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『メディアによる政治家の印象操作』を百田尚樹らが解説――マスコミに“担がれた”小池百合子と“歪曲された”森喜朗の真実

過熱報道によるメディアのリンチ 森さんは良き親分だからこそ人が集まる

百田:
 いまのメディアがやってることに対して自分の本で書いたことなんだけど、忘れちゃったから読みますね。 

 十数年前、集団食中毒事件を起こした某食品メーカーの社長がいった「私は寝てないんだよ」という言葉は不祥事を起こした企業のトップの許されざる開き直り発言として、マスコミから大バッシングされた。

 しかしそれほどまでに糾弾される言葉であろうか。これは一週間ほとんど不眠不休で原因調査をしていた社長が、謝罪会見のあと会社のエレベーターの前で記者に捕まって強引にインタビューされた場での発言だ。

 このときはまだ食中毒の原因が不明だったが、「わかったら発表します」という社長に対して、記者は「何か事実を隠しているんだろう」とインタビューの継続を迫った。

 疲れきっていた社長は「ではあと10分」といった。すると記者は「なんで時間を限るんですか」と詰問した。そこで出たのが「そんなこといったってね私は寝てないんだよ」という台詞だ。

 この言葉に正義に燃えるマスコミは食らいついた。まさしくピラニアのごとく一斉に襲いかかった。

 週刊誌は大きな問題発言として大々的に書き、テレビ局は連日あらゆるニュースで「私は寝てないんだよ」というシーンだけの映像を流し続けた。

 不祥事を起こしておきながらとんでもない逆ギレをする社長というイメージを視聴者に与えまくったわけだ。そして会社を倒産に追い込むまで許さない、という猛攻撃が始まった。

 はっきりいって食中毒を起こした行動よりも、このときの社長の発言のほうを悪と捉える報道だった。ちょっと冷静になれといいたくなる。一週間ほとんど寝てなかったら、それくらいの言葉はつい誰でもいってしまうだろう。

 私なら確実にいう。しかし社長を責める人たちは会社が起こした不祥事の責任を感じているのなら、そんな言葉は出てこないはずだという精神論で話をしている。こうなると、もはや論理は通じない。

 という、『大放言』の前書きなんですけども。論理が通じないどころか、報道がそれ一色になってもう報道リンチでしょ。

画像は『大放言 (新潮新書) 』Amazonより。

有本:
 メディアによるリンチですね。そりゃ辛いですよ。石原さんとか森さんとかメディアに追っかけられることに慣れている人でもきついですよ。

 話が戻るんですが、森さんはオリンピック組織委員会の会長をやられていますが、この職も自分からではなく、周りからやってくれと頼まれてやられていますからね。しかも無給。

百田:
 それだけ人望があるんですね。

有本:
 人望もあるし人脈力がすごいんですよ。百田さんがさっき仰ってたみたいに、正直私も若干、頭の悪い方かと思っていたんですよ。幻冬舎の社長の見城徹さんもそういうイメージだったんですって。

 でも、森さんに会ってみたらあんなに明晰な人はいないと思いましたね。見城さんも同じように仰っていました。私が会いに行った日もフルタイムで朝からずっと面会する方が数珠つなぎで。八十歳、ガンを患いながら無給であの働きぶりはちょっと考えられない凄さ。しかも、頭脳明晰。

 むかし、森派という派閥がどうしてあんなに大きいのかなとずっと疑問だったんですが、森さんは古き良き日本の親分タイプの人なんですね。人の名前や出来事なんかの記憶力も凄まじいんですよ。

 森さんは、現職を無給で引き受けたんですが、組織委員会の総務部から「アルバイトでも最低の日給は受け取るんだからそのぶんだけは受け取ってください」と言われた。そこで森さん、「ではそれを積み立てておいてくれ」と総務に頼んで、その貯まったお金を、年に2度、組織委員会の全職員の懇親会に使っていると言うんです。

 「ここは官民いろんなところから出向してきた寄せ集めの組織だから、皆、他人行儀だったんだ。それじゃ大きな仕事は出来ない。団結してもらいたいと思って、全員着席で飯を食う機会を設けたかった」と。

百田:
 それは全然知らなかったですね。

有本:
 安倍総理が叩かれるのはおじいさんから来る血統のせいもありますけど、森派から出てるというのもあるのでしょうね。森、小泉、安倍っていう系譜が気に食わないという人たちメディアの中にいて、だから叩かれるという。

