『HUNTER×HUNTER』軍儀をプロ棋士同士が対局したら? 村中秀史七段VS伊藤真吾六段が軍儀でガチ対決
大人気マンガ『HUNTER×HUNTER』に登場する架空の盤上競技である「軍儀」。
この軍儀をもしプロ棋士が対局したらどうなるのか……? 『HUNTER×HUNTER』を嗜んだ者なら気になる方は少なくないでしょう。
そんな疑問を実現してしまったのが、ニコニコ超会議2022の「超将棋」ブースの企画『もしプロ棋士が『HUNTER×HUNTER 軍儀 上級編』で対局したら@ニコニコ超会議2022【4/30】』。
対局するのは、村中秀史さん(七段)、伊藤真吾さん(六段)。司会進行に香川愛生さん(女流四段)、解説に中村太地さん(七段)をお招き。「軍儀」による熱戦がくり広げられました。
ダイナミック&奥深い「軍儀」の魅力をたっぷり解説!
あの『HUNTER×HUNTER』に登場した“軍儀”が現実に再現され、しかも現役で活躍中のプロ棋士どうしが激突するということで、作品のファン&将棋ファンの両面から注目を集めることになった本企画。
まずは香川さん、中村さんが登壇し、「4分でわかる軍儀の遊びかた」動画を交えて基本的なルールを紹介。その後、会場に用意された特製の大盤を使いながら、おふたりが「軍儀」に用いられる駒の特徴や対局の見どころなどを解説していきました。
「軍儀」は、9×9マスの盤上に配置した駒で、先に相手の「帥(すい)」を取ったほうが勝利となるなど、将棋との共通点も多いゲーム。しかし、「駒の初期配置は自由」、「相手の駒を取っても自分の手駒にはならない」といった、独自のルールも持ち合わせています。
なかでも特徴的なのは、駒を積むことで駒の性能がアップする「ツケ」という動作が可能なこと。
基本的に「ツケ」をすることで、もともと駒が動けた方向に向かって動ける範囲が+1マス延長され、さらにその駒が重なっている段数未満の駒には取られなくなるなど、絶大な恩恵があるとのことです。
また「軍儀」では、多彩な動きを持つ全25個の駒が用いられることも特徴のひとつ。
なかには3マス前方に移動可能なのような「砲(オオヅツ)」などの特殊駒もあり、これらが「ツケ」によって強化されていった際には非常にダイナミックな展開が巻き起こることも予期されます。
ちなみに公式ルールには初級・中級・上級の3種があり、今回の対局で採用されたのはもちろん上級。
「ツケ」は3段まで可能となり、さらに駒の初期配置も完全に自由ということで、おふたりは「どんな対局になるのかまったく想像がつきません」と期待感をあらわにしました。
アグレッシブに攻め上がる村中七段 VS 「師」を移動要塞化する伊藤六段
お待ちかねの公開対局コーナーでは、現役プロ棋士の村中さん、伊藤さんが登壇。
今回は特別に対局中のおふたりにもマイクを用意し、おふたりのコメントや会話を解説陣&視聴者がリアルタイムで聞くことができる形式で実施されました。
対局前のインタビューでは、お互いに「軍儀」での対人戦は初めてだと語ったおふたり。
村中さんは以前から大の『HUNTER×HUNTER』ファンであるそうですが、「軍儀」に関しては「実戦不足感が否めない」と不安顔。対する伊藤さんも、「妻に駒を手作りしてもらって勉強してきました!」と話しつつ、「未だ全容は把握できていない」と「軍儀」の奥深さについて触れていました。
そんなおふたりの「軍儀」対局は、駒の初期配置の時点から緊迫感のある展開に。先手の村中さんが「帥」を自陣左下に置くと、後手の伊藤さんは早くも「帥」の置きどころについて長考します。
上級ルールでは初期配置の時点で駒を「ツケ」ることすらも可能なのですが、お互いに戦略が早々にバレてしまうことを嫌ったのか、「兵」などの弱い駒を小出しにして様子を伺っていたおふたり。最終的には、以下のような形で配置完了となりました。
村中さんは自身の「帥」を囲いつつも、前線に2段に「ツケ」た「馬(キバ)」や「槍(ヤリ)」などを置いた攻撃的な陣形。対して伊藤さんは、開幕早々に「帥」を3段にすることで受けに回るという様相に。
序盤はお互いの前線の駒どうしがにらみ合う格好となっていたため、非常にジリジリとした展開が続きます。
果たして、駒がぶつかり合う瞬間はいつ訪れるのか――解説陣&視聴者たちが注目するなか、勇気の一歩を踏み出したのは村中さんでした。
長期戦が予想されたため、途中で昼食休憩を挟んで行われた今回の対局。村中さんは休憩直前のインタビューにて「もう詰ませました。おいしいお昼ごはんを食べたいと思います」と語った通り、午後一発目の手番で伊藤さんの駒を取ることにも成功!
さらに村中さんは、伊藤さんが後退させた「兵」に対して「馬」を「ツケ」て、伊藤さんの「帥」の目前まで迫るという「軍儀」ならではの攻めかたも披露。思わず伊藤さんから「しまった! これはまずい!」との声が上がります。
その後も、終始攻勢を維持した村中さん。最後は決定的な場所に手駒から「大(タイショウ)」を指したことで、伊藤さんから「参りました」と投了の宣言が。
こうして、約2時間にわたる「軍儀」公開対局の結果は、村中さんの勝利となりました。
実際に「軍儀」で対局してみた感想について、村中さんは「プロ棋士のなかでも軍儀に興味を持つ方は多いと思うので、より理解を深めたうえで高度なテクニックを披露できるようになりたい」とコメント。
伊藤さんも「せっかく駒を自作してくれた妻に申し訳ない。帰ったら反省会をします!」とリベンジに向けて闘志を燃やしていました。
そんな村中さん・伊藤さんによる公開対局の様子はニコニコ生放送でも放送されました。
対局中は、お互いの狙いや駒どうしの影響範囲を、香川さん・中村さんコンビが一手ごとに解説してくれるなど、将棋やボードゲーム初心者でも理解しやすい形式になっていましたので、気になった方は、ぜひ下記リンクをチェックしてみてください。