萌えと尊いとポンコツのフルコース。いますぐ伝えたい『まちカドまぞく』を楽しむために知っておきたい4つのコト
2019年12月29日13時30分より、アニメ『まちカドまぞく』全12話一挙放送」がニコニコ生放送にて配信されます。
本作は、今年7月に放送された直後に単行本・BD・DVDが品薄化するなど大ブレイク。12月15日に発表された“ネット流行語大賞100”でも、関連ワードである「シャミ子が悪いんだよ」がniconico賞(情報はネット流行語100 2019より)を受賞したことでも話題となりました。
そんな『まちカドまぞく』の魅力を多くの人に知ってほしい! ということで、この記事では『まちカドまぞく』を初めて見るという方向けに、本作を楽しむために知っておきたい4つのポイントを紹介していきます。
★『まちカドまぞく』を楽しむためのポイント
1.シャミ子が“まぞく”なのに貧弱アホかわいい
2.桃が“魔法少女”なのに物理特化&腹黒かわいい
3.作中一度も出てこない「シャミ子が悪いんだよ」
4.“せいいき桜ヶ丘”は今日も平和
1.シャミ子が“まぞく”なのに貧弱アホかわいい
本作の主人公・吉田優子はごく普通の高校1年生……だったのですが、ある日突然、魔族の力に目覚めて角としっぽが生えてしまった女の子。
優子は盛大に困惑しながらも、訳知り顔な母から、吉田家は“闇の一族”の末裔であり、宿敵“光の一族”との長年の戦いに負け続けた結果、あらゆるパワーと運が封印されてしまったことを聞かされます。
あげく、吉田家には“家族4人で月4万円生活”というハードな呪いまでかけられていた模様。それを知った優子は苦しい家計を助けるべく、“シャドウミストレス優子”――通称シャミ子として“光の一族”との戦いに乗り出すことを決意するのでした。
しかしながら、幼いころから病弱かつ極貧暮らしだったシャミ子は、フィジカル的に超貧弱。純朴かつポンコツなゆえに悪知恵も働かず、魔力的なパワーもほぼゼロに近いというあり様。そんな“まぞく”らしからぬ雑魚キャラっぷりが彼女の魅力でもあり……。
(C)伊藤いづも・芳文社/まちカドまぞく製作委員会
気付けばシャミ子の周りには、これまた“光の一族”らしからぬ魔法少女をはじめ、クセの強い友人たちや、光・闇を問わず“変な人”たちが集うことになります。
極貧、貧弱、ポンコツちびっ子で、ことあるごとに「すんすん」しがち。しっぽを見れば感情丸わかりで、変なところで好奇心旺盛で、“まぞく”なのに卑怯な手段を良しとせず、友だち&家族(&先祖)想いなシャミ子。
多魔市にあるという“せいいき桜ヶ丘”の町かどにて、周囲の人々の影響を受けながら、シャミ子がどんな方向に成長していくのかには注目です!
(C)伊藤いづも・芳文社/まちカドまぞく製作委員会
(C)伊藤いづも・芳文社/まちカドまぞく製作委員会
2.桃が“魔法少女”なのに物理特化&腹黒かわいい
“まぞく”として活動を始めたシャミ子が、最初に出会う“光の一族”こと魔法少女の千代田 桃。シャミ子とは同じ学校の同学年です。
(C)伊藤いづも・芳文社/まちカドまぞく製作委員会
シャミ子とは対照的に長身スレンダーでいつでも冷静な桃ですが、じつは彼女は詳細不明ながら「6年くらい前に世界を救った」逸材なんだとか。
そして、なぜかその力の大半は物理方面に極振りされている模様。初登場シーンでも、シャミ子を轢いてしまいそうになったダンプを片手で止めるなど、“まぞく”との圧倒的な(筋)力の差を見せつけます。
(C)伊藤いづも・芳文社/まちカドまぞく製作委員会
しかし桃が好戦的なタイプかと思えば、そうでもなく。すぐにシャミ子の脅威度が極めて低いことを見抜いた彼女は、毎度真面目に戦おうという素振りすら見せません。
そのうち、“闇の一族”らしさがなさすぎるシャミ子に逆に興味を持ったのか、単に放っておけないと思ったのか……は、ともかく「魔法少女って私みたいになあなあにするタイプだけじゃないんだよ!!」と彼女の戦闘(自衛)力や知識面を鍛えていくことになります。
(C)伊藤いづも・芳文社/まちカドまぞく製作委員会
シャミ子と比べるとしっかり者ながら、困ったときは肉体言語に頼りがち、料理下手で粗食ばかり、シャミ子が思いもしなかった“まぞく”の力のエグい悪用方法に気付くことが多いなど、違ったベクトルでダメ人間味溢れる桃。
ダメダメまぞく&世話焼き脳筋魔法少女の出会いが、永きにわたる闇と光の勢力争いにどんな影響を与えるのかという点も、本作の隠れた見どころのひとつです。
ちなみに桃は、失踪した“桜”という姉がいる、魔法少女時代にあまりいい思い出がない、昔と違っていまは根暗(同僚談)など、意外に謎多き少女。そのあたりのいきさつも、今後語られていくことになるのでしょうか……?
