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韓国によって進められる竹島の観光地化――実効支配に向けた“愛国観光の実態”をジャーナリストが語る

 日本固有の領土でありながら韓国が実効支配する「竹島」(韓国名称・独島)。この問題を取り上げた番組『「領土問題」を考えよう』がジャーナリストの角谷浩一さんとタレントの松嶋初音さんの司会で放送されました。

 スタジオに竹島や尖閣諸島に何度も足を運ばれているフォトジャーナリストの山本晧一さんと、国境問題や海上安保体制に詳しい海洋問題研究家で東海大学教授の山田吉彦さんをお迎えし、写真や映像とともに日本と東アジアを取り巻く領土問題について解説していただきました。

画像は「竹島」。Wikipediaより。

※本記事は、2015年8月に配信した「「領土問題」を考えよう」の内容の一部を再構成したものです。

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中国は東シナ海全域を支配下に置こうとしている

左から松嶋初音さん、角谷浩一さん、山本皓一さん、山田吉彦さん。

角谷:
 日韓関係が大きくこじれるきっかけの一つとなっていますよね。竹島という島がどういう役割なのか、それからなぜこうなったのか、そのきっかけ、歴史上の問題、それから地政学的な日本を取り巻くいろいろな問題があります。

 ことに日本は島国ですから、国境といっても海になっているので、どこからどこまでというのがなかなかわかりにくい。それを日本はどう国境を守っているのか、それも含めてきょうはいろんな議論をしようと思います。

山本:
 竹島に関しては不法占拠から60年あまりが過ぎ去っているわけです。その間に生まれ育った韓国人はもう60歳を超えているわけです。そうしたら独島は韓国領土であるということが、教育という名のもとにたたき込まれているわけですよ。

 かたや日本はどうだったかというと、全く教科書にも触れない、それからそういう教育もしてこなかった。この差は60年の差じゃないですよね。

角谷:
 「日本は教育しなかったよな」というところを前提に、きょうは今の竹島問題、それからもちろん歴史とこれからの解決方法、現実的な問題まで専門家の2人にお話を伺っていこうと思います。

松嶋:
 まずは山田さんにお伺いしたいのですけれども、今日本が抱えているこの領土問題、国境問題にはどういったものがあるのかというのを教えていただいてもよろしいでしょうか。

山田:
 北は択捉島(えとろふとう)から南は沖ノ鳥島(おきのとりしま)まで、そして東は南鳥島(みなみとりしま)から西は与那国島(よなぐにじま)まで、これが日本という国です。この中で、日本の四隅で日本人が普通に行けるところというのは一番西の与那国だけなんです。

角谷:
 沖縄の一番西側ですね。

山田:
 北方領土は日本の領土でありながら、第二次世界大戦後、ご存じのようにソ連、旧ソビエト社会主義共和国連邦によって占領されたまま現在もロシアが実効支配しています。

 第二次世界大戦後、1万7000人住んでいた日本人がすべて島外に出されてしまった。日本に戻されたんじゃないです。日本のものですから、もともと生まれ育った土地を奪われたわけですね。

 今、年間600人だけ「ビザなし交流【※】」という事業で相互の交流事業が行われている。ただ、これはなかなか行くことが難しい。一般の方が行きたいと思っても、どうすれば行けるのかがわからないし、実際に行くことはかなり難しくなっています。

※ビザなし交流
北方四島交流事業のこと。

 日本人と色丹島(しこたんとう)、国後島(くなしりとう)及び択捉島に居住するロシア人との交流事業。実際に行くのは北方領土出身者及びその親族、そして北方領土返還運動関係者、メディアの方。

 今、山本さんもなかなか行けないということを先ほど控え室でもお話ししていたんですが、メディアの中でも大手新聞や大手の出版社に所属している正社員じゃなきゃいけないとか、いろんなハードルがつくられております。

山田:
 私は今までに5回行っています。研究者の枠というので私は入っているのと、私はプラス北方領土返還運動関係者に対する教育という意味と、北方領土出身者の子弟に対して事実を伝えるという役割で入ることが5回ほど許されてきました。

角谷:
 北方領土返還という言葉はたぶんほとんどの人が知っていますよね。北方領土返還というのは声高に政府もいってきたし、霞ヶ関に行っても総理府や内閣府のところには北方領土返還の大きな看板があります。

 かなり前向きにずっと訴え続けてきたという感じがしますけれども、竹島とか……つまり北方領土以外のことは、あまり政府はいってこなかった気がするんです。

山田:
 そうですね、領土問題といわれるのは、この北方領土と竹島なんです。竹島はこれも第二次世界大戦後、韓国の当時の大統領だった李承晩(りしょうばん)によって強引に韓国の専管水域の中に入れられてしまった。

 経緯は後ほどお話に出ると思いますが、当然日本は泣く泣くといいますか、体力を削がれた段階で何にも手出しができない戦後のどさくさの中で取られてしまった状態。加えて今、東シナ海の尖閣諸島は明らかに日本の領土である。そこに対して侵略行為が始まってきた。

 これは実は尖閣諸島だけではないんです。実は東シナ海全域を中国は支配下に置こうとしている。同じように南シナ海も支配下に置こうとしている。これは海洋進出、中国の海洋強国化、強い国になるという意志のあらわれの中で東シナ海全域を取ろうとしています。

角谷:
 しかしなぜ太平洋側にある沖ノ鳥島まで国境問題としてとらえなきゃいけないんでしょうか。

山田:
 一つは、日本はすべて海に囲まれていて、海を挟んで隣国と隣り合っているんです。手出しをしてくるとなると、先にあるのがこの島々です。沖ノ鳥島の問題は、地図の先にグアムがあるわけです。

 小さな島なんですが、沖縄本島とグアムを結ぶ非常に重要な位置にあるんですね。この島を日本がしっかりと管理をして、ここを堅実に利用しだすと、なかなか中国がアジア海域に、あるいは太平洋に出ていくのに邪魔になってしまうという可能性があるという意味でも、この小さい島でも存在が大きい。

角谷:
 いわゆる、中国のいう第一列島線、第二列島線【※】という話になっていくわけですか。

※第一列島線、第二列島線
中華人民共和国の軍事戦略上の対米防衛線のこと。中国海軍は第一列島線を2010年までの計画を達成することができず、第二列島線において2020年までに完成させる計画を立てている。

山田:
 まず第一列島線ですが九州から始まって、沖縄諸島、台湾、フィリピン、カリマンタン、ボルネオ島を結んで南シナ海を囲い込む。これを第一列島線といいます。第二列島線というのは小笠原からグアムを結んで、パプアニューギニアまで行く。この第一列島線、第二列島線というのは、中国とアメリカの軍事境界ラインなんです。

山田:
 このラインまでは確実に中国が軍事的に占領していくんだというあらわれなんですね。当初の目的、第一列島線は2010年までだったのですがこの年に中国の漁船が海上保安庁の巡視船に体当たりするという信じがたいような事件を起こして本格的に海域の確保に乗り出した。

 それから本格的に世界中で「尖閣は中国のものだ」と嘘をいい出したわけなんですね。同じように第二列島線ですが、今度は2020年なんです。私は去年の秋に小笠原に出てきた大漁船団は第二列島線への布陣のスタートなのではないかと考えています。

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