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評論家が選ぶ秋のオススメのホラー映画 『IT』も良いけど『アナベル 死霊人形の誕生』もね!

アメリカの建国神話はホラーとスーパーヒーローで出来ている

岡田:
 アメリカには「スーパーヒーローもの」というのがあるじゃん。たぶん、建国神話を持てない人工国家アメリカというのは、スーパーヒーローとホラーという形で、自分たちのルーツを創ろうとしているんだと思うんだよね。

 それは、アメリカ建国時から強く残り続ける”悪いインディアンを退治しに来てくれる騎兵隊”と、”本当は悪くないのに殺されたインディアンの怨念”という2つの大きなイメージがあるからだと思う。

 アメリカの建国物語というのを真実のみで描こうとしたら、実は大虐殺の末、インディアンの土地を騙して奪い盗った血まみれの歴史という本音に行き着いてしまうわけだよ。でもそういった本音は、アメリカ人としては絶対に自分たちのアイデンティティーの中心には置けない。

 なので、まずなにかしら悪いヤツを退治したという騎兵隊的なイメージを置く。西部劇の街とかで悪いヤツがいたら、保安官とかに頼らずに自分たちで戦わなければいけないという自警団とか、バットマンの流れの源流にあるようなイメージがあるんだ。

 そして、それだけでは説明しきれない後ろめたさを隠すために、もう1つの土地を奪われ、だまされ殺されたインディアンたちからの恨みに向き合わなければいけないというのがある。これが、現代のホラー映画に流れていくイメージだよね。

 この“自分たちが殺した者の恨みを背負うためのホラー映画”と、“民衆の中から立ち上がり権力と関係なく人々を守るスーパーヒーロー映画”という、この2つの系列がアメリカの神話を形作っているんだよね。

アメリカ的な意識が面白いホラー・ヒーロー映画

岡田:
 今アメリカで『ブレードランナー 2049』をおさえてトップになっているのは『マディアおばさんのハロウィン』みたいなタイトルのコメディホラー映画のパート2なんだよね。(正しくは『Boo 2! A Madea Halloween』)

『Boo 2! A Madea Halloween』。画像は公式(英語サイト)より

岡田:
 スティーブン・キングの『IT』にしても、このマディアおばさんにしてもそうなんだけどハロウィンだからということとは関係なく、この春くらいからアメリカではホラー映画がすごくヒットしやすくなってくる。

 つまり、大作SF映画よりも、スーパーヒーローものとホラーもののほうが今のアメリカ人の民族的な同意、国民的な集合意識っていうのを作りやすい状態になっているんじゃないかな。そう僕は考えていますので、この『アナベル 死霊人形の誕生』という映画にも3.9点くらいつけてみたんだよ。

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