 小泉元総理は逆にメディアを手玉に取りましたが、森さんはそういうことをやる人ではなかったのでメディアにおもちゃにされてしまったんですね。

百田:
 僕も森さんのイメージ、一から変えるわ。

有本:
 会われたらすぐ好きになっちゃうような感じの人ですよ。

小池劇場は喧嘩を売る相手を間違えた話

百田:
 ジャーナリストとか文化人とかは義理とかそういうものがなくて簡単に裏切るよね。民進党の連中も見て思ったね。義理も恩義もなくて仲間でも平気で裏切るね。

有本:
 あの人たちには挟持っていうものがないですね。小池さん自身も義理人情など大事にしない人ですね。

百田:
 大事にしないね。恩義かけた人に後ろ足で砂かけて都合のいいほうに行くからね。

有本:
 永田町でいわれてる面白い話があるんです。小池百合子は政界に入って四半世紀ずっと勝馬に乗り続けてきた女だと。細川に乗り、小沢に乗り換え、小泉、安倍とその都度ずっと勝馬に乗り続けてきた。

百田:
 見る目はすごいね。

有本:
 ところが、小池さんが初めて勝馬を外したのが、例の2012年の総裁選、安倍さんと石破さんが決選投票になったあの総裁選だったと。

百田:
 そうだよ。あのとき、小池さんはずっと安倍派だったんだよ。

有本:
 小池さんは安倍さんの推薦人にまでなっておきながら、ぎりぎりで寝返ってまで石破さんについたのに、その石破が負けてしまった。あのときに彼女の運は尽きたんだと。その後、大したライバルがいなかったことと、マスメディアが応援したから都知事、都議選は勝ったけれど、もう政治的命脈は終わりだと。

百田:
 あのときは石破茂さんと石原伸晃さんの対決で、すでに安倍さんは落ちると思われていて、小池さんは「こんな奴と一緒にいたら私も一緒に沈む」と思って安倍さんを裏切って石破さんについたんだな。クズやね、ホンマ。

有本:
 今年の初めの2月ぐらいに、安倍さんに極めて近い人から連絡がきて、「都議会幹事長の高木啓と親しいあなたに場を作ってほしい」っていわれて、高木さん交えて会ったんです。

 そのとき、彼ははっきりと「いま小池さんは絶頂だけど長くないよ。勝ち馬に乗り続けた女はあのときで終わった。でも、彼女自身が、本当の意味での政界の勝ち馬になるほどの駒ではない」と仰って。

百田:
 あのときはメディアを味方につけてたからね。

有本:
 小池人気がなんで長く続かない理由を訊いたら「あの人には足場がないからな」って仰ってたんです。確かに、そうなんですよ。メディアっていうのは俗に言う空中戦です。政治家がよくいう足場というのは、選挙で地道に票を集める地元後援会等の組織なんですよね。小池さんにはそういう組織がなくて、メディアに担がれてるだけで、担ぎ上げが無くなったときに下から支えてくれる人がいないんですよ。

 自民党というのは、ひとりひとりをそれぞれの地域で町会はじめいろんな人たちが支えているわけです。「そういう足場がない小池さんは長くない」と。「ずっと勝馬に乗ってきた彼女は石破と安倍を間違えて、安倍から睨まれて窓際に追いやられたと思ったかもしれないが、それでも待っていればなんらかのポストは回ってきたはずだ」とも言っていました。

 なぜなら自民党には女性議員は少ない上に、小池さんほどのベテラン女性議員はいないのだから、少しの間、干されたとしても長期政権になるうちに必ずポストが回ってくる。それを待てなかったのも誤りだった」、と。

百田:
 小池さんは自民党では終わって、もう重要なポストにはつけず、日の目は見ないだろうというところでどうしようかと思ってた。そのときに舛添問題が出て都知事選が行われるのに、乾坤一擲(けんこんいってき)の大勝負に出て、勝ってメディアに担がれて彼女は調子に乗ってしまったわけだ。

有本:
 早まったんですね。それでまた、今回の選挙で安倍さんに喧嘩を売っちゃった。小池劇場は完全に喧嘩を売る相手を間違えたという話になりましたね。

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