“民泊”も事故物件化している…!? 居酒屋店員が利用客を刺殺、豪邸のプールに自衛官が侵入し死亡など、東京エリアの特異な事故物件を見よ【語り:大島てる】
引越し時期が近づくと、つい気になるのは「住みたい街ランキング」という言葉。吉祥寺や恵比寿など、人気物件が多く存在する街に心惹かれる一方でどうしても気になるのが、そんな街にも存在する事故物件のこと。
殺人、自殺……様々な理由により、いわくつきとなってしまった事故物件を徹底的に語り尽くすniconico生放送番組「事故物件ラボ」には、MCとして事故物件公示サイト「大島てる」管理人の大島てる氏(@Oshimaland)と、事故物件住みます芸人の松原タニシ氏(@tanishisuki)のふたりが出演。今回は事故物件専門の不動産「お困り解決本舗」から大熊昭氏がゲストとして登場しました。
大島てる氏は吉祥寺、恵比寿、中目黒など、東京都内の一般的に“住みたい街”と呼ばれる地域に点在する事故物件について解説。なかには「居酒屋店員が客を刺殺した」「泥酔した自衛官が豪邸のプールに迷い込み、中で亡くなった」など、驚きのエピソードを持つ物件も……。
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故意ではなく“死なせてしまった”「吉祥寺」での殺人事件
大島てる:
まずは、よく例として挙げられる吉祥寺からです。10年ぐらい前の事件なんですが、ここの一軒家で人が死んでしまうという事件がありました。傷害致死、それは殺人とは違うんですが……例えば殴ったら結果的に死んじゃったと。手が当たっちゃったとかじゃなくて、殴るつもりはあったというケースなんですけれども。これがいろいろな事情ありまして、犯人が不起訴になりました。
松原タニシ:
なるほど。
大島てる:
逮捕されて不起訴。つまり今、私は「犯人が」と言いましたけども、正確に言うと、「犯人」という言い方がふさわしくないかもしれないわけですよ。裁判で無罪になったとかじゃなくて、その前の段階で、そもそも裁判にかかってない。ということで、この関係者が苦情を言ってきまして、「不起訴になったんだから事故物件じゃない」ということで、これはかなりよくある苦情のパターンでして。
つまり、住む人、買う人、借りる人からすれば、無罪になったとか真犯人が別にいるとか、あるいは頭がちょっとアレだから、精神病院には送られるけれども刑務所には行かないとか、そういういろんな事情で不起訴になったり無罪になったりとかいうケースはよくあるんですけど……「だから事故物件じゃない!」というのは、それはさすがにないだろうということで引き続きサイトには載せているんです。
ここから逆に何が言えるかというと、まあ吉祥寺に限らないんですけれども、犯人……つまり殺しちゃった人が、刑務所に行かないっていうケースが結構多いんですよね。
松原タニシ:
以前住んでた物件が”親殺しの家”なんですけれども、その親を殺した息子は精神鑑定で不起訴になって、刑務所に行ってなかったっていうことがありました。
大島てる:
ただこれは吉祥寺に限った話ではなくて、今のタニシさんが話した物件は関西の話ですから、こういう例は日本全国どこでもあります。
松原タニシ:
大熊さんのハッピープランニングさんでも、そういった相談はありますか?
大熊昭:
そうですね。皆さんが言うように家の中で事故が起きたら、やはり不起訴になろうが、もう事故物件ですね。
松原タニシ:
ということは、不動産的には事故物件なんですね。
大熊昭:
そうですね。その中で皆さんにご紹介するにあたっては、告知事項としてお伝えしないと、宅建業法に引っかかってしまいます。
大島てる:
安易にわかりやすさを重視して「殺人事件があったとか?」言うと、「いや、殺人罪で逮捕、起訴、有罪になった人はいない」みたいな反論をされちゃうんですよ。殺人罪で有罪判決が確定していなくても、別に十分嫌がられるわけですから。
バラバラ殺人があった「学芸大学」
大島てる:
また、学芸大学駅のあたりでバラバラ殺人事件もありました。
遺体が遺棄されたのは公園の池で、それはどこだかわかってますけど、不動産取引においては”事故物件”の対象にはならないという例ですね。大島てるのサイトにも載ってないです。
松原タニシ:
亡くなった方の自宅が事故物件っていうこと?
