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トーク配信は“よっぽどの武器”がないと戦えない? コロナ禍で供給過多になったオンラインイベントの未来を吉田豪&久田将義が語る

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、イベントやライブをインターネット配信で行うことが特別ではなくなってきた。「音楽ライブは配信だけでは経済的な回収は難しい」という声もあがっているが、果たしてトークイベントはどうなのだろうか。

 久田将義氏吉田豪氏は自身がパーソナリティをつとめるニコニコ生放送「久田将義と吉田豪の噂のワイドショー」において、この話題に言及。

 ライブハウスの老舗である新宿ロフトグループが配信に力を入れ始めたことをはじめ、コロナ禍において奇しくもライブ配信が定着しつつあることについて、吉田氏は「正直コロナはろくなことがないと思うけど、イベントに関してはものすごく便利な時代になった」と述べると、久田氏も「配信が定着して、なおかついろいろなものが技術的に良くなれば、もっと良くなるかもしれないね」と同調した。

※本記事はニコニコ生放送での出演者の発言を書き起こしたものであり、公開にあたり最低限の編集をしています。この番組は2020年11月26日に放送されたものです。


コロナはろくなことがないと思うけど、イベントに関してはものすごく便利な時代になった

吉田:
 コロナの余波で配信イベントが一気に増えたから、今回はその話をしてみたいんですけど……。(コメントを読む)「配信で3000円は取りすぎ」とかは、ボクもイベントに課金する側でもあるので本当によくわかる。
 ボクも実感として1600円から2100円ぐらいが適正価格だと思って払っていますね。2600円とか3100円とかだと、正直「高っ!」と思いますよ。ただ、配信を入れたことで、それまでみたいに踏み込んだ話をやりにくくなるって問題も出てきたわけですけどね。

久田:
 難しいよね。配信になると「ここだけの話」っていうのが通じるのかな。

吉田:
 「これ、配信されてるからやばいですよ!」って言って話を止めたらモヤモヤしか残らないから、あえてボクは「あなたたちを信用してノーツイートを条件に踏み込みますよ」という関係を作ろうとしていて、それは意外となんとかなると思っているけど……。
 ただ、配信なしのイベントだともっと踏み込めるのは事実なんですよね。

久田:
 そうそう。場を共有しているっていうのが重要なんだよね。

吉田:
 会場は観客の顔がわかるのも大きいですよね。なんか見慣れない怪しいヤツがいるぞ、気を付けよう、みたいな。
 実際、ある人はイベントで踏み込んだ話をする直前、客席の照明を付けて全員の顔をくまなくチェックしてから話し始めたこともありました(笑)。

久田:
 そういうのは面白いんだけど、人数が伸びるのは配信のほうがいいんだろうね。実際に伸びているもんね。

吉田:
 だから本当にモノによるんですよ。本当にとんでもなく伸びる配信もあるし、悲しくなるぐらい誰も見ていない配信もあるから。

久田:
 とんでもないほどまではいかないけど、自分の売上を見ていると「普段よりも伸びてるな」とは思っているな。

吉田:
 最近はイベント後もチケットの販売を続けて後からアーカイブで観られるようにもなってきて、それは見る側としてはすごい便利だし、イベントをやる側としても売上が増えていいんだけど、「俺について何か話したらしい」って話題に出た本人がエゴサで気付いて、後から配信を確認できるようになっちゃったという問題も出てきたんですよね。

 (コメントを読む)「仕事でイベントに行けないし、行ったら終電に間に合わない」。だからそういう人のためには、本当にいまはいい時代。コロナはろくなことがないと思うけど、でもボクは正直、イベントに関してはものすごく便利な時代になったと思っていて。

 よく言うんですけど、ボクは新宿界隈、ロフトは顔で入れるようになるぐらいのレベルで仕事をしていたから、だからしょっちゅうロフトとかプラスワンとかネイキッドとかで知り合いが出ていると行って、そこでノートパソコンで原稿を書きながらイベントを見るっていうのを日常的にやっていたんですよ。
 それが今はちゃんと課金して家で見るようになっていますね。移動しないで家でいろいろなイベントが見れる。すごい便利な時代が来た。

 しかもリアルタイムだと見れないイベントも、後からアーカイブで見れる。「超便利!」と思って、気になるイベントは片っ端から入金して、お知らせが来るたびに一個ずつ片付けるっていうのをやっているから、とにかくイベントを見まくってる。そして同業者とかのイベントを山ほど見た結果、学べることも本当に多くて。

久田:
 なるほど。

吉田:
 面白いですよ。ダメなイベントを見ては「これはこうしないようにしよう」とか、日常的にそれを学習して。

 (コメントを読む)「北野誠さんと竹内義和さんのイベントパターン。後日謝罪とか」。これはちょうどボクも課金したやつだと思います。この前、北野誠&竹内義和のサイキック青年団コンビが、なぜか松竹芸能入りした船木誠勝をゲストに招いた配信をやって。大阪でのイベントが東京で、しかも自分の配信の裏でやっていたのに後からアーカイブで見られるから、本当に便利な時代になったと思いました。
 2時間のペースでイベントを進めていたら90分だったことが判明して、質問も何も最後にコメントとかも拾えないまま終わっちゃった。こういうのは延長とかしなきゃダメでしょとか思いながら見てた(笑)。

