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SF! ミステリ! コメディ! ジャンルドカ盛りの俺的覇権アニメ『彼方のアストラ』。すべてが伏線に見える演出で、あふれ出す脳汁の海に溺れろ!

 やっと面白くなってきましたね!

 何が? って、そりゃ『彼方のアストラ』である。「まだ観てないよ~」って方(いないと思いますが)は今すぐ3話まで追いかけましょう。ぶったまげるので。

 20197月より放送開始した『彼方のアストラ』。原作コミックスは「このマンガがすごい!2019」でオトコ編3位、「マンガ大賞2019」では大賞を受賞しているほどの人気作である。アニメ第1話は最近流行りの初回1時間スペシャル。製作委員会の確かな熱を感じる。

 本記事では、アニメ『彼方のアストラ』の魅力を、筆者の独断と偏見を込めて紹介したい。

 

文 / 戸部マミヤ(@alicetroemeria
編集 /金沢俊吾(@shun5ringo

ジャンル全部乗せのドカ盛りエンタメ! 御託はいいから3話まで見てくれ

 さて、本作の魅力を一言で表すとしたら「ジャンル全部乗せのドカ盛り総合エンターテイメント」である。「ステーキで寿司を握って天ぷらにしちゃいました」みたいな、アホの小学生が考えたハイパーアホアホ料理を三つ星シェフがマジで作っちゃったようなストーリー。これが素晴らしい。

(画像は『彼方のアストラ』HPより)

 舞台は宇宙旅行が当たり前の技術となった未来。学校行事の惑星キャンプに参加した9人の少年少女が、謎の球体に飲み込まれ、母星から遥か遠く未開の宇宙にワープしてしまうところから物語は始まる。傍に落ちていた宇宙船に乗り込み、母星への帰還を試みる子供たち……と、ここまでがアニメ1話で描かれた導入部分。

(画像はアニメ『彼方のアストラ』第1話より)
(画像はアニメ『彼方のアストラ』第1話より)
(画像はアニメ『彼方のアストラ』第1話より)

 原作未読の方はアニメ1話を視て「なるほど、少年少女が力を合わせて宇宙を旅する『十五少年漂流記』※的ジュブナイルなのね」と思ったことだろう。そして同時に「シリアスなのかコメディなのかよくわかんないアニメだなあ」とも。
※『十五少年漂流記』:無人島に漂流した少年達が力を合わせて生活してゆく冒険小説。

 その感覚は正しい。この作品、ジャンルがよくわからんのである。

 たしかに様々な星を冒険するSFサバイバル」パートはワクワクの連続で、「コメディ」色強めの「ジュブナイル(青春もの)」としても一見の価値あり。だからこそ混乱する。俺は何を見せられているんだ? 
 そんな疑問は3話にしてようやく瓦解する。「なぜ俺たちは命を狙われねばならなかった……?」「事件の犯人はこの中にいる……?」と唐突に押し寄せるクエスチョンの嵐。そう。『彼方のアストラ』を構成する最大の要素は「ミステリ」なのだ。

 「ミステリ」を軸に据えたとき、煩雑にも思える要素の数々は極めて円滑に回転する。バラバラだったジャンルが調和を始める。全てに意味があったのだと驚かされる。

(画像はアニメ『彼方のアストラ』第1話より)

 「SFサバイバル」というステーキ、「ジュブナイル」という寿司、「コメディ」という天ぷら、これら3品を一皿に纏め上げる「ミステリ」というスパイス。あらゆる食材が完璧な配分で盛り付けられた、奇跡の作品が『彼方のアストラ』なのだ。

こんないい奴らの中に犯人が!? アツい友情を引き立てる「疑心暗鬼」という悪魔のスパイス

 ここで、魅力的なキャラクターにも触れておきたい。

 宇宙を旅する9人の仲間たちは、子供ながらにチート特技を極めたプロフェッショナルが揃っている。陸上競技のエキスパートに、IQ200の超天才、手先が器用なアーティストや医者の卵など、ソシャゲなら排出率0.3%の激レアキャラばかり。宇宙船操舵手もいるので、その辺で拾った宇宙船も難なく動かせる。お前ら本当に高校生か?

(画像はアニメ『彼方のアストラ』第1話より)

 まずは主人公のカナタ・ホシジマ。短距離走、長距離走、やり投げ、棒高跳びなど、2日間で10種の種目をこなす十種競技のメダリストだ。その言動は我々がイメージする「熱血主人公」そのまま。完全なる「陽」の存在。深夜の放送時間帯に暗い部屋でこいつを見ていると体内時計が狂いそうで怖い。

 その前向きさが空回りする場面もあるのだが、凄惨な過去に起因する「仲間を助けたい」という想いから少しずつ信頼を獲得していく。仲間のピンチに誰よりも早く駆け出す彼の姿には、確かな主人公の「格」がある。実力と行動に裏付けされた、文句のつけどころのないリーダーである。

(画像はアニメ『彼方のアストラ』第1話より)

