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目撃者38人が被害者を“見殺し”にした殺人事件が起きた理由とは? 人が見て見ぬふりをしてしまうメカニズムを心理学的に解説してみた

 今回紹介する、青い花【ゆっくり心理学】さんが投稿した『【ゆっくり解説】人はなぜ見て見ぬふりをするの?【心理学】』という動画では、音声読み上げソフトを使用して、同人ゲーム『東方Project』の霧雨魔理沙(きりさめ まりさ)博麗霊夢(はくれい れいむ)のふたりのキャラクターが、神秘的な「銀河」の基礎を解説していきます。

投稿者メッセージ(動画説明文より)

今回は見て見ぬふりをしてしまう心理効果
傍観者効果について解説しています

なにも冷酷だから
こういった行動をしてしまう訳ではないんです


■傍観者効果が引き起こした悲しい事件

目撃者38人が被害者を“見殺し”にした殺人事件が起きた理由とは? 人が見て見ぬふりをしてしまうメカニズムを心理学的に解説してみた
左から霧雨魔理沙(きりさめ まりさ)博麗霊夢(はくれい れいむ)

霊夢:
 今日は何の解説なのかな。

魔理沙:
 自分以外に傍観者がいる時に、人は率先して行動を起こさないという心理効果「傍観者効果」を解説する。この傍観者効果は、ある悲しい事件がきっかけで提唱されることになる。まずはその事件から紹介する。事件は1964年、ニューヨークで起こった。深夜に自宅アパート前で女性が暴漢に襲われた。彼女の叫び声で、付近の住民38人が事件に気づき目撃していた状況にもかかわらず、誰一人警察に通報せず、助けにも入らなかった。

目撃者38人が被害者を“見殺し”にした殺人事件が起きた理由とは? 人が見て見ぬふりをしてしまうメカニズムを心理学的に解説してみた

魔理沙:
 暴漢は一度その場を去るが、その後二度も現場に戻り、彼女を傷害・強姦したにもかかわらず、その間誰も助けには来ず、彼女は死亡してしまった。この事件は亡くなった女性の名前をとって「キティ・ジェノヴィーズ事件」と呼ばれている。

霊夢:
 そんな……辛すぎる……通報さえされなかったなんて。

■多数が目撃していたからこそ誰も助けなかった

魔理沙:
 当時のマスコミは「都会人の冷淡さ」として、この事件を大々的に報道した。しかしこの事件が起こった4年後、心理学者のラタネとダーリーがこの事件について多くの人が気づいたからこそ、誰も行動を起こさなかったんじゃないかと仮説を立て、ある実験を行ったんだ。

目撃者38人が被害者を“見殺し”にした殺人事件が起きた理由とは? 人が見て見ぬふりをしてしまうメカニズムを心理学的に解説してみた

魔理沙:
 内容はこのようなものだ。実験参加者は大学生で、事前に「集団討議を行う実験である」という説明を受ける。そして2人、3人、6人のグループに分けられた。それぞれ相手の様子がわからないよう、マイクとインターフォンのある個室にひとりずつ通す。

 そして分けられたグループ内で、インターフォン越しにグループ討議を行わせるんだが、実はその中のひとりが実験協力者で、討議の途中で発作を起こして苦しむ演技をする。その時、苦しむ声を聞いた実験参加者は、どのような行動をとるのかというものだ。

目撃者38人が被害者を“見殺し”にした殺人事件が起きた理由とは? 人が見て見ぬふりをしてしまうメカニズムを心理学的に解説してみた
目撃者38人が被害者を“見殺し”にした殺人事件が起きた理由とは? 人が見て見ぬふりをしてしまうメカニズムを心理学的に解説してみた

魔理沙:
 実験の結果は、ふたりのグループでは最終的に全員が行動を起こしたのに対し、6人のグループでは38%の人が行動を起こさなかったんだ。この実験結果により、キティ・ジェノヴィーズ事件は、都会人が冷淡だったから誰も助けなかったのではなく、多くの人が見ていたために誰も助けなかったことがわかったんだ。

 現にこの事件では、多くの住民が他の住民も事件を目撃していることに気づいていたらしい。この傍観者効果は、傍観者の人数が多いほど効果が高くなると言われている。

目撃者38人が被害者を“見殺し”にした殺人事件が起きた理由とは? 人が見て見ぬふりをしてしまうメカニズムを心理学的に解説してみた

傍観者効果を引き起こす3つのトリガー

霊夢:
 周りに人が多ければ傍観者効果がはたらくのはわかったけど、どういう心理で助けないという選択を選ぶの?

