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海外のアニメファンが海賊版を見るのは正規版よりクオリティが高いから? アニメ業界が抱える問題点とは

 12月15日に放送されたMANGA議員連盟と考えるニコ生『みんなで考えよう 日本のマンガ・アニメ・ゲームの未来~第2回 MANGAの海外展開と政治家が選ぶゲーム3選~』。今回はMANGA議連からは事務局長の笠浩史民進党衆議院議員、副会長の泉健太民進党衆議院議員小野田紀美自民党参議院議員が参戦。ゲストにMANGA議連アドバイザーで弁護士の桶田大介氏を迎えた。前回に引き続き司会にニッポン放送アナウンサー吉田尚記氏、「PLANETS」編集長の宇野常寛氏がネットの声、アニメファンの声を議員にぶつける。

 第2回の議題は、マンガ・アニメ・ゲームの海外展開や模倣品・海賊版に関する問題点や対応策。2014年の日本コンテンツの海賊版による被害の推定金額2,888億円は海外における収入金額である1,234億円の2倍以上! 吉田アナは海賊版によってそもそも文化が育たなくなることを指摘。宇野氏は海外のファンが規制などで改変されてしまう正規版に感じる不満によって、海賊版のクオリティーの方が高くなってしまっていることを紹介。その背景には日本の出版社やソフトメーカーが海外に対してビジネスで負けていることがあり、日本のコンテンツの表現の自由を守る政治的なアプローチの必要性を強調した。


左から吉田アナ、宇野氏、笠議員、泉議員、小野田議員、桶田氏

中国で『君の名は。』が大ヒットし、海外発信は今後かなり重要に

吉田:
 すごく日本のアニメや漫画はアジアを中心に受け入れられている。ここが伸びるんだったらチャンスじゃないのかって感じがするんですけど、ここに関しては桶田さんどう思われます?

桶田:
 間違いなくチャンスだというのは事実だと思います。特にどうやって認知されている状態をマネタイズ、お金に変えるのかというのが難しいんのですが、ここに対して今年の前半と後半だと大きく業界の人たちの認識がさらに進んでいて、やっぱり『君の名は。』の中国での成功は大きいですよね。中国は今スクリーン数が物凄いことになっており、『君の名は。』も公開スクリーン数が7,000を初期で超えています。いわゆる北米の主要な興行会社なども、中国資本が買っているような時代で、今やアメリカのハリウッド資本の作品も、多分に中国要素が入ったもの多いのを当然お気づきだと思います。結局、中国が北米に次ぐ、準じるような巨大市場になってきている。アメリカよりも中国において日本のものは跳ねるんですね。今回『君の名は。』が3週で97億円ぐらいの興行成績を上げていますので、ここで大きな存在感を示しているのは事実。最近、マーチャンダイジングなども日本に負けず劣らず高額商品が非常に売れて、かつ伸びていますので、ここら辺はかなり今後重要だと思います。障壁も問題ももちろんありますが。

吉田:
 で、これってなんだかんだいって日本のものを好きでいてくれているという土壌は色んな理由でできたんでしょうけど、誰かが今まで旗を振ってこの状況を作ったかというと、ほぼそんなことは無い。でもうまい具合に種火がついた状態なのだから、せっかくだから大きくしなくちゃもったいない。おそらく政治の方にも何か動いていただかないと、そうはならないだろうと思うんですけど。
 議連の皆様はこの状況に対して、今までに何か具体的にアイデアって出ているんですか?

笠:
 なかなかハッキリコレだ!っということは言えていないのが正直、現状です。問題意識はみんな共有しているのが50名ぐらいの議員連盟の共通認識なんですけれども。
 ちょっと別の話になるんですが今、漫画とかアニメとかゲームのナショナルセンターをしっかり作っていこうということを、単に箱物をアーカイブのために作ると言うことではなくて、国として発信をしていくという、そういう意味での機能を強化していく必要というのが、すごくあるんじゃないかと思うんです。あとは民間の皆様方が頑張っていただくのだけれども、どういうふうに日本のソフトパワーをしっかり発信していくかとことが私は大事なんじゃないのかと、いうふうに思っていますけどね。

左からMANGA議連事務局長・笠浩史民進党衆議院議員、副会長・泉健太民進党衆議院議員、小野田紀美自民党参議院議員、MANGA議連アドバイザーで弁護士の桶田大介氏

海外でのビジネスで日本の出版社、ソフトメーカーは負けている

宇野:
 ちょっと先走った議論になるのかもしれないですけど、端的に日本のプレイヤーが負けているんだと思うんですよ。出版社とかソフトメーカーとかですね。アニメスタジオとかクリエイターとかではなくて、実際に売り歩いている連中ですよ。それが多分、ビジネスというゲームの盤上で向こうのプレイヤーに負けちゃっているわけですね。それであんまりお金が落ちてこないというケースが多いと思う。なので、ここで国家が介入する、政治が介入するとしたらガイドラインとかだと思うんです。海外との取引のガイドラインを整備するとか、あるいは、僕は補助金とはあんまり良くないと思っているんだけれど、海外に向けて積極的に出そうと思っている有望な企画に対して、海外展開を重視するものに対しては若干の補助金も出して、それでアニメを作るんじゃないくて、もっとちゃんとした人を雇って、ちゃんとしたエージェントを配備して、しっかり売ってくださいというものを支援していく。こういうアプローチが僕は良いと思っているんです。

海賊版でクリエイターが育たず文化自体がなくなってしまう!

