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『ゼルダの伝説 BotW』を59歳評論家が大絶賛。「普通のゲームならツマらなかったり辛かったりする部分が抜群に面白い!」

良い作品の条件は「なんでもないところが面白い」こと

岡田:
 こういうゲームの話をする時に普通なら、もっとゲーム的に面白い部分を言わなきゃいけないんだけども、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』はそうじゃない、普通のゲームだったらつまんなかったり、辛かったりする部分が抜群に面白いんです

 これは良い映画やアニメと全く同じで、面白いSF映画は、SF映画以外の部分が絶対に面白いし、面白いアニメというのは、戦闘シーンや主人公たちが告白するシーンじゃなくて、日常のシーンがまず圧倒的に面白いんです。

 それと同じように、ゼルダも日常っぽいシーンでのプレイアビリティ、遊び方や楽しみ方がすごく多いところが面白いと思えたのが、僕の中ではちょっと特殊だったんです。

『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』画像は公式サイトより

岡田:
 例えば、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の中では、弓矢が使えるんですけど、「矢は1本射るごとになくなって、的から外れた場合は、それを拾ってこなければいけない」とか、いろいろなことをするんです。

 この矢は物理演算されていて、遠くに撃つとちゃんと放物線に沿って飛んでいくし、風が吹いた場合はその影響で矢の軌道がやや逸れたりするんですよ。

 これは、ズルいと言うか、任天堂にしかできないことなんです。任天堂だけが、ああいうアクションゲームとかリアルタイムRPGの他に、テニスゲームとかゴルフゲームとかピンポンゲームとか、スポーツゲームを作っているじゃないですか?

 『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は、今までに得たノウハウというのを全部入れ込んで作っている“総合ゲーム”なんです。

 総合ゲームとして、いろいろなジャンルのゲームの中から面白かったものというのを、ドンドン入れて作っちゃっているから、ただ単にアクションゲームだけをやっている会社には真似出来ないゲームを作れるんですよね。

 何が特徴的かというと、それらがすべて生理的に繋がっているところなんです。つまり、現実と全く同じように、厳密に物理演算をしているからすごい! というわけではなく、誤魔化し方が上手い! ということなんです。

岡田:
 風の影響で矢の軌道が変わるなんていうことを厳密にやろうとすると、無限に難しくなるんですけども、この『ゼルダ』の世界というのは、リアルではないけど“リアリティ”だけはあるというふうに割り切っている。

 当たり前ですけど、ゲームの中で山登りをしても指先は痛くならないし、膝も疲れない。ただし、達成感だけはすごくあるんです。

 同じように、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の中で矢を射っても、現実そのものの物理演算をしているわけじゃないので、厳密に言えば本物とは言えない。ただ、弓矢を射っているという感覚だけは、すさまじくある。

 この辺りの、「他のゲームで培った資産を総合的に集めて、1つのゲームを作る時の感じが、メチャクチャ上手い」といった総合的な資産の感覚というのは、他所のメーカーでは出来ないと思います。

遊び感を高めるためのリアリティ

岡田:
 メタルギアはどうなんだ? というコメントがあったんですけど、『メタルギアソリッド』は逆で、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』に感じた遊び感を、僕はあまり感じないんです。

  あれは出来るだけ現実に近づけるという方向に行っているから、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』みたいに遊び感を高めるためにリアリティを持たせるというのとは、逆の方向だと思うんです。

 『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は、所詮ゲームなんですよ。それに対して『メタルギアソリッド』というのは、どちらかというと、完璧に再現されたリアルな世界の中を、いかにゲームっぽく楽しむのかというものなんです。

 そこら辺は、小島秀夫監督の変な感性が影響していると思うんですが……同じ大学の後輩なので、あまりアレコレ言いませんけど(笑)。

『メタルギアソリッドV ファントムペイン』画像はamazonより

岡田:
 小島監督については僕、昔「一緒に遊びませんか?」と誘われて個人的に会いに行き、メチャクチャ盛り上がったことがあったんです。

 そこで、「これは俺の自信作なんです! 是非やってください!」と『メタルギアソリッド』を渡されて、「とにかく段ボールに入ってください!」と言われたんですね。

 そう言われても、なんのことかわからず「どういう意味だろう」と思って、家に帰ってプレイしてみたら、『メタルギアソリッド』には段ボールの中に隠れて移動するという機能が標準で付いていて、なんでこれが必要なのか、全然わからなかった。なぜかそこだけを、すごく覚えているんです(笑)。

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