80年代アイドルの松田聖子とか中森明菜がいる中で、いきなりUAが来ちゃったみたいな。
でも完全にここは初音ミク前夜な感じですよね。そして90年代初頭のギャルゲーブームに人気を博した『ときめきメモリアル』の藤崎詩織もアイドルとして1996年くらいには……。
天海:
私生まれました!
おたささ:
だから96年くらいには「バーチャルアイドル」という言葉は、雑誌も出たし、割とマニアにとっては浸透している。だから生まれた頃にはバーチャルアイドル時代だったんだよ。
天海:
なるほど、深いですね。
おたささ:
バーチャルアイドルっ子だよ(笑)。
天海:
そうですよね(笑)。
00年代、ついに「アイマス」と「初音ミク」が登場! アイドルを自分でプロデュースできる時代へ
おたささ:
そんな感じで、96年に伊達杏子、98年にテライユキ。こんへんは3DCGアイドル。だからグラビアアイドルが3DCGとして登場する。写真集とかも出ています。
どんどん3DCGのラフが上がっていって、動きも滑らかになっていって、結果2005年、それまでは格闘ゲームとかで技術が使われていたのですが、ついに『THE IDOLM@STER』がリリースされます。
天海:
来ましたね!
おたささ:
要するに3Dアイドルを育成して、そのステージを見ることができる。ここで完全に生まれてくるわけですよ。今までずっと流れを説明しましたけれどゲームを作ってきた技術畑の部分がドーンとあって、アニメが作ってきたコンテンツとしての面白さの部分。
アイドル畑としての楽しみの世界観の土台というのが三本柱で動きながら行ったり来たりしながら、バーチャルアイドルっていうものを作り上げてきた感じになるわけですね。そして2007年にボーカロイド初音ミクが登場。もうここからはみなさんも知っていると思いますが、ついにバーチャルアイドルを手に入れちゃったわけですよね。
天海:
そうですよね。自分でプロデュースできるようになっちゃいましたもんね。
おたささ:
MikuMikuDance【※】で動かしたりとか。そんな感じで様々なボーカロイドの登場を経て、現在のバーチャルYouTuberたちへの存在の流れになってくるわけですよ。ざっくりとお送りしたんですけれど、まぁそんな感じで。さっき説明した通り、ゲームの世界、アニメの世界、アイドルの世界と、そんな三本柱を行ったり来たり。
※MikuMikuDance
樋口優氏が制作した、プリセットされたキャラクターの3Dモデルを操作しコンピュータアニメーションを作成する3DCGソフトウェア。略称はMMD。デフォルトで初音ミクなどVOCALOIDキャラクターの3Dモデルを使用できる。
そのどれが欠けても今のシーンはなかったんじゃないかなと。初音ミクもそうでしょう。たとえば歌は歌唱する部分もあれば、絵を描いて。それはアイドル的な部分だったり、ライブをやったりするっていうのは、アイドル的なパートだったりするし、コンテンツの話的な部分。
歌とか作りながら、それ以外のお話とか、世界観を作り込むところではアニメがベースになっている。そこの行ったり来たりを楽しむのが、バーチャルアイドルの楽しみ方なんじゃないかな。
バーチャルアイドルは2次元寄りの3次元? ますます境界線が曖昧に
おたささ:
(メールを読む)『超時空要塞マクロス』を含め、キャラクターと中身の境界線が曖昧になっている感じがします。
そうですよね。『THE IDOLM@STER』とか、それこそ『ラブライブ!』ってライブを見に行った時に声優さんのライブなのか、キャラクターのライブなのかよくわからないじゃないですか。
天海:
確かに言われてみればそうですね。
おたささ:
もう完全にキャラクターがライブしているのを、中の人がトレースしているのか、むしろこっちが本物でアニメとかゲームがトレースしているのかって、「どっちが本物だと思う?」と言われると、どっちもありなんじゃない? みたいな。そういう境界線はどちらが主なのか、主と副が曖昧になっている。でもそこが楽しいのかなと思うし。
(メールを読む)バーチャルアイドルって、3Dコスプレとも言えるんじゃないでしょうか。
これはそうだね。
天海:
上手いですね。3Dコスプレ。
おたささ:
ある意味極端なことを言えば、俺だってバーチャルアイドルになれるわけですからね。だから夢があるよね。
天海:
無限大ですね(笑)。
おたささ:
(メールを読む)バーチャルアイドルって自分好みにカスタマイズできるのも魅力じゃないでしょうか。
そうそう。そういうところですよね。
天海:
自分の好きなものだけ詰め込めますもんね。
おたささ:
(メールを読む)2.5次元は3次元上からの2次元。バーチャルアイドルは2次元寄りの3次元。2次元の中も細分化されていっているのではないでしょうか。
なるほどね……。
天海:
難しくてわからない……(笑)。
おたささ:
2.5次元ってよく言うじゃないですか。アニメの舞台とか。あれも3次元なのか、2次元なのか。あえて2.5次元という言い方をする、みたいな。3次元寄りの2次元。バーチャルアイドルは2次元寄りの3次元。
天海:
うんうん。
おたささ:
2次元と3次元が境界が曖昧になっているのかなっていうところは、すごいあるわけですよね。
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