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「裁量労働をやりたければフリーランスになればいい」──“働き方改革騒動”を受けプログラマー小飼弾が一喝

 裁量労働制に関する厚生労働省調査に不適切なデータ処理があった問題などで、安倍首相の手により削除が明言された裁量労働制の範囲を拡大する法案。「経営者優遇」「労働者働かせホーダイ」など各メディアで揶揄され、話題になりました。

 これを受けて、3月5日の『小飼弾のニコ論壇時評』で、プログラマーの小飼弾氏山路達也氏が、「日本の失われた20年の元凶は経団連」「どうしても裁量労働がやりたければフリーランスになればよい」と、裁量労働制の有り方に苦言を呈しました。

左から小飼弾氏山路達也氏

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裁量労働制のお粗末さ

山路:
 この裁量労働制というのは、今回の働き方改革で法案に盛り込まれる予定でしたが。

小飼:
 裁量労働制というのはすでにあるんですけれども、これを拡大するというふうに言っていたんですよ。

山路:
 今までは特殊な業種とかに限られていた裁量労働制の範囲を、もっと緩くしようということですよね。

小飼:
 特殊な業種というより、裁量労働制は、「ちゃんと労働者と話をして了承を得なさい」というように、導入するための敷居が高かったんですよ。

山路:
 今回、いろいろ厚労省が資料やデータを出したわけですが。

小飼:
 出したではなくて、でっち上げたというんでしょう。あれは。

山路:
 (笑)

小飼:
 小学生が夏休みの自由研究で何もやっていないから、最後の日にやっつけでやったという、そういうレベルだよね。

山路:
 気づかなかったらアホだし、意識的にやったら悪いヤツだし、どっちにしても救いがないなと思ったんですけど。

小飼:
 うん。だから、裁量労働制とかいう以前の問題でしょう。仕事してないじゃん。

山路:
 そもそも、政策に載せる以前の段階だという話ですよね。

小飼:
 労働関係の法律というのは、そもそも、なぜ法で規定するようになったかというところまで立ち返るべきだったんですよ。

山路:
 それは労働者の権利を守るという?

そもそも労働者の権利とはなにか?

小飼:
 なぜ労働者の権利をわざわざ守らなければいけないのか? 別の言い方をすると、労働者というのは、労働力を売っている業者で、労働力を買っているのが会社なわけですよ。そういった見方をすると本来は対等なはずでしょう?

山路:
 現実はそうじゃないですよね。

小飼:
 だから、制限をする法律を作ったわけですよ。

山路:
 昔だったら児童労働も深夜まで奴隷のように使っていたこともあったという。

小飼:
 その通りです。でも、法律を作っても、ちゃんと施行と執行をしないと効果がないですよね? だから、日本で上手く行ってない理由は、実は法規とか以前よりも、それを実行する部分なんですよ。

ロストさせたジェネレーションが何言っちゃってんの?

山路:
 今回、裁量労働制の拡大という内容が先送りされたじゃないですか? それに対して経済界が失望したというようなコメントが散々記事で出ているんですけれども。

小飼:
 僕は、こんなバカみたいなやり方しか出せんのか? と、経済界に失望しています。「失われた20年」が「失われた30年」になろうとしてるんですけれど、誰が失わせたかといったら、経団連の人たち。つまり今回、失望した人たちでしょう? 一番仕事をしてない人たちじゃん。

山路:
 その経団連の一番仕事をしなかったところ、つまり「失われた20年」の元凶を作ったところというのは、どんな行為だったと思います?

小飼:
 それも更に遠因を求めると、キチッと彼らの仕事を監視して、仕事をさせていなかったというところがありますよね。労働者の権利だけじゃなくて、株主の権利もです。実は労働者と株主とでは、株式会社の場合は株主のほうが偉いんですよ。

山路:
 株式会社は株主の持ち物ですからね。

小飼:
 だから、株主も相当コケにされてきたわけですよね?

山路:
 では、日本はある意味、不当に経営者が優遇されてきたということになるんですかね?

小飼:
 それはYESでもありNOでもある。確かに報酬は安かったですし、今も、例えばアメリカとかに追いついているとは言えないんですけれども、その分、もっと好き勝手に緩くやってきたわけでしょう?

山路:
 緩くとは、好き勝手に人を使えたりしたとかそういう意味ですか?

小飼:
 あのね、本当に監視されてなかったの! アップルだってジョブズを、一度クビにしているじゃないですか? あのレベルのことは、株式会社であれば起きて当然のはずなんですよ。だから「こいつは株価に悪い影響がある」といったら、スパーンとクビが飛ばないといけないんですよ。

山路:
 そこの取締役会が、きちんと監視されていなかったということですか?

小飼:
 まあ、そういうことですね。要は監視されて、株式も公開されて、その会社のことをあまり知らない人たちが買えるようになってるわけですよ。当然、そういう人たちが買うものだから、それを制限するための法律も一杯ありますけど、それらもやっぱり、ちゃんと施行されていない。

山路:
 そういうのが、東芝の不正なんかの遠因というか、直接の原因か。

小飼:
 まったくもって、その通り!

山路:
 ああ、なるほどね(笑)。

小飼:
 東電が潰れていないというのもそうです。

山路:
 弾さん的には東芝も東電も法の精神、法の支配に則ってきちんと潰しておくべきだったと。

小飼:
 その通りです。

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