配信が主流になると、地上波アニメはどうなる!? アニメ評論家 藤津亮太「最初に上映するメディアが地上波でなくなる可能性」
テレビモニターがプラットフォームになる
国井:
コンセント入れてリモコンだけで操作できるのは強いと思う。インターネットって、自分から手を伸ばさないと届かないというのがまだありますから。
番組スタッフ:
課金が入ると親がそっぽを向きますよね。そこのジャッジを子供はできないから。
サンキュータツオ:
テレビはもっと、のっぺりしたメディアになっていくってこと? エッジが効いたことがまったくできなくなりますよね。
藤津:
のっぺりというより、今まではテレビ局だけのものだったテレビモニターを、今は配信だったりゲームだったり、いろいろなものが奪い合っているっていうことですよね。
サンキュータツオ:
テレビモニターは導線を引くメディアですね。まるでテレビモニターは東京駅で「こっち行きたい人は中央線乗ってください」みたいな。
藤津:
大きい入り口としてテレビモニターがある。テレビはついているけど地上波じゃないものを観てる人も増えるわけですよ。私はYouTubeとかニコニコ動画もシームレスに観れる時代が来ると思っています。パソコンを立ち上げるのは、なんだかんだでハードル高いんです。居間で見れたら楽だって思ってる人もけっこういるはずですから。
サンキュータツオ:
でも、これからアニメを消費する世代って、スマートフォンとタブレットで完結しませんか?
藤津:
ハードとしてのテレビがいろんなものを統合していくプラットフォームになると思ってる。
サンキュータツオ:
テレビジョンじゃなくて、いわゆるモニターっていうことですね。そのコンテンツのひとつに地上波のテレビがある。
藤津:
テレビがテレビじゃない時代になって、究極の進化ですよね。それに若い世代はそれほど画質にこだわらないですよね。
国井:
画面の大きさにもこだわってないし、画質にもこだわってないですから(笑)。見て、それが面白かったらそれでいいって感じですからね。
スマホで見るアニメからは、どんな作品が現れるか
藤津:
『AnimeJapan』ってアニメの見本市で、『プロダクションI.G』のブースの隅っこに、スマホで見る縦のショートアニメの企画を動かしている『タテアニメ』っていうコーナーがあってね。
サンキュータツオ:
やべー! マジか!
藤津:
今人間が一番見ているモニターはケータイの画面。そこにアニメーションを流すことができないか、ということでした。
サンキュータツオ:
モニターが小さくなるじゃないですか。ってなると、アップが多くなるってこと?
藤津:
いや、気にしてないんじゃないかな。普通に『dアニメストア』をケータイで観ている人がいることを考えると。しかも『グランブルーファンタジー』とかあれぐらい密度が細かいものになると、ケータイではよく見えないと思う。だけど気にせず見てる人がいるって前提だと思うんですよね。
番組スタッフ:
スマホで見たら、画像が綺麗な表現だねっていうところが……。
サンキュータツオ:
わかんないですよね。そうすると、あらすじがおもしろい作品に注目が集まる。あらすじがおもしろいってことは似たり寄ったりになっていくっていうことだから危険。
藤津:
なんだかんだで観客は保守的なので、そんなに大きくは振れないような気がしてます。僕は居間にあるパソコン化したテレビモニターがベースになって、移動中とか箸休めにケータイが使われて、イベントや応援上映を含めて劇場があるようになるのでは、と思っています。