大島てる:
この場合は被害者宅が犯行現場なのでそのとおりです。
居酒屋店員が客を刺殺。飛び降りの巻き添えで…レアケースな恵比寿の事故物件たち
大島てる:
続いては恵比寿です。
特徴的な事故物件がいくつか思い当たるということで、決してこの街の特徴ということではないと思うんですが、私にとって印象的な物件、レアケースがいっぱいあります。例えば、そのうちの一つがこちらでして……。
この古めかしいビルの2階に入ってる飲食店、ここで殺人事件が10年ぐらい前にあったんですけれども、ただの殺人事件ではなくて、居酒屋での事件です。居酒屋での事件と言ったって、そんなもの他にもあるじゃないかと、皆さん思われると思うんですが、何とここは”店員が客を刺殺する“という事件がありました。客同士でけんかをすることは多くあるんですけれども、さすがに店員がお客さん刺し殺すっていうのは、日本広しといえどもなかなかないですよね。
犯人はここのアルバイトなんですよ。ですから、お店が悪いわけじゃないと言えばまあ、そうかなと。ただそれが歌舞伎町などの治安の悪い地域ではなく、恵比寿駅前だったということですね。それが一つ。だからといって、恵比寿がこういう店が多いっていうことではないんですけれど。
松原タニシ:
あったよっていうことですね。
大島てる:
はい。それから、続いてこちらもレアケースなんですが、「飛び降りて死亡」と書いてありまして。
これがなかなか難しくて、薬物がらみの事件の捜査で、警察がガサ入れというか、いきなり来たわけですよね。で、マンションの7階のベランダから飛び降りて死んじゃったということなんですよ。
ですから、これを安易に「飛び降り自殺」とするのか……捕まるぐらいなら死を選ぶという動機で飛んだと言い切れるわけではないし、何を考えてたのかわかんないんですよ。飛べると思ったのかもしれないし、普通に逃げようとして着地に失敗して死んじゃったのかもしれないし、心の中で何を考えてたのか、それまでは私もわかりませんので「飛び降りて死亡」と書いています。
世の中には転落死というのがいっぱいあるんですが、みんながみんな自殺したわけでもないし、もちろん窓の清掃とかペンキを塗ってるときに、不幸にして落ちてしまったという、その二つは皆さんすぐ思い浮かぶと思うんです。が、そうではない、何を考えてたのかちょっとわからない転落死というのが結構あるということです。で、なかなか表現が難しいので、飛び降りて死亡という書き方をしてます。
松原タニシ:
この「7階↓3階」というのは何ですか?
大島てる:
建物がいびつな形をしてる関係で、7階から飛び降りて3階の部屋のどこかに着地して死んじゃったってことです。
松原タニシ:
それは、別の人の部屋で? 嫌やろなあ……。
大島てる:
嫌ですね。無関係な人の部屋のベランダですからね。
大熊昭:
結構マンションって段々になってるんですよ。斜線の関係で、上から落ちて下のルーフバルコニーに落ちてしまったりとか、そうすると、そこの部屋自体も結構事故物件っていう扱いに……。
流行りの“民泊”でも、事故物件化はありえる…
大島てる:
これもまた珍しいケースなんですが、今度は12階からの転落死です。子どもさんがバルコニーから落っこっちてしまったという、かわいそうな事故死なんですが、これが中国から家族で旅行に来られてた方のお子さんなんです。
ではなぜこの一家がここにいたかというと、このマンションの一室が無断で民泊の施設として使われていて、知らないまま、部屋をいろんな外国の方が代わる代わる使っていたんです。そのうちのいちファミリーが使ってるときの事故だったんですよ。私の記憶が正しければ、日本初の事故物件化した民泊、第一号じゃないかと思います。
他にも、「事故物件になっちゃった、どうしよう……。旅行者は事故物件かどうかまで気にしないだろうから、民泊にしちゃえ」という発想で、事故物件を民泊化してしまう人もいるみたいです。民泊の場合は、現状「事故物件である」と告知する義務がないので。
松原タニシ:
あ、そうなんですか?
大島てる:
その後、大阪でもこういうことがいくらでも起きてます。けれども、この以前は、あんまりそういう話聞いたことなかったですね。子どもさんが亡くなっちゃったっていうこともあって、かなり大きく取り上げられたというのもあります。
事故物件サイト「大島てる」登録第一号は恵比寿に!
大島てる:
こちらはまた恵比寿なんですが……実は事故物件サイト「大島てる」掲載の、これまた第一号です。これも恵比寿の火事現場なんです。つまびらかに説明すると、ただの火事ではなかったんです。これはたばこを吸ってはいけない未成年が友達の家でたばこを吸って、そしてたばこを消し忘れて帰った、と。そしたら、その友達の家で火事が起きて、友達が死んじゃったんですね。
松原タニシ:
またつらいな、それは……。
大島てる:
ということで放火ではない、焼身自殺でもない。でも、だからといって寝たばことか調理中の失火とも違うということで、重過失致死という非常に珍しい容疑になりました。落ち度が重いということです。故意じゃないんだけれども、消し忘れて火事が起きて人が死んじゃうなんて……ということで逮捕されました。故意じゃないのに逮捕されるっていうのは、かなり珍しいです。
松原タニシ:
珍しいんですね。あんま聞かないですもんね。
大島てる:
あんまり聞かないですね。恵比寿駅のまわりには、こういう珍しいものがあちこちあるというのが私の印象です。
泥酔した自衛官が豪邸のプールに迷い込む? 「中目黒」
大島てる:
中目黒というと、非常に覚えてるのは、プール付きの豪邸でして。
松原タニシ:
すごい。
大島てる:
そのプールの中で自衛官が亡くなっていたんですよ。
松原タニシ:
自殺ですか。
大島てる:
陰謀論も飛び交ったんですが、どうやら恵比寿で飲んで、帰りに自衛官御用達のホテルに歩いて行こうとしたら屋敷があって、思わず訓練のように匍匐前進とかをしたら、死んじゃったのではないかということ。そういうことは得意でしょうから。
松原タニシ:
でも、飲んでてわからなかったんですかね。
大島てる:
もう死人に口なしですから何とも言えないですけども。
▼記事化箇所は27:23:から始まります▼
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