久田:
 だから1年ぐらい前までは「イベントやべぇ!」って言ってたけど、配信が定着して、なおかついろいろなものが技術的に良くなれば、もっと良くなるかもしれないね。
 演者にとってもイベント側にとっても運営側にとっても、良くなるかもしれないですね。

吉田:
 まだまだ全然やりようがありますよ。

現場に来る人にサービスしてあげたい

吉田:
 ボクがよく例えで出すのが、10年ぐらい前のUstream番組の時の話で、あの頃に音楽ライブをUstream配信するのが流行ったんですよね。それを見ると音は悪いし映像もイマイチだけど、臨場感みたいなのは伝わるから、現場で見たくなる。
 震災直後ぐらいに、Ustreamを見て現場に行く、という流れがすごいあって。ももクロとかもUstreamをいっぱい配信して「現場で見たい!」となる流れがあったんですよね。

 それに一時期、ロフトプラスワンが便乗して、「ウチもトーク流すぞ」ってやったら、流した瞬間に現場に客が来なくなったんですよ。当たり前なんですよ。トークは全然配信でまかなえちゃう。
 無料で流しちゃったら、わざわざ現場に行かないでいいと思うのが当然で。音楽ライブは、いい音で聴きたいとか、デカイ音で聴きたいとか、爆音で聴きたいとか、間近で顔が見たいとか、イベント後に握手したいとか、何かの付加価値があるから現場に行くのであって、ボクらのトークは配信があれば別にわざわざ現場に行く必要がないんですよ。

 そういう意味で、リアルイベントがやりにくくなって配信が増えまくったいまの時代は、バンドやアイドルにとっては大変だろうけど、顔や接触で商売していないボクらは全然アリだと思ってて。

久田:
 それはあるよね。

吉田:
 最近は配信を入れつつ会場に3分の1ぐらい観客を入れるパターンが増えてきて、「同じ金額を払ってるんだからサービスは同じにしろ!」って言う人もいるけど、交通費も払い、ドリンク代も払い、いろんな手間をかけていると思うと、なんらかのケアはあってしかるべきだろうし、そういう気持ちは常に持っていたい。
 アイドルの子とのトークイベントだったら、配信後に撮影タイムをオマケしてみたりとか。

久田:
 確かに持っていたいよね。わざわざ歩いて来たり電車に乗って来たりさ。

よっぽどの武器がないとトーク配信は厳しい

吉田:
 リアル+配信の時とかにたまに思うのが、本来なら配信で見る人とかが現場にほぼ来ちゃったことで、コメントがほぼ書き込まれない時も地獄だなって。
 あれはあれで怖いですよ。他人のイベントの配信を見ていても、本当に怖くなるもん。コメントを書いてる人が3人ぐらいしかいないとかよくあるから。それまでイベントがガラガラでも会場にいった人にしかわからなかったのが、簡単に可視化できるようになっちゃって。

 「何人見てるんだろう?」って心配になるケースが本当に増えていて、心配になって思わず課金しちゃうとか。結構有名な芸人さんが複数でネットサイン会をやってたんですけど、視聴者数が100人ちょいとかで、あぁ……と思って。
 それがCDのネットサイン会だったので、ボクは持ってるのに課金しましたからね(笑)。いいアルバムだったので「支援します!」っていう。

久田:
 ちょっと話がズレるかもしれないけど、ライターがYouTubeでやるじゃないですか。ちょっとイマイチっていうのが多いですよね。

吉田:
 ああいうのは、よっぽどの武器がない限り難しいですよね。

久田:
 難しい。テレビとかでコメンテーターをやっていても、YouTubeだと100人とか200人とか。登録者数も、もちろん1万人とかは全然行っていない。数10人とかの場合もあるし。

吉田:
 実名は出さないですけど、とある芸能関係の人がやっているYouTube番組のゲストにオファーされて、その人のチャンネルを見に行ったんですよ。再生回数がだいたい400とか300とかで、おぉ……と思いましたよ。

久田:
 有名な人?

