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『チェンソーマン』のモデルと噂されるチェンソーを作ってる会社は、昔は銃を作ってたって知ってる? 創業330年の老舗メーカー「ハスクバーナ・ゼノア」にお話を聞いてきた

 大人気放送中のアニメ『チェンソーマン』。
 そんな『チェンソーマン』に登場するチェンソーは、ハスクバーナ・ゼノア社のチェンソーがモデルになっているという噂をご存知でしょうか?

『チェンソーマン』のモデルになったチェンソーを作ってる会社は、昔は銃を作ってたって知ってる? 創業330年の老舗メーカー「ハスクバーナ・ゼノア」にお話を聞いてきた
ハスクバーナ・ゼノア社

 おそらく、日本の歴史上でもっとも「チェンソー」に注目が集まっている今、噂の真相を確かめつつ、せっかくならこの機会にチェンソー界隈の最新事情について教えてもらいたい。
 そう考えたニコニコニュースオリジナル編集部は埼玉県川越市のハスクバーナ・ゼノア社に取材を実施し、社員の皆さんにお話を伺って来ました。

『チェンソーマン』のモデルになったチェンソーを作ってる会社は、昔は銃を作ってたって知ってる? 創業330年の老舗メーカー「ハスクバーナ・ゼノア」にお話を聞いてきた
左からマーケティング部マネージャー山根さん、マーケティング部武田さん、商品企画グループ持丸さん

 取材では、『チェンソーマン』のモデルになったのでは? という噂の真相だけでなく、実際に製品を動かしていただきつつチェンソー界隈の最新事情を教えていただきました。
 アニメ第1期の最終回に向けて、ぜひこの機会にチェンソーについて理解を深めてはいかがでしょうか?

取材/トロピカル田畑


■ハスクバーナのロゴに隠された秘密

――ハスクバーナ・ゼノア社は、創業からチェンソー……一般的には“チェーンソー”と呼ばれていますが、ずっとそれを製造している会社なのでしょうか?

山根:
 そもそもは、株式会社ゼノアという名前の日本の会社が、2007年に本社がスウェーデンにあるハスクバーナという会社の日本法人と合併しまして「ハスクバーナ・ゼノア」という名前になりました。
 製品のブランド名としては、「ハスクバーナ」という名前でお客様からは認識していただいていると思います。
 元々、「ハスクバーナ」という会社では銃を作っていたんですよ。

――えぇ! 銃ですか?

山根:
 はい、マスケット銃と言いまして日本では火縄銃と呼ばれている種類の銃です。
 先程も言いましたが、ハスクバーナの本社はスウェーデンにありまして、1689年にマスケット銃を製造してスウェーデン王室に納めていたことが会社のはじまりです。

画像はWikipediaより。

――王室御用達だったわけですね。

山根:
 今でもその名残はあるんですよ。ハスクバーナのロゴはマスケット銃の狙いを定めた銃口がモチーフになっています。

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 マスケット銃の製造に会社の歴史は始まりましたが、平和な世の中になってからは猟銃を製造するようになりました。
 それから工場施設を転用して、次はミシンを……。

――銃の次はミシン!?

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会社説明資料より。

山根:
 そうです。銃の次にはミシン、そしてチェーンの技術を使って次は自転車ですね。
 それからバイクを作るようになった後に、アウトドア製品を作るようになり、草を刈る刈払機や、木を伐採するチェンソーを製造販売するようになったというわけです。
 日本では「ハクスバーナ」とSNSで検索するとバイクの写真が出てくる場合が多いと思いますよ。
 いまではロボット芝刈機の開発・販売をおこなっています。

――銃、ミシン、自転車、バイクときてチェンソー……ずいぶん変遷があったんですね。

■『チェンソーマン』とハスクバーナの関係

――実はですね……ハスクバーナさんのチェンソーはアニメ『チェンソーマン』のポチタのモデルになったのではないか、とファンのあいだでささやかれているのですが、ズバリそれは正しいのでしょうか?

