ハートフル異世界ファンタジー『便利屋斎藤さん、異世界に行く』。便利屋が異世界で知る「ありがとう」の気持ちが心に染みる
『便利屋斎藤さん、異世界に行く』は、平凡な主人公+個性豊かな仲間たちがくり広げる、戦闘控えめ掛け合い重視のハートフル異世界ファンタジーです。
元の世界で便利屋を営んでいたときから“自分は必要のない人間なのでは?”という悩みを抱え、転生後もそんな思いを引きずっていた斎藤さん(サイトウ)。
そんな彼が仲間たちと心温まるやり取りを交わしながら、なりたかった自分へと近付いていく姿は胸に迫るものがあります。
前世では得られなかった充実感
転生前は現代で便利屋を営んでいたサイトウにとって、ダンジョン扉のピッキングなど造作もないこと。
彼いわく「シリンダー型とかに比べるとチョロすぎる」とのことですが、恐らくシリンダー型がどんなタイプなのか見当も付かない仲間は「サイトウすっげえな~」と感心するばかりです。
ただし、魔法が絡んでくるとなると話はベツ。サイトウは魔法使いの老人であるモーロックさんと協力し、二重鍵を解錠するのでした。
傍目からすれば、ほんの少し仲間から感心してもらい、ほんの少し仲間と協力し、ほんの少し大げさにハイタッチを交わしたにすぎない一連のシーン。
しかし、これだけのことでもサイトウは充実していました。なぜなら、そんな“ほんの少し”すら得難い過去があったから。
続いてサイトウが解錠した宝箱は、なんとミミックだった様子。
襲われかけたところを、すかさず仲間の重戦士・ラエルザが割って入って助けてくれました。
そんな頼りになるラエルザですが、じつは兜の下に可憐な素顔を隠している女性です。
駆け出しのころに負った顔の傷を気にしていて、仲間の前でも兜を外すことは多くないんだそうな。
ピンチを救ってもらったお礼とは言わないまでも、彼女の兜の面当てを直してあげることにしたサイトウ。
他愛もない会話が心地よかったのか、屈託のない笑顔を向けられたせいか、はたまた慌てていまさら傷を隠した彼女の仕草が妙にいじらしく見えたせいか……。とにもかくにもサイトウは、充実していたのでした。
個性豊かすぎるサイトウの仲間たち
サイトウのパーティは4人構成。
そのうち、もっともレベルが高いのは冒頭にも登場した魔法使いのモーロックさんです。
高レベルなだけあって強力な魔法を使えますが、物忘れが酷くて肝心の呪文をよく忘れる模様。
ときにはパーティ行動に支障が出るレベルのポンコツもやらかしますが、憎めないモーロックさんなのでした。
そんなモーロックさんの憎めないエピソード1位が、全滅したパーティを単独で地上まで運び出し、自分の装備をすべて売って全員蘇生してくれたこと。
ただし、ラエルザのビキニアーマーだけは売らずに死守し、故意に着用していたような描写も。そんなエロじじいっぷりも、かわいいところといえばそうなのかもしれません。
4人目のパーティメンバーは、神聖魔術師で妖精のラファンパン。
治療系の魔術に長けているようですが、仲間とはいえ治療は有料。金貨の入った袋は決して他人に触らせない守銭奴的な面もあります。
しかし、サイトウとの鞄のやり取りを見るに、ケチというよりは単に借りはキッチリ返し・返させたいタイプとも受け取れるのかも?
ちなみに、彼女が金貨にこだわる理由はいずれ明らかになりますので、ぜひご期待ください。
怪我の功名でさらに深まっていく信頼関係
ここまで終始やさしい世界が続く本作ですが、異世界ファンタジーには当然危険もつきもの。
ときには、サイトウが大ヘマをやらかしてしまうことだってあります。
宝箱に仕掛けられたトラップに引っかかった彼は、はるか下層へ転落して脚を骨折。
落ちてからずいぶん経っても助けが来ないことを鑑みて、打つ手なしと救助を諦められたのかもという予感が脳裏をよぎります。
そんなとき、決まって思い出すのは元の世界で便利屋をやっていたころの記憶。
やはりこの世界でも、自分はいくらでも替えがきく程度の人間だったのか……。
……と、そのとき水脈をたどって助けに来た仲間たちの姿が!
思わず「正直来てくれるとは思わなかった」とこぼした彼に対し、「バカね」、「サイトウのかわりはどこにもいないからな」と即答する女性陣。そして無言で応えるモーロックさん。
何より欲しかったであろう言葉を掛けられたサイトウの、噛みしめるような表情がなんともたまりません。
今後も終始こんな調子で、サイトウたちの冒険は続いていきます。続きが気になった方は、ぜひとも発売中のコミックス第1巻を手に取ってみてください。
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(画像はニコニコ漫画『便利屋斎藤さん、異世界に行く』より)
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