(C)伊藤いづも・芳文社/まちカドまぞく製作委員会
3.作中一度も出てこない「シャミ子が悪いんだよ」
宿敵のはずの魔法少女から特訓を受ける羽目になるという、ややこしい目の付けられ方をされてしまったシャミ子。
桃がなぜ敵に塩を送るような行いをするのかといえば、それはシャミ子のことを少なからず「悪い子じゃない」と思っているからで、彼女から敵意を持たれることも桃としては不本意なようです。
(C)伊藤いづも・芳文社/まちカドまぞく製作委員会
しかし何かと脳筋気味の桃は、良かれと思ってシャミ子を強引に鍛えようとすることもしばしば。「シャミ子が悪いんだよ」なるパワーワードは、冷静と情熱の狭間で揺れ動く彼女のパーソナリティを端的に言い表したワードだと言えます。
もうご存知の方も多いと思いますが、この「シャミ子が悪いんだよ」というセリフはアニメ・原作にて一度足りとも出ては来ません。……それなのに、この“桃が言ってそう”感は何なのか。アニメを通して見れば、きっとこの共感覚を会得できることでしょう。
(C)伊藤いづも・芳文社/まちカドまぞく製作委員会
また、こんなワードが独り歩きするようになった背景には、本作の登場キャラたちが随所で見せる独特かつ妙に耳に残るセリフの数々も影響しているように思います。
桃に「小さい子」と言われたシャミ子が憤慨するも、滑舌が追いつかず「小さなにくそにゃー! まだ成長するかもらー!!」と叫んでしまうシーンなどは序の口。
とある借りを作ったシャミ子が桃から「借りっぱなしジャーマンのまま私を倒すの嫌じゃない?」「こげつき魔族だね」と脅されたり、また別の魔法少女に迫られた際にはシャミ子が「この気ぐるみ脱いだら、ちぎなげコース……(ちぎっては投げられるの意味)」と怯えたり、展開と相まってひとつひとつのセリフに謎の味わい深さが感じられます。
(C)伊藤いづも・芳文社/まちカドまぞく製作委員会
そんな独特のセリフ回しを生んだ原作者・伊藤いづも先生の感性は、アニメのEDテーマ『よいまちカンターレ』にもいかんなく発揮されています。
じつはこの楽曲、作詞は伊藤いづも先生によるものなので、ぜひ最後までお聴き逃しなく!
4.“せいいき桜ヶ丘”は今日も平和
“闇の一族”と“光の一族”……まぞくと魔法少女という対立チックなテーマはありながらも、基本的に“せいいき桜ヶ丘”は平和そのものです。
シャミ子の周囲には桃をはじめ、“闇の一族”の始祖・リリス(通称:ごせんぞ)や、新たな柑橘系魔法少女など、因縁があるんだかないんだかわからない関係者たちが続々集結。
(C)伊藤いづも・芳文社/まちカドまぞく製作委員会
(C)伊藤いづも・芳文社/まちカドまぞく製作委員会
さらに、快活スポーツ少女な佐田杏里(さた あんり)や、呪術の類に目がない小倉しおんといった仲のいいクラスメイトたちにも振り回され、助けられつつ賑やかな毎日を送ることになります。
また、“闇の女帝”たる姉に憧れてシャミ子の軍師を目指す愛妹・良子や、極貧生活の中でも強かにふたりを育て上げる母・清子など、愛する家族たちもシャミ子には欠かせない存在です。
(C)伊藤いづも・芳文社/まちカドまぞく製作委員会
(C)伊藤いづも・芳文社/まちカドまぞく製作委員会
ところで吉田家は4人家族ということですが、はてさてシャミ子たちの父はいまどこで、どうなってしまっているのか……。
そんな疑問も頭の片隅に置きつつ、この「家庭の事情で一夜にして闇の力に目覚めた少女が、魔法少女を倒す定めに果敢に立ち向かう感じの、なにかそういった話」をご堪能ください!
(C)伊藤いづも・芳文社/まちカドまぞく製作委員会
文/山本雄太郎
編集/竹中プレジデント
▼「まちカドまぞく」全12話一挙放送 12月29日13時30分より▼
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