武田:
 たしかに弊社の「バッテリー式チェンソーT535i XP®」という製品を横から見たところが丸っこくて可愛いデザインになっていますし、ハンドルの位置も似ています。
 オレンジ色もポチタの色ですよね。いま持丸が持っているのがそのチェンソーなのですが……。

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「バッテリー式チェンソーT535i XP®」

――なるほど、たしかに他のチェンソーに比べると小ぶりでポチタのような可愛さがありますね。

持丸:
 ちょっと動かしてみましょうか。

――迫力がすごいですね。

武田:
 ええ、でもこの製品は「バッテリー式」でして、ポチタのお尻にはスターターのしっぽがありますよね?
 ということは多分バッテリータイプではないチェンソーの悪魔なのかなと思います。

――そうだ! たしかにポチタにはしっぽがありますね。

持丸:
 ポチタくんがハスクバーナのチェンソーをモデルにしている、というのはあくまでも想像の域を出ません。
 たとえば今年公開された樋口真嗣監督の『シン・ウルトラマン』という映画では、弊社の建設機械事業部のカッターが登場します。
 そこでは、技術指導ということで弊社からスタッフを派遣して映画に関わりました。
 しかし、『チェンソーマン』についてはオフィシャルからお話があったわけではございませんので……。

――あくまで想像の域は出ない、ということですね。もし、モデルにしていたとしたらワクワクするお話ですが。

武田:
 ところがですね、米津玄師さんが歌う『チェンソーマン』のオープニングテーマ『KICK BACK』のPVをぜひご覧いただきたいんです。
 1:11秒の箇所に注意してください

――あ! このチェンソーはもしかして?

『KICK BACK』PVより。

武田:
 そうなんです。確認したところ弊社の「エンジン式チェンソー445e Ⅱ」という製品でした。いま、持丸が持っているチェンソーですね。

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「エンジン式チェンソー445e Ⅱ」

――さきほどの“ポチタモデル”と比べるといかにもチェンソーというガタイの大きさですね。

持丸:
 このチェンソーは、ハスクバーナのオールラウンドソーの中では最高グレードの製品となっています。

――『チェンソーマン』オープニング曲のPVに登場するチェンソーに、最高グレードのチェンソーが使われている、これはある種の目配せな気がしますね。ちなみに、『チェンソーマン』効果で売上が伸びたりとかは……?

武田:
 売上は伸びているわけではないんですが、アニメファンの皆さんや弊社の製品を使っているユーザーさんからお問い合わせをいただくことが増えてとてもありがたいと思っています。
 私どもはこれをチェンソーについて知っていただくいい機会だと捉えていまして、公式インスタグラムにはポチタを固定投稿させていただいて、ユーザーの皆さんとコミュニケーションをとっています。

 
 
 
 
 
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 やはり、チェンソーという製品は一般の方に手にとっていただく機会は少ないですから。
 こうして身近に感じていただいて、そのうえで私どもとしては製品が社会にどう役立っているのか、安全性はどのように進歩してきたのかをアピールできればと考えています。

――たしかに、日本の歴史で今が一番チェンソーに注目が集まっている瞬間かもしれませんものね。

■業界全体でチェンソーの安全性を高めていきたい

――さきほど、PVに使われているのは最高グレードのチェンソーだ、とおっしゃっていましたが、ハスクバーナのチェンソーは業界的にはどのような位置づけのチェンソーになるのでしょうか? 

山根:
 初心者向けか、プロ向けかといえば、弊社の製品を使用している方の多くは圧倒的に林業のプロの人達が多いです。
 本社がある北欧は林業に従事する人が多くいまして、その人達から支持されています。

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林業プロモデル 【エンジン式チェンソー 560XP®G】

持丸:
 チェンソーで作業をする場合、みなさんがイメージするような地面から生えた木をチェンソーで切り倒すのは、全体の作業のだいたい3割くらいだと思います。
 私の体感としては、木を切り倒したあと丸太にするために枝を落とす作業でチェンソーが活躍していますね。
 いろんな体勢で枝を切るので、そこで安全性が求められるようになるんです。
 長い時間チェンソーを使用することになりますので、昔は振動にさらされた手の血管が収縮する病気、白蝋病(はくろうびょう)になってしまう人が多かったんです。

