『侵略!イカ娘』の触手の威力を科学的に検証 海に浮かぶ岩を一撃粉砕する威力は戦艦大和の主砲460発分!?
アニメ『侵略! イカ娘』の主人公・イカ娘。海を汚す人類を侵略すべく、深海から地上にやってきた少女であり頭から生えた髪の毛のような触手が特徴的なキャラクターです。
この謎に包まれたイカ娘の生態をアニメのワンシーンから科学的に検証するのが、シルフィード(NSVF)さんが投稿した『【空想科学】”イカ娘”の生態を検証してみた【侵略!イカ娘】』という動画。
主人公・イカ娘の生態について徹底的に検証を行った結果、何気ない動作ひとつでもとんでもない力が秘められていることが明らかに!?
イカ娘とは!?――イカとヒトの共通点
もっとも端的に言うなら「人間とイカの両方の性質をもった生物」といったところになります。では、人間×イカの組み合わせは実際あり得るのでしょうか。
人間とイカ(スルメイカ)を分類学的に比べてみると、スルメイカは
動物界軟体動物門頭足綱十腕形上目ツツイカ目アカイカ科スルメイカ亜科スルメイカ属スルメイカ種スルメイカ
であるのに対し、ヒトは
動物界後生僧物亜界脊椎動物門羊膜亜門哺乳網真獣亜網正獣下網霊長目真猿亜目狭鼻猿下目ヒト上科ヒト科ヒト下科ホモ属サピエンス種サピエンス亜種ヒト
全然違います。もはや共通点は「動物である」というだけ。
まず注目するのは特徴的な触手。一般にイカの触手は10本と思われがちだが、伸縮する長い腕である触腕2本と、伸縮しない触手8本で構成されている。
それに対してイカ娘の触手は10本すべてが伸縮し放題な上に、平べったく触手が物をつかむのに必須な吸盤すらない。なんとも珍しいイカである。
珍しいと言えば、イカ娘は風呂にも入るイカなのだが、これはちょっとマズイ。水道水なうえに水温が40度前後ともなると確実に出汁が出る。
もっと言えば浸透現象によってイカ娘は水分を吸収してしまいぶよんぶよんになります。最悪の場合破裂もあり得ます。
更に、イカ娘はイカ墨を何故か口から吐く。元来イカ墨を吐くのは漏斗と呼ばれる機関で、捕食用の口とは別のもの。イカ娘はこれと口を兼ねていると考えられるが、そうなると非常に残念な話になる。実は漏斗はイカ墨を出すだけでなく、糞や卵の排出器官でもあるのだ。
他にも、「常時陸上にいても乾かない」「肺呼吸である」など取り上げるべき事柄は無数にあるが、総じて言えるのはこの生物、全くイカらしくない! むしろほとんど人間と言っていいくらいである。
そういう意味では、渚の言う「イカの人」という形容が一番的を射ているのかもしれません。
さて、イカ娘の体の構造について最後にもう一つだけ考えておきたいことがある。それは触手の位置です。
ご存じのとおりイカ娘の触手は頭部から生えている。これは通常のイカと同じでなんら不思議ではないように感じるが、ここで問題なのは使用用途である。
何がマズイって、頭の触手を打撃に使っているということだ。
どうマズイかは触手の発揮した力を見ると分かりやすいだろう。早苗は身長150cm・体重50kgとする。また画面から、イカ娘は早苗の重心(70cm)を身長の高さまで上げ、3.5mほど殴り飛ばしたとしよう。
すると早苗の運動を単純な放物運動とみれば、早苗はおおよそ初速5.9[m/s]、仰角42[度]で打ち上げられたことが分かる。
画面を見るに触手が早苗を押した距離は数㎝程度とみてよかろう。仮に3㎝とすると、この時触手が発揮した力は実に約3トン! これはプロ野球選手のフルスイング3人分に相当する!
これだけの衝撃を顔面で受け切った早苗の凄さは語るべくもないが、ここで重要なのは反作用を受けたはずのイカ娘の頭部が微動だにしていないということだ。
これは早苗に与えた力が早苗の放物運動に使われたのに対し、イカ娘は受けた反作用を頭で受け切ったということを意味する。これは頭を電車に轢かれたようなもの。通常なら頭が木端微塵になり、確実に即死である。
イカ娘の頭はこれに耐えられるようだが、いかに頭が丈夫でも脳への衝撃は防げない。これを早苗が襲うたびに続けていたら、いずれ脳に障害が残る危険性もあるだろう。みなさんも頭は大事にしましょう。
イカ娘の触手の能力
なんとイカ娘ははるか遠方にある小島ほどの巨岩をただの一撃で粉砕したのである!
まず第一にリーチ。場面と、舞台とされる由比ヶ浜周辺の地図を見比べると、破壊した巨岩は和賀江島のやや南あたりにあるようだ。
これから触手の長さを見積もると、その長さなんと約1500m! この長さなら恵比寿駅から目黒駅の早苗を殴り飛ばせる。また、破壊した巨岩は目測20mほどのとうである。ここでは直径・高さ共に20mの円柱に近似しよう。これを実際の地図に当てはめてみると、
改めて視覚化すると、すごく……遠いです……。
しかも触手はこの距離を僅か0.78秒で到達している。この速度はなんと1923[m/s]=マッハ5.6!
更に、この巨岩(6300[m3])を岩石とすると、これを粉砕するパワーとは実に20億[J]!
これは戦艦大和の主砲460発分に相当する!
しかもこれは触手1本だけの話。他の触手も同様の威力を出せるなら、イカ娘の全パワーは実に200億[J]である。単純なエネルギーの割り算でいえば、50[km/h]の乗用車にはねられた衝撃を一度に与えられる人数は実に20万人。鎌倉市民は一撃で全滅だ。
海の家れもんも、壁に穴が開いただけで済んでよかったと言うべきだろう。なにせもしイカ娘が全力を出していたら、穴どころか辺り一帯が直径数百m単位のクレーターに沈むのだから。
さて、実はこの出来事によって、イカ娘の新たな能力が明らかとなった。それは視力である。この巨岩破壊、非常に目がよくないと難しいのだ。
イカ娘の触手は平べったく、その幅は目測5㎝程度だ。これを1500m先の20mの物体に当てるのがどれほど難しいかと言うと、100m先の子供(130㎝)にミジンコ(3㎜)を当てるより難しい。
この時の視力は実に9.0であり、1.5km先の5㎝の物体を識別できる場合、1.5mの人間であればなんと46km先まで識別可能なのだ。
実に素晴らしい能力だが、よく考えるとそもそもイカが暮らす深海では遠くは見えないし、イカ娘の目線の高さでは4kmほどで水平線に達し、その先は見ることができない。
この視力をフルに生かすためには、触手などで垂直に2kmほど上昇する必要がある。この高度なら由比ヶ浜どころか東京湾まで一望でき、触手で移動すれば範囲内ならどこでも3秒以内に即参上! 実に頼もしい。