 女の子もかわいい。とてもかわいい。普段は息をするようにボケorツッコミをこなしてるのに、恋愛ごととなると急にモジモジしちゃうあたりが特にかわいい。

 ヒロインのアリエスピンク髪にふさわしい天然ボケ(偏見)、重苦しい空気をぶち壊してくれる清涼剤だ。かと思えば一度見たものを忘れない映像記憶能力を持ち、核心を付いた発言で事態を急転させる役割もこなす。いろんな意味で目が離せない。この時代の宇宙服、ちょっと体のラインが出すぎじゃないですかね。

(画像はアニメ『彼方のアストラ』第1話より)

 さて、主人公のカナタも含め、メンバーのほぼ全員が何かしらの暗い過去を背負って船に乗っている。彼ら・彼女らは、果たして生まれた時から天才だったのだろうか? 仲間たちの素性が明らかになるにつれて、御都合主義的だったチートスキルは、むしろ人間臭さの象徴になるだろう。

(画像はアニメ『彼方のアストラ』第1話より)

 このように、『彼方のアストラ』のキャラクターたちは、いつの間にか「この9人以外は考えられない」と思えてしまうくらいに魅力的だ。巨大生物に襲われたり、宇宙船が故障したりと、何度もピンチに見舞われながらも、困難を乗り超えることで絆を深めていく。  
 だが思い出してほしい。本作はミステリだ。そんな魅力的な仲間たちの中にこそ、事件を起こした犯人が隠れているとしたら……?

 まさに、ミステリ×ジュブナイル。「こんないい奴らの中に犯人が…」という思いが犯人探しの緊張感を加速させ、あるいは疑心暗鬼を乗り越えた友情に涙する。
 視聴者も10人目のクルーになった気持ちで、素直な目線で彼らを好きになり、同時に本気で疑ってみてほしい。考察の果て、もしも真相に辿り着けたとして、達成感以外の何かを得られたとしたら、その感情こそが『彼方のアストラ』の大トロである。一番美味い。俺も記憶を消して、もう一度最初から食いたい。

(画像はアニメ『彼方のアストラ』第1話より)

そのシーン、本当にギャグですか? 巧妙に隠された伏線に震えろ

 洪水のように挿し込まれるギャグもまた本作を語る上で外せないエッセンスである。物語の本筋が重たくなりすぎないように、緩急を付ける目的でギャグを挟むのはストーリー漫画でよく見られる手法だ。 
 だが『彼方のアストラ』は、緩急の「緩」が占める割合があまりに多い。死と隣り合わせの旅とは思えないお気楽ムード。未開の惑星に降り立ち、食料調達のためにワイワイと大自然を探索する様は、まるで平和なキャンプの続きのようである。

(画像はアニメ『彼方のアストラ』第1話より)

 こうして笑いで弛緩しきった脳を、突然のミステリがぶん殴るのだ。「あははははは楽しいな~」→「犯人はこの中にいる!」。最高の笑顔から突然の真顔。このジェットコースターみたいな落差こそがミステリ×コメディの真骨頂といえるだろう。

 そのうえ本作の場合、何気ないギャグの中に重大な伏線が仕込まれていたりする。初見では絶対に気づけないであろう巧妙な伏線隠し。もしアニメを録画できる環境があるなら、ぜひ記録に残しておいたほうがいい。最終回を迎えたあと、絶対に見返したくなるはずだ。

新たな伏線か? アニメオリジナルの演出も疑わずにいられない

 完璧な計算の上で成立している『彼方のアストラ』だから、アニメオリジナルの演出や展開はどうしても穿った目で見てしまう。例えば第1話を原作と比べてみると、後半の展開が大きく異なっている。宇宙にひとり取り残されたアリエスを助けるシーンだ。

(画像はアニメ『彼方のアストラ』第1話より)

 実はこのシーン、原作ではカナタが一人で悠々と助けていた。まるで宅急便でも受け取るようにすーっと向かってぴゃーっと帰還していたのだが、アニメでは仲間全員の力を合わせて救出する壮大な一幕に変更されている。前述したように仲間たちはみんないいやつなので、序盤から彼らを好きになれる山場を作ったのだと想像できる。

 だが、本当にそれだけだろうか?

 バトンをつなぐように遭難者の手を引く構図。これはコミックス表紙のオマージュになっている。……これ以上はネタバレになるので控えるが、この原作改変は単なる演出上の都合ではなく、アニメオリジナルの伏線として仕込まれたものではないかと思えるのだ。絶対に回想でこの場面が流れると確認している。そして、俺は泣くだろう。もうタネはバレてんだよ!

(画像はアニメ『彼方のアストラ』第1話より)

 というわけで、アニメ『彼方のアストラ』は原作ファンが観ても十分に新鮮な気持ちで楽しめる。そして、同時に、今から初めて本作に触れる視聴者をうらやましいと思う自分もいる。 
 エンタメのドカ盛りでお腹パンパンになる経験はなかなか得られない。後悔はさせない。改めて、とにかく3話まで観てくれ。そうしたら、最後まで走り切らずにはいられないはずだ。


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