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WELQ問題の火付け役と騒動を振り返り、1年以上経った今、Webメディアはどんな影響を受けたのか考察【話者:中川淳一郎・ヨッピー・朽木誠一郎】

 『ネットは基本、クソメディア』の著者である中川淳一郎氏と、人気Webライターのヨッピー氏がお届けする、「クソメディア」が乱立する地獄絵図のネット社会をバッサッバッサと斬りまくる好評企画も第三弾!

 今回は、『健康を食い物にするメディアたち – ネット時代の医療情報との付き合い方』を上梓したばかりのライター・朽木誠一郎氏をゲストに招き、WELQ問題に端を発した、Web上に氾濫する眉唾物の健康情報の闇を暴きます。

 DeNAが運営していた健康・医療系キュレーションサイト「WELQ」で、“肩こりの原因は幽霊のかもしれない!?”などの馬鹿げた情報がどうして踊ったのか? そして、なにゆえそんな情報が上位検索で表記されていたのか? Webメディアが抱える問題をWELQ問題を通して考察。

 Webメディアだからこそできることとは一体何なのか、3人が叩き斬ります。

左から、中川淳一郎氏、ヨッピー氏、朽木誠一郎氏

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きっかけは、異様な「WELQ」のSEO対策

中川:
 クソメディアを考えるこの放送も、本日で3回目となりました。今回は、医療情報系サイト「WELQ」問題にメスを入れた当事者である朽木誠一郎さんをゲストにお招きし、「WELQ問題から1年たった今」という形でクソメディアについていろいろと考えていきたいと思います。

ヨッピー:
 「WELQ」は、インターネットの歴史に残るようなクソメディアと言っても過言ではないですからね。

中川:
 (頷く)。他にも様々なクソメディアがある中で目立ち過ぎて気の毒な面はあれど、噓か真かわからない眉唾物の医療情報を掲載していた「WELQ」ですが、そもそも朽木さんはどうしてこの問題に気が付いたのですか? きっかけや発端が何だったのか、改めて教えてください。

朽木:
 元々、Twitterをはじめとしたインターネット上で、「WELQ」のSEO対策(検索エンジン対策)が話題になっていました。SEOの専門家やアフィリエイターの方々が、「WELQのSEO対策が強すぎる」というようなことをおっしゃっていたんです。私個人も非常に関心を覚えたので、Yahoo!ニュース個人でそのことを取り上げて記事化したというのが、そもそもの始まりです。

ヨッピー:
 それこそ、“〇〇がん”“めまい”など医療に関する検索をかけると、ことごとく「WELQ」の記事が検索上位として表示されていたような状況でしたよね?

朽木:
 そうなんですよ。当時は、健康系や医療系のキーワードの検索上位表示は「WELQ」が総なめという状況でした。「どんな対策をすればこうなるのか?」と思い、僕も「WELQ」を追うようになりました。最初に疑問を覚えたのは多発性骨髄腫という病気についての記事……と言っても、皆さんこの病名を聞いてもピンとこないですよね?

中川ヨッピー
 はい。

朽木:
 記事はというと、それこそトレンドブログ【※】のような内容でした。「多発性骨髄腫ってどんな病気? 症状は?」といった具合です。病気について薄く広くというか、長文で網羅的に紹介している記事。ところが、検索エンジン対策として見ると非常に良く作られている。「これって問題ないのかな」と思って調べてみると、ライター名の表記もなければ、記事の最後に「運営サイトはこの記事の内容に一切の責任を負いません」と書いてある。その一連の問題をYahoo!ニュース(2016年9月)の記事として提起したという次第です。

※トレンドブログ
芸能人のゴシップや流行りの話題など、リアルタイムで旬のニュースを扱うアフィリエイトブログ(サイト)。「〇〇の恋人は? 年収は?」といった週刊誌的なゴシップ記事を上げて集客を稼ぐ。

“死にたくなったら”という記事で、最後に転職サイトを紹介

中川:
 そもそも、なんで朽木さんはそんなに医療に詳しいのか? という疑問もあると思うので、経歴のご説明をお願いしてもいいでしょうか?

