“終わりよければ全てよし”を心理学的に導く「ピークエンドの法則」とは? 行動経済学者による“人間の記憶”に基づく理論をやさしく解説してみた
今回紹介する、源の心理チャンネルさんさんが投稿した『【ピークエンドの法則】終わりが良ければ本当にすべて良くなるのか?』という動画では、音声読み上げソフトを使用して、行動経済学者のダニエル・カーネマンが1999年に発表した「ピークエンドの法則」について解説していきます。
投稿者メッセージ(動画説明文より)
ゆっくり動画で主に心理学の解説をしています。今回はピークエンドの法則について解説してみました。
「ピーク」と「エンド」の経験が物事の印象を大きく左右する
霊夢:
もうバイト行きたくないな。
魔理沙:
どうしたの?
霊夢:
きょうのバイト最悪だったんだよ。キモい客が最後に来て。
魔理沙:
じゃその客が最初に来てたらどうだった? 実は人間って、物事の終わりを重点的に記憶するんだよ。「ピークエンドの法則」っていうんだけどね。おそらく変な客が来るのが最後でなかったら、バイトにそんな悪い印象を持たないと思うよ。
霊夢:
来るタイミングも最悪だったってことか。
魔理沙:
そういうことだ。ことわざでも「終わりよければすべてよし」っていうのがあるからね。まずはピークエンドの意味について紹介するよ。記憶に基づく評価は、ピーク時と終了時の印象で決まるんだ。だからその記憶を振り返るときは、終わりが重要になるんだよ。
たとえば野球の試合で10対0で勝ってたとするじゃん。それでも最終回に9点取られるんだよ。最終的には10対9で勝つんだけど、その時って勝った気する?
霊夢:
全然しないな。
魔理沙:
そうなんだよ。終わりがよくなかったから、印象のいい勝ち方じゃないんだよな。でも逆に、終わりがよかったら全部よく感じるわけ。よくワンサイドからの逆転勝ちってあるじゃん。今までのひどい試合展開が、どうでもよくなるんだよな。それで嬉しい記憶だけが残るんだよ。
じゃあ、ピークエンドの活かし方について話していくよ。物事の終わりが記憶に残りやすいとわかれば、あらゆることに応用できるんだ。例えば好きなものを先に食べるか、あとに食べるかみたいな論争がある。好きなのは最後に食べたほうがいいんだよな。そっちのほうが記憶に残りやすいからね。
あと、人に好印象を持ってもらいたいなら、最後を頑張るべきなんだよ。別れ際にサプライズでプレゼントしたりね。逆に終わりがだめだと、全部だめだったかのようになるからな。だから物事の終わりはしっかり気をつけてほしいんだ。
終わりが重点的に記憶される一方で、長さはあまり記憶されないんだ。たとえば何か印象に残っている記憶はある?
霊夢:
受験勉強だね。あれは結構大変だったわ。
魔理沙:
じゃ受験がどれだけ長かったかって覚えてる?
霊夢:
結構長かった気がするな。2年くらい勉強したからね。
魔理沙:
それって実感できる?
霊夢:
「辛かった」って感じるけど、「長かった」とは感じないね。
魔理沙:
これも持続時間の無視が原因なんだ。
あと、振り返ったときに、あっという間だったってことがあるじゃん。
霊夢:
「20代はあっという間」っていう人がいるよね。
魔理沙:
実際経験する時間は長いんだけど、振り返るとあっという間に感じるんだよな。
霊夢:
振り返ったときは、さらに体感時間が短くなるわけか。
魔理沙:
こういうふうに経験するのと、その経験を振り返るのは大きく違うんだ。たとえば休暇を取るときに3日間と1週間で選べるとするじゃん。その時、どっちを選ぶ?
霊夢:
もちろん1週間でしょ。休みは長いほうがいいし。
魔理沙:
でも休暇を振り返ったときの時間って、持続時間が無視されるじゃん。だから休みを振り返るときの満足度は、そんな変わらなくなるわけ。むしろ休みの終盤をどう過ごすかが重要になるわけ。
霊夢:
確かにそうか。記憶的に休みの長さはほとんど関係ないってわけね。
魔理沙:
そういうこと。
霊夢:
経験よりも経験の記憶のほうが大切ってことね。
魔理沙:
大切というか、判断するときはそれを材料にするということ。
霊夢:
それで経験の記憶は終わりを重点的に残すってわけね。じゃ、人生の終盤だけ頑張ればどうにかなるってことか。
魔理沙:
それは拡大解釈しすぎだけどな。
解説をノーカットで楽しみたい方はぜひ動画を視聴してみてください。
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