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「米中の接近は日本にとって極めて良くないシナリオ」――トランプ氏はなぜ親中に? 中国側の外交を自民党議員が解説

 10日間にわたる初のアジア歴訪を終え、「とてつもない成功を収めた」と語ったアメリカのトランプ大統領。

 このニュースを受け、自民党参議院の山本一太議員は自身がホストを務める番組『山本一太の直滑降ストリーム』の中で、「安倍総理の外交は成果をあげた」としつつ、それ以上に「何といっても際立った成果を出したのは中国」と、米中関係について言及しました。

山本一太議員。

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拉致問題でトランプ大統領の言質を引き出せたのは大きい

トランプ大統領(左)と安倍総理(右)。画像はトランプ大統領の公式Instagramより。

山本:
  今回のトランプ大統領の初めてのアジア歴訪の中で、最大のハイライトは米中首脳会談でした。安倍総理の戦略は私は非常に成功したと思うんです。今回トランプ大統領が初来日するということで、とにかく日米としては日米の絆が盤石であるということを発信しなければならない。

 あるいは北朝鮮問題は、とにかく日本にとって最大の懸案事項ですから、北朝鮮問題について今しっかり最大限圧力をかけていくということで、日米双方の意見が100%一致しているということもいわなきゃいけない。拉致被害者、家族の方々に両首脳が会ったというのもすごく実は大きいと思うんです。

 なぜかというと、北朝鮮問題は国際的な大変な問題になっていますけれども、常に語られるのは核開発とミサイルなんですよね。でも拉致家族の方々に会ってもらった。

画像はトランプ大統領の公式Instagramより。

山本:
 そしてトランプ大統領が拉致被害者家族の方々に何をいったかというと、「こういうことは二度とあってはいけない」と「私と安倍総理と協力してできることをやる」「もし金正恩委員長が拉致被害者を日本に返して来ることがあれば、それは重要なメッセージだ」ともいったんです。

 どこまで考えて具体的にいったのか分かりませんが、こういう言質を引き出したことは大きいし、これからトランプ大統領の頭の中には北朝鮮問題核とミサイルだけじゃなく、こういう人権問題もあるんだということ。

 特に日本と北朝鮮の間には拉致問題というまだ解決されていない問題があるということを、しっかりインプットしたという点では非常に成功したと思います。

中国が見せた超異例の待遇は日本より何倍も凄かった

左からトランプ大統領夫人のメラニアさん、トランプ大統領、習近平国家主席、習国家主席夫人の彭麗媛さん。画像はトランプ大統領の公式Instagramより。

山本:
 もちろん安倍総理の外交戦略は成果をあげたのですが、何といっても際立った成果を出したのは中国でした。習近平夫妻がトランプ大統領夫妻を自ら故宮で迎えました。これは国賓以上の破格の待遇でした。

 中国のナンバー1が直接故宮を案内するというのは超異例なことなんですけども、その故宮で晩餐会があったというのは歴史上初めてのことなんです。

 日本では安倍総理が、あの手この手を使ってトランプ大統領を喜ばせたといってました。トランプ大統領の孫娘のアラベラちゃんがピコ太郎が好きだということで、『PPAP』を歌っている映像を流したりして結構ウケはよかったんですが、中国はその何倍もすごいことをやりました。

 まず故宮にトランプ大統領夫妻を習近平国家主席夫妻が案内するわけですよね。そこで京劇を見るわけです。私の得た情報では、トランプ大統領時は京劇の途中で結構退屈してたという噂もあります(笑)。

 そのあと、両夫妻だけの晩餐会がありました。そこで流れた動画がアラベラちゃんがチャイナ服を着て中国語で歌を歌う映像なんです。この中身をよく聞いてみると習近平国家主席のことを「習おじさん」って呼んでるんですよ。

 習近平主席の奥様は有名な歌手ですけども、「彭(ポン)おばさん」って呼んでるんですよね。ここまでの演出を中国がやった。これはどう考えてもキッシンジャー元大統領補佐官の入れ知恵だろうというふうにいわれてます。とにかく中国側はあらゆる戦略を使って、トランプ大統領を迎えたわけです。

 そしてこの中国滞在中にトランプ大統領がとにかく習近平国家主席を褒めちぎりました。

習近平国家主席を褒める内容が記載されたトランプ大統領の公式Twitter。

山本:
 「私は習近平国家主席が大好きだ」「アメリカと中国が力を合わせればいろんな素晴らしいことができる」とか、「貿易赤字は中国のせいじゃない」「歴代のアメリカ政権が悪い」といった。

 今のアメリカの貿易赤字って5割近くは中国なんですよ。あと人権問題に関しては触れていないし、南シナ海の問題にほとんど触れていません。

 北朝鮮問題については「北朝鮮の核保有は許さない」「朝鮮半島の非核化を目指す」「国連安保理決議に基づいて、しっかり中国の制裁に協力する」「これからいろんな圧力をかけていく上でアメリカに協力します」とはいいつつ、習近平国家主席は基本的には対話を通じて解決するという方向です。

 ここにおいての決定的な中国からの言質を引き出してないにもかかわらず、トランプ大統領は中国を大好きになってしまったんです。

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