――たしか、日本では白蝋病を防止するために休憩時間が義務付けられていますよね。

持丸:
 ハスクバーナはチェンソーの振動障害を防止するために、製品を小型化したり、振動が逃げるようエンジンとハンドルを分離した機構を採用しています。
 他にも、刃が木に弾かれてキックバックする事故を防ぐ慣性式自動チェンブレーキ機構がハスクバーナの製品にはあります。
 先程言った、振動が逃げるような機構の特許は開放していまして現在世界中のチェンソーがこの機構を取り入れています。

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――特許で丸儲けができるところを、なんとも粋なことをなさる会社なのですね。

山根:
 業界全体でチェンソーの安全性を高めたほうがいいと、当時の人間は考えたようですね。
 安全性へのこだわりはチェンソー以外にもありまして、林業に従事しておられる方が、自身の足をチェンソーで切ってしまわないようにする防護ズボンもストレッチして体にフィットしつつ、蒸れないように通気穴が開いたデザインに改良しています。
 やっぱり毎日履くものですし、林業を支えていく若い方が喜ぶように少しでもデザインの良いものをと思いまして。

『チェンソーマン』のモデルになったチェンソーを作ってる会社は、昔は銃を作ってたって知ってる? 創業330年の老舗メーカー「ハスクバーナ・ゼノア」にお話を聞いてきた

 防護ズボンの右膝を見ていただきたいのですが、中には防刃繊維が組み込まれてます。チェンソーの刃が誤って足に接触した際、防刃繊維が刃に絡まり、回転を止める働きをするんです。

――そこまで安全にこだわっておられたら、頭と両手に持ったチェンソーを振り回して戦う『チェンソーマン』はハラハラして見ていられなくなるんじゃないですか? 

武田:
 弊社のチェンソーは両手で持つように作られているので、アニメは正しい使い方ではないですね(笑)。
 木材以外のもの、たとえば南極探検隊がハスクバーナのチェンソーで氷を切ったり、自衛隊の救助活動で使われることはあります。
 誰かをケガさせてしまいそうな使い方はもちろんだめなのですが……。
 『チェンソーマン』のコスプレをしておられる方の写真を見たとき、チェンソーを片手で持っていらして「重そうで大変だな」と思っていました(笑)。

――当然と言えば当然ですよね。

武田:
 コスプレで使用することを意識して作られたわけではないのですが、弊社からはチェンソーの玩具「トイチェンソー」も発売しています。
 チェンソーを扱っている親を見ているお子さんが、一緒にチェンソーのごっこ遊びができるようにと作ったものなんですけど、見た目だけでなくチェンソーの動きまでプラスチックでしっかり再現しているおもちゃなんですよ。

――めっちゃくちゃ良く出来てるじゃないですか! これならコスプレで使っても危なくないですし、『チェンソーマン』がブームの今は欲しい人が多くなりそうですね。

武田:
 チェンソーという名前は知っていても、手に触れることはなかなかない製品だと思います。特に弊社の製品はプロ志向のものなので。 
 アニメをきっかけに、一般の方に対してチェンソーについて関心を持っていただく機会が増えるのは本当にありがたいと思っているんです。
 ゆくゆくは、製品だけでなく林業にも関心を持っていただけたら、こんな嬉しいことはないですから。


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 ハスクバーナ・ゼノアから「トイ・チェンソー」をご提供いただきました! 今回はこちらの製品を抽選で3名様にプレゼントします!

 プレゼント企画の参加方法はニコニコニュースTwitterアカウント(@nico_nico_news)をフォロー&該当ツイートをRT。ご応募をお待ちしています。

■チェンソーマン最新話、Nアニメチャンネルで無料公中!

 無料アニメが盛りだくさんの「Nアニメチャンネル」で配信中『チェンソーマン』はコチラから視聴できます。

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