『けものフレンズ』最終話まで観た漫画家がドッタンバッタン大総括! 大ヒットの理由を3つ考えてみたよー!
大ヒットの理由その3--サーバルちゃんは理想の女の子--
山田:
主人公のサーバルちゃんを分析していきますと、サーバルちゃんがやっていること全てが、男たちが女の子にやって欲しいことなんだよ。
どこに連れて行っても、すごーいたのしー! 何を見せても、すごーい! たのしー! こんなの初めて! 教えて! みたいなことを言っていれば、男は基本的に落ちますから。それを全部やってくれている。
乙君:
なるほどね。
山田:
そして「なんとかなるよ!」っていつも言ってる。「カバンちゃんがなんとかしてくれるよ」みたいな。カバンちゃんどうしたら良いの? って 頼ってくれているんだよ。そのくせ自立しているから、カバンひとつ持たずに荒野で生きて行く女、かっこいい! そして、これ大事だよ、男の影がない。なぜならば、フレンズに男はいないからです。
もう一個、女同士が対立していないんです。この世界は。ツッコミはあるんだよ。だけど、女同士があれだけ揃うと、当然起こるマウントの取り合いだったり、いがみ合いだったり、潰しあいだったり、陰口だったり、全然出てこないでしょ?
乙君:
たしかに、ライオンのところで、合戦ごっこみたいなことはしていたけど。
山田:
あれは、じゃれ合いです。男たちが見ていて、微笑ましいレベルです。
乙君:
子どもたちが、ちゃんばらごっこするみたいなことでしょ?
山田:
そして、大事なのがもう一個。男たちは、女たちを守ってやりたいなんて言いつつ、心の底では、俺をどこかに連れてってくれよって、思っているんだよ。
サーバルちゃん。連れて行ってくれますよね? カバンちゃんのために、ひとりで生きていたのに。いいよ図書館行こう! 海行こう! とか言って、どこにでも連れて行ってくれる。
山田:
要するに【男はみんなカバンちゃん】【リセットポイント幼稚園】【サーバルは理想の女】これが3つ揃ったうえに、フレンズ化という病が日本の国民病になったんで、何を見ても萌えキャラに見えるという。そういう感じなんですよ。これをフレンズと言うことによって、病気でなくしたんですね。
乙君:
なるほど。肯定的な意味にしたということですね。
山田:
そう。それでいいんだよ。フレンズだから。
乙君:
いや、だとしたらこれはもう大発明ですよ。生きやすくなるだけじゃないですか!
山田:
その通りなんです。今があまりにも、生きづらいからなんだよ。
フレンズってただの美少女というよりは、無条件で自分を受け入れてくれて、そしてどこかに連れて行ってくれるかもしれない、という希望みたいなものをフレンズと言っていて、俺たちは、君と寝たいとか言わない。友達からはじめてくれる? って。
乙君:
なるほど。それも男女ではなく。
山田:
男女とか言わないから、エッチなこととかしないから。フレンズからお願いしますという。そういう初期化ですね。ということが、起こっていますね。