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韓国によって進められる竹島の観光地化――実効支配に向けた“愛国観光の実態”をジャーナリストが語る

韓国の観光地と化していく竹島

松嶋:
 山本さんは実際にいろいろな島に足を運ばれていらっしゃいますけれども、実際の島の様子というのは、例えば竹島とかはどのような形になっているんでしょうか。

山本:
 私はカメラマンなので、論理的にしゃべるよりも写真で見ていただくほうが的確だと思うんですね。それで自分のこの目で見たことをお話ししたいし、それを写真と映像で見ていただきたいと思うんです。

 竹島というのはこういう二つの、双子の島なんですね。それで現在では500人乗りのウリ号という観光船が就航しているんです。母港になるのが鬱陵島(うるるんとう)というところです。ここから2時間かけて観光客を大量に運んできているわけです。

角谷:
 2時間かかるんですか。

山本:
 はい。これは2006年の写真なんですけれども、なんと日本の中古船なんですね。

山本:
 それが韓国人を日本の領土に運んでいるという、ブラックジョークとしかいいようのないものなんです(笑)。

山本:
 ところが2006年ごろまでは、この竹島というのは入るのになかなか理由がいりまして、韓国政府は安保観光という言葉を使ったんです。これは「安全保障を実感してもらうために竹島へ行きなさいよ」というやり方です。

 当時は丘の上にある砲台なんかも見せたんですよ。ところが現在500トンの船で行くと島の周りを1周しないで、軍事的要素を見せないようにしている。

角谷:
 今は見せないんですか。

山本:
 ええ。これは2011年に撮った写真なんですけれども、観光客がいますね。

山本:
 2006年に行ったときには愛国団体とか軍のOBとか、そういう団体が来ていたんだけど、今はディズニーランドあたりでうろうろしている若い人たちと全く変わらないわけですよ。だから、どんどん武装して守っている島というイメージから、国民に馴染んできてソウルの隣の町と一緒だよという方向に転じてきたわけです。

 これは韓国が国内的にも海外的にも、「竹島は領土」ということを大声で話しても大丈夫だという、ある程度の自信を持ったってことですね。

角谷:
 なるほど。

山本:
 だから2005年に行ったときには、竹島行きの船に片足をタラップに乗っけますと、「あなた日本人でしょう。行けませんよ」といわれました。「なぜ?」って聞いたら「日本政府が韓国経由で日本人が竹島へ行くことは許可されてないでしょう」ということを逆にいわれたんです。

 ところが2006年にはもうだいぶ自信ができてきたんでしょうね、すんなり乗れたんです。

 海洋警察が中で声をかけてきて「あなた日本人ですか?」と尋ねてきた。「そうです」って答えたら「何のために行くんですか」と聞いて、私の持っていたリュックの中に「日本の国旗なんか入っていないでしょうね」っていわれて。

角谷:
 政治的なアピールするんじゃないかという警告でしょうか。

山本:
 「デモンストレーションをするわけじゃないですよね」みたいなことを穏やかに話をするんです。「いやいや、そういうことはやりません」と返事をしたら、すんなり行けたんです。当時2006年ごろには120人ぐらいしか外国人は行っていなかったのが、去年は1400人行っているんですね。

 その内訳で日本人が何人行ったかはわかりませんけれども、かなりの外国人が竹島を訪問しているという現状ですね。

10年代以降の竹島の状況

山本:
 写真をランダムに見せますけれども、これが現在の竹島の状況です。

山本:
 要するにソウルの隣の町という印象を持たせるために、町の道路標識なんかもできているわけです。それからさらにいいますと丘の上のほうに警察庁もできていますね。町には警察がいて当然だという、そういう配慮があります。

角谷:
 実際に常駐しているのは軍ですか。

山本:
 海洋警察ですね。2011年の段階では26人の海洋警察が竹島に駐屯していました。ここは竹島という名前がついていますけれども、竹も取れなきゃ木材もない、食べ物も水も自給自足できないわけです。これで山にこもっている海洋警察のスタッフの生活必需品なんかを送っているわけです。

松嶋:
 30分しか島の中にいられないといった話があったんですけれど。

山本:
 これはどういう理由かわからないですが、とにかく30分までなんですね。それで山の頂上の大砲だとか、灯台だとか、アンテナだとか、ヘリポートだとかというのがあるんですけれども、そこへ行こうと思って階段まで行くと、兵士がいて「入れませんよ」といいます。

 これは僕だけにいったんじゃなくて韓国人にもそういっています。それから、この下の右のほうにソーラー板みたいなのが見えます。これは文字どおりソーラーパネルですね。

松嶋:
 発電をしているんですね。

山本:
 だから、電力を自給できるんですね。これが三ヶ所ありました。アンテナも建物も、それからヘリポートも、わずか5年の間に次から次へと工事がなされているわけですね。

 それからこれは先ほど申し上げた、一般の人たちをどんどん入れて、今度は安保観光じゃなくて愛国観光という言葉を使っています(笑)。「韓国を愛するために行きましょう」ということでやったといいましたけれども、これもその一つなんですね。

 そして、この写真は島民宿舎という名前がついています。

山本:
 たまたま私が行った2011年8月5日という、この日がちょうど落成式だったんです。だから、お祝いののぼりとか看板とかが出ているんです。ここは40人収容できるんですね。「ここで島民が現実的に住んで経済的活動をしていますよ」という一つの証拠なんです。

 先ほどの愛国観光というのはたぶん国際裁判所に出たときに領土としての実績をつくるためのやり方じゃないですかね。

山田:
 そうですね。実効支配として島の定義の中に「人の居住、もしくは経済的生活、経済行為」ということが、これは国際法の島の定義の中に入っています。その中で実際に土産物屋のじいさん、ばあさんを住まわせて、そして税金を納める、納めないという話になると、要は国家として管理しているんだということを全面に出しているわけです。

 あえて建物の中で経済行為を行っていくということが、実効支配を主張する一つの明確な根拠なんだという、それをいいたいがために韓国はそういう行為を行っている。あまりにもその行為の進捗が日本国内では報道されていない。多くの日本人の方はどう使われているのか知らない。

 「昔の地図ではどっちに入っていたか」という議論ばかりがされてしまうと後手にまわってしまう。それが今の竹島問題ですね。

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