ボカロのジャケットやMVを手掛けるイラストレーター・沼田ゾンビ!?の初個展『CHIMERA -キメラ- 』で放つ「KAWAII」のすべて
歌い手、ボカロPのジャケット、MVを手掛けてきた沼田ゾンビ!?。
沼田ソンビ!?と言えば、歌い手Adoの配信シングル「ギラギラ」「永遠のあくる日」ジャケットや MV のイラスト映像制作などをはじめ多くの歌い手、ボカロPのジャケットやMVも手掛けてきたイラストレーターである。
これまでの作品はそれぞれの楽曲のテーマやメッセージを汲み取って手掛けてきた。
今回は初の個展。これまでとは異なり、自身がテーマやタイトルを考え、全てセルフ・プロデュースで各作品を制作・披露することになる。どのような作品が完成され、どのように展開されているか・・・7月30日まで開催中の個展をいち早く観覧したが、作品から放たれる強烈なメッセージを受け取ることになる。
今回の個展のタイトルである『CHIMERA -キメラ- 』。とは・・・同一の個体内に異なる遺伝情報を持つ細胞が混じっている状態や、 そのような状態の個体のことである。まさに沼田ゾンビ!?という1人のイラストレーターから産まれた異なるストーリーが会場となる東京・渋谷のelephant STUDIOを包んだ。
今回1階と2階の各フロアを全て使って、沼田ゾンビ!?それぞれの作品で異なるストーリーが表現されている。
1階に入ると会場内は薄暗い青。
中央のオブジェが真っ先に目に映るこの会場では、オブジェの正体である「魔法天使ちゃん」を生み出した「宮下くん」の頭の中で作り出された世界、そして「宮下くん」自身の部屋を模した空間で表現されていた。
それぞれの作品をよく観察すると「宮下くん」が考える世界は現実と空想の間で展開されていることがわかる。そして変化する複雑な感情が作品を通じて伝わってくる。「空想の世界」というのは誰にとっても本当に素晴らしい。全て自分の自由にできる。だからこそ触れられたくないものであり、介入されたくないものである。しかし、ときにはその空想が増大し現実が介入することがある。そうなると空想と現実がわからなくなり、ときには空想が崩れていってしまう。
「宮下くん」という存在を通じて、誰しもが考え兼ねない、愛おしくもあり、残酷でもある世界を目と耳と、そして全身で体感できる空間になっている。
そして2階へ上がると、また違った世界が広がる。
2階の会場内は明るく、そして赤い。
1階がどこか”静”を感じるのであれば、2階どこか”動”や”生”を感じる。
ここでは沼田ゾンビ!?が考えるカワイイ→「KAWAII」作品で空間が作られている。
現代はあらゆる手法で誰しもがカワイイを意識し、作り上げることができてしまう。映え写真や、各SNS投稿画像など、一見するとどれもがカワイイ。
しかし、それは加工や表面上の修正を施しているものがほとんどである。果たして、本来の人間はいわゆる無加工でもカワイイのか。コンプレックスである部分も全てさらけ出し”生”として存在すること自体が既に「KAWAII」存在ではないか。表情、仕草、そして流れる血などを含めて、、、
ときに残酷な描写ですら「KAWAII」と感じられる、沼田ゾンビ!?からの想いが伝えられたような空間であったと感じられた。2階の様子はぜひ足を運んで体感していただきたい。
沼田ゾンビ!?が作り上げた空間は、ときに残酷ではあるが、ときに誰しもが当てはまる内容を作品を通じて伝えている。是非『CHIMERA -キメラ- 』に足を運び、その強烈なメッセージを体感して欲しい。
「沼田ゾンビ!? solo exhibition『CHIMERA -キメラ- 』」
【会期】
2023 年 7 月 16 日(日)〜7 月 30 日(日)
11:00〜19:00(最終入場 18:30)
【会場】
elephant STUDIO
〒150-0002
東京都渋谷区渋谷 2-7-4 elephant STUDIO
【チケット販売】
https://artsticker.app/events/10397
【販売グッズ一覧】
【沼田ゾンビ！？SNS】
Twitter：
https://twitter.com/Dobuu_2
Instagram：
https://www.instagram.com/zombie_numata/