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「韓国は日・米・中の枠組みに北朝鮮を引きずり込もうとしている」平昌五輪後の韓国・北朝鮮の関係を戦略国際問題研究所研究員が解説

 自民党議員の山本一太氏が番組ホストを務める「直滑降ストリーム」に笹川平和財団安全保障事業グループ上席研究員の渡部恒雄氏がゲストで登場し、2月25日に閉幕した平昌五輪後の北朝鮮およびアジア情勢について対談を行いました。

 渡部氏は、アメリカ側の軍事行動の可能性について「100%ないとは絶対に言い切れない」と前置きをし、軍事行動以外に経済的圧力のプランを挙げ、そこを中心に北朝鮮や中国をはじめとする、アジア各国がどのような立ち回りをしていくのか、各国の望みは何なのかを解説しました。

平昌オリンピック閉会式の様子。

北朝鮮に経済制裁が効いているのは間違いない

左から山本一太氏、渡部恒雄氏。

山本:
 アメリカに届くICBM【※1】を持つことは、アメリカは許さない。本当にそれが起こりそうなときは軍事行動をやると思うんです。北朝鮮は核放棄をどう考えてもしない。憲法みたいなところで「核大国になる」って書いちゃっているし、イラクやリビアの例【※2】を見ている。

※1ICBM
大陸間弾道ミサイル。有効射程が超長距離で北アメリカ大陸とユーラシア大陸間など、大洋に隔てられた大陸間を飛翔できる弾道ミサイル。

※2イラクやリビアの例
リビアの元最高指導者カダフィ大佐と、イラクのサダム・フセイン元大統領が核兵器計画を放棄した後、その体制が崩壊したことから。

 すべての人が言いますが、金正恩(キム・ジョンウン)はやめるつもりはない。そうなると、またこのままチキンゲームが続いて、この平昌五輪のあとに当然、米韓軍事合同演習をやるでしょう。これはどういう展開になっていくのか。私も軍事行動の可能性は低いと思っているんですが、これはどういうふうになっていくんでしょうか。

渡部:
 答えはなくて、たとえば軍事行動がないとすれば、100%ないとは絶対に言い切れない。多少のリスクがあっても、ブラディ・ノーズ【※】というのは、とにかく一撃で限定的に、そこで相手の反撃能力をなくすことができるのだったら、100%やると思うんです。

※ブラディ・ノーズ
「“鼻血”作戦」。トランプ政権が検討している北朝鮮の核関連施設などをピンポイントで先制攻撃するのこと。

 ただ、私がやらない可能性が高いと思っているのは、100%と言い切れないから。100%じゃないと何が起こるかと言うと、ソウル、あるいは日本に相当の被害が来る。そうなったときにアメリカの信頼がなくなるじゃないですか。そこがやはりアメリカとしても考えなくちゃならなくて、次のプランは何かというと、圧力を圧倒的にかけ続ける。圧力とは制裁ですよ。経済制裁がかなり効いているのは間違いない。

 しかも中国もかなり北朝鮮に厳しいから、どこかで糸口はないかなと思っているところで、話をせざるを得ない。北朝鮮は「待ってました」とばかり、また先延ばしして、気がつくと「アメリカへの核を持ちました」となるけれど、今の北朝鮮はちょっと怖いと思っている。

 直接戦ったら軍事力の攻撃が来るかもしれない。だから今は抑えているでしょう。自分たちで「完成している」と言っちゃっていますが、本当は完成していないんです。

山本:
 そうですよね。再突入実験をちゃんとやらない限りは、確度を上げられないわけですよね。

北朝鮮の五輪参加を実現するも、反発が強まる文在寅政権

山本:
 そこでお聞きしたいのは、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の立場をどのように見ていらっしゃるか。

文在寅大統領。
(画像はWikipediaより)

 私から見ると、どう見ても金正恩委員長の外交攻勢に絡め取られているように見えるんですよ。ニューズウィークで言っていたのは、「前半戦は文在寅の勝利である」と。なぜかと言うと、もしかすると「文在寅は朝鮮半島の運命について、はじめて韓国の主導権を取り戻しつつある」みたいなことが書いてあったけれど、私は到底そう思えないですよね。

 確かに北朝鮮の参加を実現した。平昌五輪が始まると、なんとなく盛り上がるからというのもあって安定しているかのように見えるし、例のアイスホッケーチームの話も、合同チームができて、日本との試合で1点入れるだけで、あれだけ雰囲気が変わっちゃうわけだから。

 そこのあたりをどう見ていますか。オリンピックの流れで勝者は今のところ北朝鮮なのか、それとも韓国なのか。

 ニューズウィークの記事だと、アメリカと日本の存在感が薄くなっていると。あえてわざと安倍首相とペンス副大統領がレセプションに遅れてやってくるというのも作戦だったと思うのですが、どう見ていますか。

渡部:
 私もその記事を読んでいて、ちょっと違和感がありました。その一瞬を切り取ればそういうふうにも見えますが、結果的に韓国の世論がものすごく北朝鮮寄りになったかと言うと、そうでもない。むしろ文在寅政権のやっていることに反発が強まっているんですよね。

山本:
 若者が中心にね。

渡部:
 それと北朝鮮が、今回のことで少なくとも韓国に対して相当妥協するようなことを見せているかと言うと、これは見せていないんですね。

山本:
 一切ね。

渡部:
 韓国にとっても同じだと思うんです。北朝鮮が核開発をとりあえず凍結して、そして最終的には削減していくような合意がなくちゃだめ。どういう合意かと言うと、モデルになるのは、かつての「米朝枠組み合意」と言われている六者会合で合意したような、何かしらの核開発をやらない代わりに、見返りをもらって……というものですね。

 実は今はイランがやっていますよね。イランの場合は核実験までやっていないから、だいぶ前の段階ですけれど、そのような合意はどこかでする。

 何が北朝鮮にとって良いかと言うと、見返りがあるんですよ。経済協力とかエネルギー協力とか。そういうものしか考えられないので、そこに行くようなことを北朝鮮と韓国で話しているかと言うと、話していないんです。日本も同じですけれど、韓国はいくら自分の国の民族が同じ民族の話でも軍事力はかなりアメリカに頼っていると。日本も同じです。でもそれ故に、アメリカのイニシアチブがあって、それ故に北朝鮮もアメリカと話をしたいと思っているわけでしょう。

 ということは、実は韓国はそんなにイニシアチブを取っているとは言えないし、だからと言ってそれは悪いことではないですよ。むしろ韓国にとっての勝利は本当は何かと言えば、日本やアメリカなど同盟国や友好国と枠組みを作って、中国もちゃんと枠組みに入れて北朝鮮に圧力をかけて、北朝鮮がある程度妥協するようなところに引きずり込むことだと思うんですよ。

 それが軍事力の圧力であろうと、実はソフトでもいいんですけれど……ただこのまま文在寅大統領がやっていることをやっても、北朝鮮が譲るとは思えないわけですよ。

山本:
 外から見たら明らかに翻弄されているとしか思えないし、「平昌五輪」を「平壌五輪」と言う人もいるくらいですからね。

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