人間、オートマタ、吸血鬼が共存する世界にて。『リベリオ・マキナ』は不条理な平和に叛旗を翻す少年と少女たちの重厚バトルファンタジー
ニコニコ漫画「電撃大王」にて連載中の『リベリオ・マキナ』は、緻密かつ重厚な世界観描写が魅力のバトルファンタジーです。
人間、オートマタ、吸血鬼……それぞれが共存する平和な国で巻き起こる、主人公とヒロインたちの活躍をお楽しみください。
原作:ミサキナギ(@misakinagi)
作画:舘津テト(@teto_t3)
キャラクターデザイン:れい亜(@aosorayuri24)
オートマタが普及した世界で暮らす少年&少女
冒頭、とある回想シーンの中で少年は謎の女性から「あなたは“不適合”と判断されたの」と告げられます。
「お願いだから僕を捨てないで……!」という懇願も虚しく、彼は無骨なコンテナの中に押し込められてしまうことに。
少年とその母らしき女性とのあいだで、いったい何があったというのでしょうか……。
そんな忌まわしき記憶を夢として見ていた、少年・水無月(みなづき)。
目覚めた水無月のすぐ隣にはロングヘアーの素敵な美少女の姿があり、彼は「おはようカノン」と声をかけます。
対してカノンは、彼に向かって「なんで毎朝そんなに怠そうなの」「本当は全然眠くないくせに」と意味深なことを言いつつ部屋を出ていくのでした。
着替えを済ませてもなお気だるげな水無月は、カノンが用意してくれた朝食にも手を付けようとせず。
あまつさえ「食事をさせたければ命令すればいいだろ」と冷たく言い放ち、彼女を閉口させます。
ただ、カノンもカノンで負けん気が強いうえに少々抜けているところがあるせいで、どこか締まらない雰囲気に……。
随所に気がかりな描写を含みつつも、ふたりはほのぼのとした朝の時間を過ごしたのでした。
さて、朝食を済ませて学校に向かう途中、カノンは道中で新しくできていたパーツ屋を目にして足を止めます。
水無月をそっちのけで店先に展示された歯車(ギア)に魅了された彼女は、「満点の星空の中にいるみたいな気分に……」とうっとり。
さらにはあまり流通がないという“波動歯車(ギャラクシーギア)”を発見して盛り上がるなど、意外な機械オタクっぷりを披露します。
ちなみに彼女が見ていたパーツ群は、この世界に数多存在するオートマタ向けのもの。
東洋では“絡繰人形”とも呼ばれるそれは出回り始めて以来、1980年現在にいたるまで人間たちにとって欠かせない労働力となってきたそうです。
しかしながら、基本的にオートマタは用途通りの行動しかできないとのこと。あくまで彼らは、人の姿を模しただけの単純な機械なのでした。
“波動歯車”の謎とふたりの出自の秘密
オートマタ文化の発展に加えて、本作の世界観を語るうえでは欠かせないのが吸血鬼たちの存在。
吸血鬼たちは、いまでこそ人間と仲良く共存できているようですが……。
ほんの20年前にあたる1960年、突如として吸血鬼王の宣戦布告とともに人類と敵対。
吸血鬼軍の侵攻は、人間側の天才技師が製作した“白檀式”と呼ばれる5体の戦闘用オートマタによって抑え込まれることになります。
しかしその後、暴走した“白檀式”が人間を襲い始めたため、結局は人間と吸血鬼が共同戦線を張って“白檀式”を破壊したのでした。
こうして思わぬ形で人間と吸血鬼の和平が成立したものの、“白檀式”の爪痕はいまも深く人々のあいだに残っている様子。
なかでも暴走の原因とされた“波動歯車”は、扱おうとするだけで危険思想の持ち主と目されるほど忌み嫌われていました。
……そう、まさしく通学中のカノンが目にして舞い上がっていたあのパーツです。
そんな因縁もあり、危険な“波動歯車”に固執する変人として毎日のように迫害を受けていたカノン。
文字通り冷や水を浴びせられてなお、“波動歯車”にこだわるワケは彼女の血縁関係にあります。
じつは彼女の本名はカノン=ビャクダン。“白檀式”の製作者である白檀春海の実の娘でした。
母の無実を信じて“波動歯車”を研究する一方、罪悪感から自身への迫害などは甘んじて受け入れていた彼女。
そんなカノンの生き様を、水無月は有り体に言って「気に入らない」と感じていたようです。
そして恐らく、何よりも気に入らないのはカノンと彼自身を取り巻くこの現状だったのでしょう。
学校からの帰り道、偶然にも暴走する工事用オートマタに遭遇した水無月は瞬時に目の色を変えます。
どこかカノンが水無月のことを人間扱いしていないようにも思えた理由が、ここでついに明らかに。
彼の正体は、公には存在していないハズだった“白檀式”の6体目だったのです。
「こんな平和を享受するために作られたんじゃない!!」と、憎しみのこもった表情を浮かべる水無月。
戦闘用として作られた彼の前に、ようやく倒すべき敵が現れたのでした……!
真の姿を見せた水無月の前に、赤髪の少女現る
自らの存在意義を示すべく、暴走する工事用オートマタに立ち向かう水無月。
工事用だけあって屈強な相手ではあったものの、水無月の戦闘力はそれを遥かに凌駕していました。
さすがは“白檀式”。しかもオートマタなのになぜか自我や知能をも持つ彼の性能は、まだまだ底が知れません。
ボディの各所に仕込まれていた武装を駆使しながら、つぎつぎに工事用オートマタを仕留めていく水無月。
気付けば約30体ぶんものスクラップの山が、彼の足もとに築かれていました。
しかし、そんな大立ち回りを演じながらも水無月の胸中にはなんとも言えない虚無感が。
さらに彼が感慨に浸る間もなく、騒ぎを聞きつけたのか燃えるような赤い髪の少女がやってきます。
赤髪の少女は、立ち尽くしていた水無月に対し「あなたがこのオートマタを止めたのでしょう?」と剣を向けます。
さらに彼が武器を持っていないのを見て、何かに勘付いたように不敵……とも言えない柔らかな笑みを見せるのでした。
いったい彼女は何者なのか。そして、不条理な現実の中で揺れる水無月とカノンは今後どのような道を歩んでいくのか。
(画像はニコニコ漫画『リベリオ・マキナ』より)
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