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『星のカービィ』25周年を記念してシリーズ制作者にいろいろ話してもらった。「試作タイトルも3本あったが、そのおかげで25周年を迎えられた」

 1992年にゲームボーイ用ソフトとして登場した『星のカービィ』が2017年で25周年を迎えたことを記念し、7月16日に『星のカービィ25周年記念特番』が放送されました。

 特別企画として、ハル研究所ゼネラルディレクターの熊崎信也さん、サウンドチームの石川淳さん、安藤浩和さんのスペシャルインタビューが、タレントの古川未鈴さん(でんぱ組.inc)と、アナウンサーの楪望さんの司会で行われました。

 インタビューでは2011年に発売されたソフト『星のカービィ Wii』にスポットが当てられ、発売に至るまでの苦労と苦悩の日々、ゲームに込められた願いが明かされました。

2017年で25周年を迎えた『星のカービィ』。画像は『星のカービィ25周年』公式サイトより。
(C) Nintendo / HAL Laboratory, Inc.

「25周年はWiiソフトの試作3本があったからこそ」

左から楪望さん、古川未鈴さん、熊崎信也さん、石川淳さん、安藤浩和さん。

楪:
 『カービィ Wii』についてお話を伺いたいと思うのですが、思い入れなどありますか。

熊崎
 実は『カービィ Wii』が出る前に、3本の試作タイトルが開発されたのですが、完成には至らなかったんです。そして、4本目として完成したのが『カービィ Wii』なんです。

 それまでの3タイトルは、それぞれ魅力的なものがあって、開発スタッフもすごく努力していたんですね。ですから、それまで作ったものが、もったいないというか、すごく愛おしくて。

楪:
 そりゃそうですよ。

古川:
 どうして、その3作は世に出せなかったんですか。

熊崎
 私が思うに、ハル研究所自体が持っている開発の水準というものが高かったんです。一定以上の面白さに達しない限り、世の中に出さないという思いでした。中には、「この位で出してもいいんじゃないか」という声が、なかったわけではなかったんです。スタッフも疲弊していましたし、報われたい気持ちもありました。

 ですが、そういったものを出してしまってカービィシリーズがそこで途絶えてしまっても意味がない。最高のクオリティのものしか、お客様の目に触れてほしくなかったんです。

楪:
 すごいですね。鳥肌が立ちます。

熊崎
 カービィに対しては常に厳しいボーダーラインを設けているんです。そうした開発の中で生まれた素材を、結実させることができて、すごくよかったなと思います。そういった思い入れが一番強いのが『カービィ Wii』ですね。

 思い返せば、その3本があったから、今の25周年があったのかなと思います。お客様に忘れられてしまうとか、発売期間が空くと、ブランドの維持にならないという危機感があったのですが、社内のみんなの向いている方向は1つでした。「面白いカービィを完成させたい。世に出したい」という思いだけでしたね。

古川:
 『カービィ Wii』は前作から数えて何年ぶりのリリースでしたっけ。

熊崎
 据え置き型のゲーム機のソフトで数えると、11年ぶりですね(笑)。それまで、携帯機や派生ゲームでは、様々なカービィが発売されていたのですが、主軸となるカービィが不在のまま、時間が流れていました。ですので、ブランド維持の観点で言えば、存続の危機がありましたね。

「熊崎さんは全部わかっているから、この人についていくしかない」

楪:
 石川さんは『星のカービィ Wii』に対する思いはいかがですか。

石川:
 この作品から熊崎さんの監修を本格的に受けるようになって、どうしたらいいのかわからないくらい、いろいろなことが、わからなくなったんです。

 自分ではすごく迫力ある曲だと思っていても、熊崎さんに「地味な曲だ」って言われる。1曲に対して、ダメ出しが2ヶ月も……。

古川:
 1曲に対してですか!?

石川:
 私も、星のカービィシリーズはずっと携わってきたので、「星のカービィのサウンドは、こういうものだ」というのが、自分の中にあったんです。

 もちろん熊崎さんの好みに合わせて曲を作るんですが、熊崎さんは安藤さんやプロの音楽家の方でも気づかないようなドラムの鳴り止み方や、音のバランス、メロディの上がり方に気づくんです。「この人は全部わかっているから、この人の好みに従う、この人についていくしかないんだ」という気持ちで、ずっとやってきています。

熊崎
 大変ですよね(笑)。

楪:
 そういったところから、カービィの曲が生まれているんですね。安藤さんはいかがですか。

安藤:
 ゲームキューブ時代からの曲も『星のカービィ Wii』の中で使ってくれたので、新たに作った曲はそんなに多くなく、助かったというのはありますね。それまでのものを、集大成のように鳴らすので、全体を見渡せるという感じですね。

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