吉田:
 ここまで話をしていてこっち側のサイドの方と、ユーザーの方との一番の温度の違いを一つ感じたのは、「とりあえず海外で売れようと売れまいと、オレたちが見たいものが見られりゃそれで良いんだよ」という気持ちはもちろんその通りなんですよ。でも、ココはちょっと真面目に考えて欲しくて、僕はその昔香港に返還前にちょっと行っていたことがあるんですよ。その当時の香港って海賊版天国なんですよ。丸ごと海賊版店のビルみたいなのがあって、そこに行くと世界中のコンテンツがあるわけですよ。当時、VCDといってエヴァ全話入って500円ですみたいなのがあったわけですよ。それだけじゃなくて海外のドラマもある、映画もある、ほぼ全て見られるんですけど、はたと1つ気づいたことがあるんです。日本、アメリカ、中国のコンテンツもあるんだけど、香港のコンテンツが一個もなかったんです。何でかというと、みんな海賊版で満足しちゃうと。自分たちの国のクリエイターがまるっきり育たないんです。だから正しい形でユーザーがお金を払った時に作った人達の手元に届く仕組みがないと、その国の文化自体がなくなるんだと思って、著作権と海賊版対策ってそういう意味だったんだ……って。初めて分かったんです。
 一つだけ合意して欲しいのは、全部のコンテンツがそうである必要はないんですけど、面白いものが他の国からちゃんとお金を取ってくることは、全てのユーザーにとっての利益のはずなんですよ。というところで、自分の好きなものが国に声掛けられて潰れてしまうことを心配するのだとすると、それは心配の規模が経済的に小さすぎると思う。なので、売るべきものが売れていないということが問題ということは絶対に同意していただかないと、これをやる意味が実はあまりない。
 政治家の方々も正直、自分たちが売ってあげなきゃみたいな上から目線、国益がどうのというのではなくて、そもそも文化が無くなってしまうのだというのは先に同意して欲しい。その上で海賊版はどうやらでっかい問題らしいというのが1個ある。そもそも売り方に何か問題あるんじゃないのか?というのが別問題もあるぞというところで、切り口としては海賊版から入っていると思っていただきたいのです。

ニッポン放送アナウンサー吉田尚記氏(左)、「PLANETS」編集長・宇野常寛氏(右)

海外のファンが海賊版を見る理由は、正規のルートのソフトが改変されているから

宇野:
 僕も香港とかに友達いるわけですよ。オタク仲間がね。彼らぶっちゃけほぼ海賊版というか、違法アップロード動画で日本のアニメとかほぼリアルタイムで翌日とか翌々日とかに見てますよ。いわゆる字幕職人みたいな奴らがいて、彼らが日本のアニメにダメになって欲しいとかね、俺たちがアニメ楽しめれば、日本のアニメーターが餓死しても良いとか全然思ってない訳なんですよ。それでも海賊版を見る理由って1つで、クオリティーが高いんですよ。つまり正規のルートで輸出されたものとかを見ると、変な規制は入っているし、あと日本の出版社とかソフトメーカーって戦闘力が弱いから、作品を守れないんですよ。例えば北米版とか出たら『攻殻機動隊』がよく分からない洋楽だらけになって、あの川井憲次の素晴らしい劇伴が全部聞こえなくなったり、そういう事故みたいなことばっかり起こっているんですよ。ちゃんと日本の漫画やアニメの良さがわかっているファンであればあるほど、正規のルートのものは好まないんですよ。
 だから僕はこれってかなり国内の、日本のソフトメーカーや出版社の海外で商売している連中の戦闘力の低いことにかなり原因があると思う。そこに対してお前らちゃんとしろよって言っても仕方ないから、たとえば議員の皆さんや僕ら一般ユーザーがどんな支援をできるかという議論に意味があるんじゃないかなと思っているんですよね。

海外から何か言われても「これが文化だ!」と啖呵を切って守らないといけない

小野田:
 規制にしても海外から何か言われた時に、すぐ海外に言われたから規制強くしようっていうようなことを国としても政策としてやるんじゃなくて、「これが文化だ!」って守れるぐらいの啖呵切れるぐらいじゃないといけないなと思います。

宇野:
 現代アートだったらオッパイ出てようが人が死んでようがOKなんですよ。だからこれは芸術なんだから、必ずしも幼児・児童ばっかり見せているものでもないので、しっかりと表現の自由を守ってくれる政治的なアプローチを僕は議員の皆さんに期待したいんですよね。

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