魔理沙:
 助けを求めているにも関わらず、人々が行動に移さなかった理由は3つある。「多元的無知」。みんな助けていないということは、大したことはないのかな? と、他者が積極的に行動しないことによって、事態に緊急性はないと考えてしまう。「責任分担」。こんなにたくさんの人がいるんだから、誰か助けるだろうと他者と同調することで、責任や非難が分散されると考えてしまう。

 「評価懸念」。うまく助けられなかったらどうしようと、行動を起こした時、その結果に対して周囲からのネガティブな評価を恐れてしまうという、3つの心理がある。よくあるのは、セミナーで「最後に何か質問のある方はいますか 」みたいな時に、本当は聞きたいことがあるけれど、こんな質問をして周りに無知だと思われたら……とか、うまく喋れなかったら どうしよう、恥をかくくらいならやらないほうがいいと思ってしまうのも評価懸念の影響だ。

目撃者38人が被害者を“見殺し”にした殺人事件が起きた理由とは? 人が見て見ぬふりをしてしまうメカニズムを心理学的に解説してみた
目撃者38人が被害者を“見殺し”にした殺人事件が起きた理由とは? 人が見て見ぬふりをしてしまうメカニズムを心理学的に解説してみた
目撃者38人が被害者を“見殺し”にした殺人事件が起きた理由とは? 人が見て見ぬふりをしてしまうメカニズムを心理学的に解説してみた

霊夢:
 傍観者効果を起こらないようにすることってできるのかな。

魔理沙:
 自分が周りに助けてほしい場合は、大勢の中の誰かではなく、特定のひとりに助けを求めたほうが効果的なんだ。あとは、どうして助けてほしいのかを説明することで、傍観者効果を緩和することができる。

目撃者38人が被害者を“見殺し”にした殺人事件が起きた理由とは? 人が見て見ぬふりをしてしまうメカニズムを心理学的に解説してみた

霊夢:
 つまり「誰か助けてください」と不特定多数に助けを求めるんじゃなく、「そこのあなた、助けてください」と特定した個人に伝えたほうが効果的ってことだね。

■傍観者になりたくなければ「自分しか助ける人はいない」という意識を持つ

霊夢:
 じゃあ逆に、自分が傍観者になってしまいそうな状況の時の対策は?

魔理沙:
 周囲にたくさん人がいる状況で自分が傍観者にならない方法は、「自分しか助ける人はいない」という意識を持つことが重要だ。あとは適切な援助方法を知っておくことも大切だ。周囲の評価を気にして「もし失敗したら……」と思わないよう、その人を助ける適切な方法を知っておくことで、傍観者効果を緩和することができる。何も難しい資格や対処方法じゃなく、傍観者効果という心理効果があるということを知っているだけでも違うと思う。

目撃者38人が被害者を“見殺し”にした殺人事件が起きた理由とは? 人が見て見ぬふりをしてしまうメカニズムを心理学的に解説してみた
目撃者38人が被害者を“見殺し”にした殺人事件が起きた理由とは? 人が見て見ぬふりをしてしまうメカニズムを心理学的に解説してみた

霊夢:
 でも不測の事態に行動するって、なかなかできることじゃないよね。

魔理沙:
 心というのは使えば使うほど豊かになるもの。自分が傍観者にならないように、心を意識して日々使っていくことが大切だと思う。

 視聴者からは「日本人の特性かと思ってたら世界共通なのね」などというコメントも寄せられ、世界中の誰しもが傍観者効果により、傍観者になり得てしまう可能性があることがわかりました。ただ、このような心理効果があるという知識を持っているだけでも、適切な対処ができるかもしれません。ふたりの解説をノーカットで楽しみたい方はぜひ動画をご視聴ください。


▼動画をノーカットで楽しみたい方は
こちらから視聴できます▼

【ゆっくり解説】人はなぜ見て見ぬふりをするの?【心理学】

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