8bitサウンドが印象的なボカロ曲「ゼロ発信」5分8秒と長尺ながら没入感ある楽曲に「マジで5分とは思えない」「あっという間の5分間」の声
今回は、濁茶さんが2月23日に投稿した「ゼロ発信」を紹介する。ボカコレ2024冬のTOP100ランキングの14位にランクインした同曲は、5分8秒という長尺ながら、体感時間はそれよりもはるかに短く感じられるほど、濃密な内容が凝縮された没入感の高い作品になっている。
特筆したいのは、ミュージックビデオにおいて、濁茶さん独自の実写素材、CG、そして自身が手がけたイラスト・アニメーションが絶妙に融合することで、濁茶さんによる独自の視点における体験を生み出していること。これらの要素と次第に高まりを見せていく壮大なサウンドスケープから、物語世界が広がっていく感覚を味わうことができる。
8bitのファミコンを彷彿とさせるノスタルジックなサウンド展開に続く笙の迫力ある音色が印象的だ。〈遠くのビルはタケノコ 視えぬ暮らしも見えずに想えるの〉というファンタスティックなリリックセンスもミュージックビデオのアニメーションと共に光る。
キーとなるのは“電話”。サビでは電話越しの声が本人の声とは異なるという事実が明かされ、2番以降でその認識が深まっていく。壮大なサウンドとマサハル電機によるカントリー風ミュージックの温かみのあるギター演奏が、楽曲の世界観を大きく広げ、さらなる盛り上がりを演出。聴きどころ満載の展開が楽しめる。
〈街を見おろす海沿いのビルで 暮らしを全部ミニチュアにして どこかにあなたを探す〉という歌詞は、濁茶さんの独創的な世界観を象徴する一節。そして、ミュージックビデオの終盤で孵化した巨大なニワトリが天球を割るシーンは、視覚的にも強烈な印象を与えてくる。フィクションの枠を超えたこのシーンで、〈胸の中に響くのは 再現した声〉〈だとしても だよ それでも 声に出して〉と歌われることで、世界がどんな状況に陥っても、人とのつながりを諦めないという力強いメッセージが聴こえてくるよう。ラストには、電話の効果音を背景に、フィーチャリングボーカルの重音テトが登場。まるで電話をする人と人をつなぐキーマンとして物語を締めくくっているように見えるのもポイントだ。
ファミコンの要素と共に、ますますデジタル化が進む現代にあえて古い黒電話や公衆電話が登場することで、時代を超えた人とのつながりの価値が強調されている。デジタルツールが発達し、物理的な距離が縮まった現代において、私たちは本当に深いつながりを感じているのだろうか?本作品は、直接、声や表情を交わしながら人とつながることの温かさ、時間や空間を超えて人々が深く結びついていることを、改めて気づかせてくれる作品といえる。
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