朽木:
 2014年に、私は群馬大学の医学部を卒業してライターになりました。その後、メディアの運営企業に入った際にSEOについても学んだので、医療と検索エンジンに関してはある程度の知識を持っていたんですね。その中でたまたま「WELQ」というサイトを発見したことで、二つの観点から「あれ?」と疑問に感じたわけです。

ヨッピー:
 僕が見た「WELQ」の記事の中には、“肩こりがひどい”という内容を扱っているのに、「ひょっとしたら霊が憑りついているのかも!? お祓いに行きましょう!」みたいな無茶苦茶なものもありましたからね(笑)。

中川:
 あと、“死にたくなったら”という記事で、読み進めてどんどん下にスクロールしていくと最終的に転職サイト(アフィリエイト)の広告が出てくるってのもあった!

朽木:
 医療的に危ない記事も少なくなかったんです。ブラックシードという健康食品があるんですけど、「ブラックシードは死以外のあらゆる病を癒す」といった具合の記事が掲載されていました。さすがにネット上でも、「これはおかしいんじゃないか?」と声が上がり、どんどん広まっていったんですね。

中川:
 なるほど。

朽木:
 それを受けて、現在私が在籍しているBuzzFeed Japan(当時は在籍していない)がこの問題を取り上げるに至りました。たしかにきっかけは私の記事だったかもしれないですが、「WELQ」への追及は私個人の力ではなく、ネットを介して徐々に大きくなっていったというわけです。

実はマニュアルがあった! 「WELQ」編集部による指示が白日の下に

中川:
 BuzzFeed Japanによって問題が発覚したわけですよね!?

朽木:
 はい。DeNAは「ライターが勝手にやっていることなので、『WELQ』としては責任は負わない」という主旨のことを述べていたのですが、ふたを開けると編集部がマニュアルを作っていたことが、当時のBuzzFeed Japanの調査で発覚しました。編集部の指示によって記事が量産されていたことが、スクープによって明らかになったことで、一気に社会問題化したわけです。最終的に(WELQを運営する)DeNAは非を認め、「WELQ」を含めた他の運営サイトも閉鎖する事態になった……というのが事の顛末です。

ヨッピー:
 これってクソメディア特有のいろんなジャンルにも言えることで、例えば観光系のサイトでも似たようなことが起こっています。「群馬 観光」って検索をかけると、出てくる記事にまったく群馬とは関係ない写真が使われていたりする(笑)。
 ただ、「WELQ」がここまで大炎上したのは、人の命にかかわる健康や医療を取り扱っていたということ。観光情報に間違いがあっても、それほど目くじらを立てて怒る人はいないじゃないですか……本当はダメなんですけどね! ところが、医療となると話がまるで違う。「シャレにならん!」ということで怒りの声が上がりやすかったことも大きかった。

朽木:
 一般の方が思い込んでいることと、医療的に「実は違うんですよ」という乖離もあります。「え!? それって良いことだと思っていたのに!」なんてことが往々にしてあるので、医療に関しては、専門のお医者さんしか確かなことは言えないと思いますね。しかし、それでも絶対ではないので、難しい問題です。

中川:
 これって、大企業が運営していたから閉鎖に追い込まれただけで、個人で運営していたらこういう事態にはなってないですよね。いまだにたくさんのトレンドブログがあることが物語っている。なんで佐川国税庁長官が辞任したと同時に、「佐川長官の身長は? 奥さんは? 年収は?」みたいなクソみたいなサイトが出るんだよって! そんなに興味ないでしょ(笑) 。

ヨッピー:
 (笑)。でも、今現在は健康系に関しては Google がアップデートをしたので、変なサイトが検索上位に表示されることはだいぶなくなりましたよね。

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