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『ブラックパンサー』…4.0点 『グレイテスト・ショーマン』…3.8点  この春公開の映画を採点してみた

 毎週日曜日、夜8時から放送中の『岡田斗司夫ゼミ』。3月25日の放送では、この春公開の劇場映画について、パーソナリティの岡田斗司夫氏が独断と偏見を交えつつのレビューを行いました。

岡田斗司夫氏。

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2018年春公開の映画を採点してみた

 今、映画館で公開中の映画を、個人的に5点満点でザッと採点してみたんですけど、こんな感じですかね。

『シェイプ・オブ・ウォーター』 … 4.0点
『リメンバー・ミー』4.3点
『15時17分、パリ行き』3.6点
『バーフバリ王の凱旋』 … 4.2点
『グレイテスト・ショーマン』 … 3.8点
『ブラックパンサー』 … 4.0点

 どれも平均点の3点を超えているところからもおわかりの通り、この春の映画は全体的に面白い作品が多かったです。

アナ雪の続編以外は素晴らしかった『リメンバー・ミー』(4.3点)

 やっぱり、一番点が高かったのは『リメンバー・ミー』ですね。ただ、『リメンバー・ミー』の一番の欠点は、本編の前に付いてくる、20分くらいある『アナと雪の女王』の続編アニメなんですよね。

 これが、本当に面白くなくって。「たぶん、こうなるんだろうな」と予想していた結末にそのまま綺麗に着地するだけという話で、見ていてすごくツラいんです。ただ、『リメンバー・ミー』自体はメチャクチャ面白いです。

『リメンバー・ミー』(画像は公式サイトより)

 『リメンバー・ミー』については、単独で語るよりは、宮崎さんの『千と千尋の神隠し』を解説する時に“死後の世界感の比較”という形で語ってみたいと思います。やっぱり、比較して捉えた方が面白いので。

 高畑勲の『火垂るの墓』と、『千と千尋の神隠し』と、『リメンバー・ミー』という3つの作品を並べると「ああ、なるほど! アニメ作家によって死後の世界の描き方っていうのは、こういうふうになっているんだ!」という流れがすごくわかると思うんです。なので、そういうあたりにも注目して見ると面白いかと思います。

すべてのディティールが美しい『シェイプ・オブ・ウォーター』(4.0点)

 アカデミー賞を取った『シェイプ・オブ・ウォーター』については、4.0点ということで、そこそこ面白かったんですけども。個人的には、あんまり感情的を動かされなかったんで、4.0点止まりなんですよね。いわゆる“半魚人”の映画です。

 アメリカとソ連が宇宙戦争をしている1962年頃の時代に、NASAがアマゾンで捕まえた半魚人に対して生体実験をしているんですよ。それをかわいそうに思った耳は聞こえる口がきけない、いわゆる聾唖者の女の人が、なぜか半魚人に恋をして、助けようとするという話なんですけれども、これだけ聞くと“よくある映画”じゃないですか? で、本当に最後まで、よくある映画なんですよ(笑)。

『シェイプ・オブ・ウォーター』(画像は公式サイトより)

 まあ、そのよくある映画的なディティールのすべてがメチャクチャ良いんですけどね。オシャレだし、60年代風俗の描写もすごく正確だし、その部分を見ている限りはすごく楽しいんですけど。

 でも、本編の映画のお話の流れ自体が「あれ? このシーン、デイズニーの初期の実写映画の『スプラッシュ』にもあったよ」とか、「『フリー・ウィリー』にあったよ」っていうものなんですよ。その手の典型的な“かわいそうな実験動物を逃がす話”になっちゃっているのは、僕としてはあんまりかなと思いました。

“甘くないケーキ”のような『15時17分、パリ行き』(3.6点)

 『15時17分、パリ行き』というのは、クリント・イーストウッド監督の最新作なんですけども。やっぱり、この映画を見てて思ったんですけど、クリント・イーストウッド監督というのは、今のところ世界で一番、作家性が強い監督なんですよね。

 この場合の「作家性が強い」というのはどういうことかというと、アマチュア映画みたいなやり方で映画を作る人という意味です。

『15時17分、パリ行き』(画像は公式サイトより)


 何年か前に実際に起きたテロ事件を題材にした映画なんですけど。最初はまあ、普通の映画のように、プロの俳優さんに実際のテロ事件で活躍した3人の人達を演じさせる形で作るはずだったんですよ。

 しかし……なんせ、クリント・イーストウッドというのは、「本当の男らしさとは何か?」というテーマで映画を撮る人なんですよ。それも、わかりやすくマッチョ的に描くのではなく、人間ドラマとして描こうという人なんです。

 例えば、イーストウッド監督作品である『アメリカン・スナイパー』というのは、「中東で戦争をしているアメリカ人の狙撃兵が、味方のために戦場で小さな女の子を撃つ」という映画なんですよ。こういう存在をヒーローとして描くという、なかなかちょっと難しいことをやってる人なんです。

 この映画では、それがさらにもう1段進んでしまっていて、題材となった事件の現場にいた本人たちをわざわざ呼び寄せて撮っているんです。この映画の主人公である、実際にテロ事件を解決した元軍人の3人というのを、本人たちがそのまま演じているんですね。

 つまり、映画の中に出てくる重要人物の過半数が素人なんですよ。その結果、この映画では、延々と画面映えしない映像が続くことになるんです。いわゆる“インスタ映え”とは真逆ですよね(笑)。

