アニメ『ピアノの森』を見たハライチ岩井「ちょっとクセがあるけど面白かった」。ほか注目作『ひそねとまそたん』『グラゼニ』についても語る
お笑いコンビ ハライチの岩井勇気氏がお届けする、本音でアニメを語る番組「ハライチ岩井勇気のアニ番」。
第86回の放送では4月上旬時点の春アニメランキングを発表しました。1位には『ピアノの森』、2位に『ひそねとまそたん』、3位に『グラゼニ』、4位に『メガロボクス』がランクインしました。
※本記事には『ピアノの森』、『ひそねとまそたん』、『グラゼニ』、『メガロボクス』のネタバレを一部、含みます。ご了承の上で御覧ください。
4位 『メガロボクス』
岩井:
意外といいんですよ。リメイクというか。
──現代版ですよね。
岩井:
『あしたのジョー』の現代版なんですけれど、なんかやっぱり台詞回しがめっちゃ渋いんですよね。監督が『LUPIN THE ⅢRD 次元大介の墓標』をやっていた人。台詞回しがめちゃめちゃかっこいいし、絵の感じもボクシングの世界観に合っているんだよね。
メガロボクスっていう、身体に機械をつけて戦う世界観なんですけれど、戦闘の臨場感が。『甲鉄城のカバネリ』もやっている人なので、キャラデザも渋いの。戦闘シーンがめっちゃよかったね。殴り合っていて、こういきますよね。
手のアングル、顔にパンチが来るところとかアングルがすごく上手いんです。やっぱりアングルだなって思いましたね。戦闘ってアングルだよね。
──センスですよね。
岩井:
これを見て思いましたよ。めちゃくちゃ臨場感がありました。このあいだ、尾田栄一郎と鳥山明の戦闘シーンの違いを見比べるみたいなサイトがあったんですよ。やっぱり抜群に鳥山明はアングルがすごいんだよね。奥行きもめっちゃあるし。フリーザが指から光線を出しているシーンがあるんだけど、なぜかは知らないけれど、上のアングルから描いているんだよね。
読んでいるほうは距離感がめっちゃ掴める。『ONE PIECE』は何を描いているのかわからない(笑)。
──それがいいんでしょうね(笑)。
岩井:
『メガロボクス』は内容もすごく面白くて、地下競技場みたいなところで戦っているんですが、主人公が八百長に手を出しているんですよ。自分は本当はもっと戦えるのに、それが嫌になってある日、負けてくれって言われたのに倒してしまう。
それでやくざと揉めて、メガロボクスの大会で優勝して賞金を稼がないと殺されちゃうということになったから、地下の競技場じゃなくて本当の大会に出ていこうということになった感じです。面白いです。
3位 『グラゼニ』
──きました、話題作。
岩井:
これ、俺はすごい面白かったですね。
──かなりの話題作ですよ。
岩井:
俺、全然野球とかわからないし、スポーツアニメもあまり好きじゃないんだけど。野球アニメじゃないんだよね。面白かったな。主人公がメガネをかけた五分刈りみたいな主人公なんですけれど、「突然ですが、僕の年収は1800万円です」って言うわけ。鼻持ちならないなというところからはじまって。
でも実はプロ野球選手の1800万円って、そんなに高くない。生涯獲得賞金で考えたら……。
──ずっと低い。
岩井:
ずっとやっていられるわけじゃないから低いというのが、後々わかってくるわけですよ。主人公は野球選手なんだけど、年俸で他の選手のことを見ている。自分の年俸より安い選手は下に見ているし、上の選手は敬っているし、自分の年俸を上げるためにはどうしたらいいんだろうということを考えている。
ポジションとかはよくわからないんだけれど、ピッチャーで中継ぎ投手と言われる、先発ピッチャーと抑えピッチャーの間を埋める役目の人。どれだけ投げたかが自分の年収に反映されるんだけど、調子が悪いとすぐに代えられちゃったりして、だからお金が如実に変動する人なんですよ。
20代後半でプロ野球選手になった人を打ち取らなきゃいけないことになったんだけど、この人は年俸700万円。自分より低いけれど嫁も家族もいて、首の皮一枚でつながっている状態の人。
これを打ち取ったら、たぶんこの人は契約が危うい。「でもこれがシビアな世界なんだ」と言って、アウトにする。それが辛いんだけど、そういうシビアな世界なんだっていうのを教えてくれるアニメです。
グラウンドには銭が埋まっている。全部お金なんだという主人公の話だから、野球を全然知らなくても見られる。野球アニメじゃないんだよね、お金アニメだからすごく面白かった。野球を知らなくても大丈夫。ほとんど説明してくれるから。
──第37回講談社漫画賞を受賞しています。
岩井:
面白いもん。落合福嗣くんが主人公の声優をやっているんだよね。めっちゃしゃべるんですよ、このアニメ。
──でもあの名将、名野手の落合博満の息子が『グラゼニ』の主人公というのは、なかなかいいドラマだと思います。
岩井:
全然声優の演技も気にならず、確かに上手いっちゃ上手い。
──こういうのを見ていると、プロ野球選手もこんなことを考えて投げているのかなとか、バッターボックスに入っているのかなって、ちょっと思ってしまいます。
岩井:
それはあるんじゃないですか。ある程度何年かやったら自分の現状が見えるじゃないですか。芸人とかってどこで跳ねるかわからないし未知の可能性を秘めているけれど、なんとなく自分のプレイスタイルとか急に爆発的に売れるとかって、スポーツ選手とかではないじゃないですか。
なので、そういう現実的な考え方をしているのが現状じゃないんですかね。芸人はバカみたいに何もしないで過ごしていても、売れるときには売れますからね。
──(笑)。
岩井:
努力していないやつでも売れますからね。
──誰のことを言っているんでしょうね(笑)。
でもアメリカのメジャーリーグの場合とかは多いんですよね。一球でいくらとか、細かい契約とか。肩には限界があるから、生涯に何球しか投げられないとか計算して出して投げさせる監督とかもいるくらいですからね。
岩井:
自分が高校時代のときから憧れていた選手がいて、先輩なんだけど、そいつが引退した。鳴かず飛ばずの選手で引退したんだけど、すっとラジオDJになることができて。解説とかもちょこちょこやっている人なんだけど、一緒に飲みに行くわけ。先輩だからっておごってくれるんだよね。でも実際のところ、引退したあとは年収は300万にも満たない。
ピッチングコーチとかトレーナーになるっていうのが、一番エリート。あとはわからない。野球選手はあれだけいて、あれだけ引退するんだから。このあとどうするんですか? という話も教えてくれているから面白いですね。
──年俸1800万円でも1800万円入ってこないですからね。税金で取られ、自分の体を作るのに使ったら、いくら残るの? って。なかなかシビア。
岩井:
上はすごいんでしょうけれど。年俸とスポンサー契約があると。
──名前を出すわけじゃないですけれど、高校のときは同じくらい注目されていて、片やメジャーに行き、片や全然勝てずに頑張っている選手もいますからね。
岩井:
高校のときの結果は逆だったのにね。
──高校のときは準優勝だったのに。
岩井:
平家みちよ【※】パターンですね。
※平家みちよ
現芸名はみちよ。テレビ番組で行われたシャ乱Q女性ロックボーカリストオーディションのグランプリを獲得。落選者で結成されたモーニング娘はその後国民的アイドルになった。
──今のリスナー、どれだけわかるかな(笑)。懐かしいですね(笑)。