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恋愛よりも相撲を優先する私が「大相撲総選挙はなぜこの結果になったのか?」を暑苦しいほどのラブとパッションをこめて語ってみた!

第3位 栃煌山

 な、な、なんじゃこりゃ! これまたビックリの結果となった。
 「ミスター地味力士」のイメージの栃煌山への投票にも、ひとりで3桁のハガキを送った熱烈なファンがいたという。投票理由にも、「不器用だけど一生懸命まじめに相撲に向き合う姿」「本当に努力し頑張っている人物」など、そのひたむきさを評価する意見が多かった。

 筆者が特に目に焼き付いているのが、平成24年の五月場所。栃煌山が優勝に手をかけた時のことだ。勝ち上がった先の優勝決定戦で、旭天鵬と世紀の平幕対決。
 結果は5秒で敗れ、旭天鵬の史上最年長初優勝に花を添えてしまった。もったいなさすぎる……。しかし、それでも腐ることなく、優勝争いに絡み続けている。
 相撲への向きあい方が評価され、普段注目を集めない力士にもスポットライトがあたる。大相撲総選挙ならではの結果となった。

稀勢の里の現役最後の相手は栃煌山だったのも何かの因縁だろうか。画像提供:日刊スポーツ新聞社

第2位 貴景勝

 もう何が起きても驚かない。筆者の第1位予想の貴景勝は2位となった。ネット、ハガキ、ツイッターと万遍なく票を集め、令和の旗手としてふさわしい結果になったと思う。
 初場所から28場所のスピード出世での大関昇進にも関わらず、さらに上を目指す貴景勝。初参戦の大相撲総選挙でも、第2位という順位の方が似合うのかもしれない。

第1位 妙義龍

 栄えある第1位は……なんと妙義龍!!
 昨年は圏外からの大金星だ。大波乱の大相撲総選挙は、幕引きまで意外な結果となった。

 驚くべきはハガキでの投票。4位の徳勝龍、3位の栃煌山も、ひとりで多くのハガキを出した熱狂的なファンがいたが、妙義龍の場合はそれが複数人いたという。

 妙義龍の魅力は、その「肉体美」にあると筆者は考えている。
 千代の富士を彷彿とさせる筋肉、(相撲の世界では褒め言葉になる)胴長短足の素晴らしいスタイル。かつ手が長い、オラウータンのような姿は、相撲を取るために生まれてきたような理想形だ。
 そして、その肉体をしたたる汗が美しい。新陳代謝が異常に良く、横綱を倒して金星を勝ち取った時のインタビューでは、文字通り滝のように流れる汗が目に入って、もはや涙と区別がつかない。そんな妙義龍を愛してやまない粋なファンの存在が、1位にまで押し上げたのではないだろうか。

 ハガキでの投票で最も多く票を集め、飛ぶ鳥を落とす勢いの貴景勝までも凌駕した。

総選挙を通して感じた、筆者の思う大相撲・力士の魅力

 驚きの連続で語りつくせないほどだった今回の総選挙。朝まで語り明かす相手のいない寂しい筆者にもう少し語らせてほしい。

 稀勢の里なきあとの10人を見回してみると、みんな、コツコツ努力している真面目な力士たちだ。その姿を見逃さないファンたちに、「深く」愛された力士が高い順位に躍り出たのだと思う。3桁にのぼるハガキを出したは人は、1枚1枚丁寧に、それぞれ違う選出理由を書きこんでいたらしい。
 大相撲には古くから、ひいきの力士を応援する「タニマチ」という存在がいて、力士の将来を左右することさえある。今回の総選挙では、ハガキを大量に購入し、愛の込もったコメントを書いた熱狂的なファンが結果を動かした。そんなタニマチ文化の匂いがする結果となった。

 組織票というネガティブな見方もできるが、「特別な縁や財産を持たずとも、推し力士の後押しができる!」という、大相撲の新しい楽しみ方が生まれたような気がしている。

画像提供:日刊スポーツ新聞社

 この結果は、今の相撲界の状況とリンクしているように感じる。本場所ではここ数年、大関以下の力士の「初優勝」が続いている。かつてのように、朝青龍白鵬といった横綱の連続優勝もなくなった。
 これは大相撲から、「人情」や「空気の読み合い」が廃され、限りなく「ガチンコスポーツ」に近づいているからではないだろうか。怪我で休場する力士が多くなっているのもそのせいだろう。大相撲は今、誰が優勝してもおかしくない、何が起きるかわからないのだ。

 総選挙でも、妙義龍ファンがガチでこの総選挙に挑んだ結果が表れた。幕内力士のすべてに、優勝する可能性があり、1位になる可能性がある。今回投票しなかった人、普段相撲を見ない人も、ぜひこのビックウェーブに乗ってみてほしい。
 お願いだから、今こそ相撲を見て欲しい。

 「推し力士」ができさえすれば、相撲は格段に楽しくなる。取り口、外見、インタビューでの言葉など、理由はなんでもいい。気になる力士をチェックすれば、来年はあなたの票が大相撲総選挙の番付を動かすかもしれない。

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