吉田:
 有名な人で、大物芸人とか出ているんですけれど、大物芸人が出ても1000人とか。だから、いまは有料も無料も含めて本当に配信が多すぎるんですよ。今、供給過多になっていて、よっぽどじゃないと戦えないっていうのはある。

久田:
 よっぽどだよね。ライターさんが文章を書けないから言葉で発信するっていう単純なものでは絶対無理。

小泉今日子さんのイベント配信を見て怖くなった

吉田:
 (コメントを読む)「キョンキョンとダイノジ大谷さんの配信は結局どのくらい見てたの?」。いや、全然わからない。
 小泉今日子さんがなぜかLOFT9に登場っていうことが、数ヶ月前にあったんですね。

 「マジ!?」と思ったら、聞き手がダイノジの大谷さんで、「ボクがやりたいのに!」と思いながら即課金して見たら、ダイノジ大谷さんがキョンキョンの知識がなさすぎて、すごい基礎的なところで驚いていて、「キョンキョン、アナーキーなんて聞いていたんですか!?」って、それは著書にも書いてあるよ! みたいな有名なエピソードで驚いたりとかしていて、すごいモヤモヤしてたんです。

 会場はすぐにチケットが売り切れたんですけれど、配信のコメントが全然いないんですよ。コメントしている人がトータルで10人いなかったんじゃないのかな。途中で怖くなっちゃって。

久田:
 なんでしなかったんだろうね。

吉田:
 熱心な人は現場に行っちゃってたのかな。配信慣れしてるようなファン層がそんなにいなかったのかな。

久田:
 コメントを書くのって、コメント職人みたいな人がいるからね。

吉田:
 ボクらの文化圏とかは、もう配信慣れしている人が多いから、たぶん見ている人が、かなりの人数でコメントしてくれるんだけど。

久田:
 ニコ生のコメントってみんな面白いからね。

吉田:
 ボクとかは配信によって視聴者を鍛えている感じがあるから、コメントのクオリティが高いというか、知識量がすごい。こっちが固有名詞を忘れたり、過去に話したエピソードを忘れたりすると、すぐに補足してくれる感じ(笑)。

久田:
 結構僕はコメントを見ながらやってるからね。

吉田:
 いろいろなサポートをしてもらってる感が。

久田:
 コメントにフォローしてもらってる感があるからね(笑)。

配信プラットフォームごとのコメントの民度

吉田:
 コメントの民度の高い配信も民度の低い配信もあるわけですよ。やついフェスでLINE LIVEにはじめて出たんですね。ひどかった。LINE LIVEはヤバいですよ。

久田:
 どうヤバいの?

吉田:
 ボクと杉作J太郎さんの配信のはずが、配信のトラブルがすごく多くて、Jさんが全然繋がらなくて急遽ぱいぱいでか美さんに来てもらって、話しながらつないでいたんですけれど、ずっとコメントが「誰?」で、やついさんが出ても「誰?」で、画期的にひどかったですよ(笑)。
 中学生くらいがなんとなく見て、思いついたことをすべて書いている感じ。

久田:
 キッズだね(笑)。

吉田:
 すさまじかったね。「誰?」「知らない」「知らない」「知らない」ばっかり。

久田:
 YouTubeのコメントと同じじゃない。YouTubeのコメントもキッズが多いからすごいのが多いけどさ。

吉田:
 だから場による民度の違いって、本当にありますよ。
 (コメントを読む)「Abemaもひどいね」。そうそう。

久田:
 Abemaもひどいね。

吉田:
 宇多丸さんとかが鍛えた番組は民度が高いけど、『ABEMA Prime』とかは本当にひどかったですね。

久田:
 『ABEMA Prime』もひどいけど……。

吉田:
 あと『モーニングCROSS』もなかなかですね。

久田:
 あんなひどいのを書き込むんだったら、逆に書かなきゃいいのに。

吉田:
 差別的な発言も目につくんですけど、そういうことを書き込んで反応とか見たいんですかね。

久田:
 わかるけどね。

吉田:
 テレビで野球中継とか見ながら「ふざけんな!」とか言ってるのと同じ感覚なんだと思いますよ。あくまでも自宅での独り言で、Twitterでの悪口が本人にエゴサされて読まれるって自覚もなく書くようなもんです。
 だから個人的には、配信が当たり前になった時代は本当に便利だし、コロナがおさまったとしても配信の文化だけはちゃんと残って欲しいと思ってます。

久田:
 運営に旨味があれば十分じゃないですかね。

吉田:
 ただ本当にイベントによってまちまちで、面白そうなイベントがあったので買ってみようと思ったら、イベント後のアーカイブ販売をしていないところも意外とあるんですよね。
 イベント後でも評判を聞いて買ってアーカイブで見れるのが、ここ最近の新しくできたいい流れだったはずなのに、それに対応してないとこもあった。これはちゃんとやってほしいなと思いますよ。  
 いま完全にロフトがそこに乗っかって、イベントが終わったあとすぐに出演者でアーカイブの宣伝動画を撮影して、さらに商売しようとしてるけど。

久田:
 あれはもうデフォルトですよね。

吉田:
 あれはどんどんやったほうがいいよ。イベント当日、開演前までの販売とか結構あるんだけど、もったいないですよ。
 これだけいろんなビジネスが落ちているいま、そういう閉じた商売をやってる場合じゃない。これは数少ない、コロナ以前よりもよくなった部分なんだから、活用しない手はないのに。
 いま、その商売をやってる場合じゃないよ。

 内容次第でチケットの売上が後から伸びるっていうのは、本当に面白いじゃないですか。評判がよければ買う人が増えるので、どんどんやりたいですよね。


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