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坂本龍一氏にとっては黒歴史?『王立宇宙軍 オネアミスの翼』楽曲制作秘話を岡田斗司夫が語る

音響監督との間に生まれた“軋轢”

岡田:
 もちろん、そういう時に、坂本龍一さんと僕らが直に話して調整していれば、そこはなんとかなったと思うんですけども、坂本さん側も坂本さん側で、「ちゃんとこうやってくれよ!」という指示を、坂本さん自身が当時所属されていたヨロシタミュージックを通して話される。

 僕らの方も僕らの方で、坂本さんから直に話が来るんじゃなくて、ヨロシタミュージックから、音響監督であるグループ・タックの田代敦巳さんのところに話が来ることになる。

 そして、音響監督としては「“世界の坂本”とはいえ、たかだか音楽を担当した1人に過ぎない。俺は音響監督で、お前は音楽担当だ!」と……まあ、そこまで強圧的な方ではないんですけど。

 ある作品を統一的に作るためには、監督というのをトップにおいて、その他のスタッフは、それを助けるポジションでなければいけないという、当たり前ですけど、そういう考え方をされている方だったんです。なので、坂本さんはヨロシタミュージックの言ってくることを、パッパッと断ってたんですね。すると、ヨロシタさんのイライラも頂点に達してくる。

 坂本龍一さんが、実際にこの後、打ち合わせに来られなかったのにも事情があったんです。ベルナルド・ベルトルッチの『ラスト・エンペラー』のお仕事で、ロンドンと中国を往復していたんですよね。

 それを聞いたら、また田代さんが「ちょっと待てよ! 同じ映画音楽を担当していて、なんでお前はベルトルッチの映画には現場に行って、『オネアミスの翼』の現場には来ねえんだ!?」という(笑)。

 そんなふうに、何やら、それぞれのスタッフの間で、坂本龍一さんと監督の山賀博之以外のところでのトラブルが、ザーッと出てくる。その結果、グループ・タックの田代敦巳さんという音響監督と、ヨロシタミュージックの社長が激しくぶつかることになってしまったんですね。

 結局、ヨロシタとしては「コンテを変えるんだったら、最悪それでも構わない。最初に坂本が参加を決めた、あの素晴らしいコンテを変えるんだったら、それは仕方がないけど、「そのコンテから変えた映像を半年前に完全な形で坂本側に出せ! そうしたら、坂本はそれに従った完璧な音楽を作る!」と言ってきたんです。

 でも、俺らの方としては、もう公開日に完成が間に合うかどうかわからないと言ってる状況なんですよ。「ちょっと待ってよ、半年前に完璧な尺の映像を渡せと言われても、私達はあなた方の知っている“ハリウッド”じゃないんです!」という感じで(笑)。

音響監督に決定権を委ねた岡田氏

 これに対して、音響監督の田代敦巳さんからは「どの音楽をどの位置で入れるかの決定権は、坂本龍一にあるんですか? 田代敦巳にあるんですか? 岡田さんはプロデューサーでしょ? あなたが決めてください!」と言われて(笑)。

 もう、これ、どうしようもないですよ。こういう時になると、なぜか読売広告社のプロデューサーも、バンダイのプロデューサーも、ピューっと逃げてしまって。「ありゃー」と。まあ、そりゃそうだろうなとも思うんですけど。

 僕の方は、とりあえず、常に変わっている製作現場の状況は田代さんの方にも話していたので、「音楽の入り位置や抜け位置は、田代さんが全て決めていいです。その代わり、僕も山賀も、音と絵を合わせるダビング作業の時には、必ず立ち会って見ますから」という形に決めたんです。

 田代さんも、別に自分が権力を取ってやりたいという人ではなくて、「このままでは作品がバラバラになってしまう」と思ったからこその話なので、それで納得していただいたんですけども。

 だから、「音響監督の田代さんの意見で、ここは統一します」ということを、プロデューサーの僕が決めて、ヨロシタさんにも連絡したんですね。

 けれども、坂本さんは、この件があったからだと思うんですけど、以後の取材でも『王立宇宙軍 オネアミスの翼』に関しては、なんか黒歴史っぽくなってしまって、触れないようにというか、わりとなかったことみたいにされてるんですよね。これに関しての最終的な責任というのは、「田代さんでいきます」と僕が決めたことにあると思うんですけども。

 今回のインタビューでは、本当にムカッと腹が立っちゃったんですけれども、やっぱり最終的には僕の判断のせいなんですね。坂本さんに、いまだにこういうふうに言わせてしまっているのかと思うと、なんか『王立宇宙軍』という作品や、当時のスタッフに申し訳ないな、と思うところであります。

 もうずっと、この話は忘れてたんだけど、坂本さんのインタビューを見て、ふと思い出してしましました。

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