 おまけに、エンターテイメント性のある普通のドラマとして作ろうとせずに、作家性が強い映画として作ってるんです。

 例えば、主人公たちは事件の何日か前にイタリア旅行をしたりするんですけど、その旅行のシーンも、そいつらが本当に訪れた土地に行って、そいつらが本当に見た風景しか撮っていないから、メチャクチャ平凡な絵面になっているんですよね。

 普通の映画だったら、そこでもう少し面白みのある綺麗な場面を入れるところなんですけど。イーストウッド監督に言わせれば、「いや、そうじゃない。ヒーローというのは、ヒーローらしい少年時代があって、ヒーローらしいエピソードの末にヒーローになるんじゃない。なんでもない普通の人間が、そういうシチュエーションになった時に頑張ることをヒーローと言うんだ!」ということになるみたいです。

 そういった心意気は素晴らしいんですけど、映画として見ると、なかなか退屈なんですよ。ということで、すごい映画だとは思うんですけど、3.6点しかあげられないという作品ですね。

 本当に、“砂糖が入っていないケーキ”みたいな感じです。「身体に良いからと言って、野菜本来の甘みだけで作ったキャロットケーキを食べさせようとするのは勘弁してください!」という感じの映画ですね(笑)。

“蛮族の祭り”の体験アトラクション『バーフバリ 王の凱旋』(4.2点)

 『バーフバリ 王の凱旋』というのはインド映画なんですけども。劇場に行ったら、こういうクリアファイルをくれるんです(笑)。

『バーフバリ 王の凱旋』劇場でもらえるクリアファイル

 内容としては、マッチョの兄ちゃんたちが出てくるインド映画です。インド映画ですから、「俺が王さまになるはずだったのに!」と言う兄貴と、「お兄さんを僕は助けると言ったのに! 僕のどこが憎いの?」と言う弟とが、歌ったり踊ったりするというものなんですけど。

 だけど、これは、かつての『ムトゥ 踊るマハラジャ』から『ロボット』までの時代の、なにかというと意味もなくダンスしまくるインド映画ではないんですね。新世代のインド映画というのは、デジタル技術というのが入っているので、すごく楽しく見られるんです。

『バーフバリ 王の凱旋』(画像は公式サイトより)

 あとは、今、これを上映している劇場に行くと、おそらく日本中の“サブカルクソ女”が集まっているんですよ。特に、上映中の声出しが許されている絶叫上映会に行くと、みんなコスプレしてキャーキャー言いながら見ているので、それがすごく楽しいんですよね。まるで、蛮族の祭りに参加したみたいな面白さがあるんですよ(笑)。

 まあ、僕は絶叫上映で見たので4.2点を付けてるんですけど、この得点はそういったアトラクション要素込みでの点数なので、たぶん、普通の劇場で見てたら3.8点くらいじゃないかと思います。

Vシネマ版ラ・ラ・ランドのような『グレイテスト・ショーマン』(3.8点)

 ディズニーとかピクサーの作品って、ヒットすると必ず“ビデオ版”みたいなスピンオフ作品というのが作られるじゃないですか?

 例えば『トイ・ストーリー』1、2、3と作られたら、必ずその後でビデオ版みたいなのが作られますよね。『アナと雪の女王』に関しても、さっき言ったように短編アニメみたいなのが作られてるじゃないですか。

 そして、そういうのって、例外なく、元の作品よりも若干つまらなくなっているじゃないですか? この『グレイテスト・ショーマン』を一言で言ってしまうと、『ラ・ラ・ランド』のビデオ版です。それ以上でも以下でもないです。

『グレイテスト・ショーマン』(画像は公式サイトより)


 なにより、この映画、物語の中で何一つ意外なことが起こらないんですよ。いわゆる“フリークス”といわれる、昔のサーカスの見世物になっていたような、身体障害者とか、シャム双生児とか、ヒゲが生えた女性とか、そういう人たちが出てくるんですけど。

 そういう人たちについて、映画の中では「一人ひとりがユニークで素晴らしい! 個性的でいい!」みたいなありがちなことを言うんです。で、「まさか、それを言うだけで終わり?」と思ったら、本当にそれだけで終わりなんですよ。

 これを2時間も見せられるのは、ちょっとツラいというか、Vシネマ感がある作品ですね。


マーベル映画史上、最高のオープニング『ブラックパンサー』(4.0点)

 『ブラックパンサー』については4.0点を付けています。というのも、映画の前半はとんでもなく素晴らしいんです。特に、冒頭のシーンは、これまでのマーベルのヒーロー作品の中でも、本当に3本の指に入るくらいの傑作なんじゃないかと思います。とにかく、ここで描かれる黒人文化が面白くて美しい。

 これは、さっき話した『リメンバー・ミー』でもそうなんですよ。『リメンバー・ミー』も「スペイン系に生まれて良かった!」みたいな喜びがあるんですけど。この『ブラックパンサー』も「黒人系に生まれて良かった!」という感じの文化大肯定みたいなのがあって、そこがものすごく面白いんですよ。

『ブラックパンサー』(画像は公式サイトより)

 ただ、映画の最後には、そこまで見せてきた主人公たちを、いわゆる“マーベル・ユニバース”の中の一部として落とし込まなきゃいけなくなるんです。いわゆる“風呂敷を畳む”というやつなんですけど。マーベル映画って、この風呂敷を畳むのに、毎回毎回ちょっと失敗するんですよね。

 今回も、そこら辺が失敗していて、後半がちょっと惜しいなと思ったんで、4.0点くらいです。

 春の映画に関しては、こんなもんであります。1本しか見れないんだったら『リメンバー・ミー』を見に行くのがいいでしょう。もしくは、絶叫上映館が近くにあるんだったら、絶対に『バーフバリ』は見ておいた方がいいと思います。

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