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「天皇廃止論者がNHK会長に」…元NHKジャーナリストが語るNHKとGHQのヤバすぎる歴史

 不偏不党を謳う日本の地上波メディア。なかでも戦後の日本放送協会(NHK)の成り立ちにGHQの要請が影響していることについてミュージシャンでジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏、インターネット放送局ビデオニュース・ドットコム代表の神保哲生氏、NHKを退局し、現在社会学者で、武蔵大学社会学部教授の永田浩三氏が解説を行います。

左からモーリー・ロバートソン氏、神保哲生氏、永田浩三氏。

※本記事は、2015年9月に配信した「メディアの公平性ってなんだ!?メディア帝王とジャーナリズム」の内容の一部を再構成したものです。

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NHK会長に天皇廃止論者が就いたこともあった

モーリー:
 永田先生にぜひ伺いたかったんですけど、僕も仕事でNHKに隔週で行っているんです。本当に柔らかい番組で、ほぼうなずくことが仕事なんです。「そうなのか」っていう、リアクション係。外国人枠っていう感じで自分では認識していて(笑)。

 あそこに行くと、NHKという放送局はこんなに巨大で、建物がソビエトのように重々しく、職員も多く、権力があそこまで集中している。なんで日本のNHKってあんなにでかいんですか?

永田:
 私は32年いたんですよ(笑)。これを言えば長くなるんですけども、ラジオの時代、戦前はNHKしかなかったんですよ。やっぱり戦争の時代はとにかく大本営発表っていう言葉があったように、戦争の旗振り一色だったんです。政府の言うことをとにかくそのまま伝える、軍の言うことをそのまま伝えるっていうのが戦争中のラジオですよ。

 戦争に負けましてやっぱり反省っていうのがまずあって、米軍、GHQの占領時代があります。この時代にNHKは悔い改めてやり直すことになったんです。1950年に放送法というのができるんです。この1950年の放送法が現在までも続いているんですけど。

モーリー:
 まだGHQの監視下で一応放送法はつくられているわけですね。もちろん不偏不党。

永田:
 つまり、敗戦直後は共産党も育てようという占領政策ですよ。そういう中で、共和国憲法【※】を提案した高野岩三郎っていう人がNHKの会長になるんですね。つまり、天皇制廃止を言っていた人がNHK会長になるんです。

 今ではそれこそ百田さんとか、長谷川三千子さんとか、安倍さんのお友達みたいな人が経営委員になったりしているわけですね。当時の放送委員っていうのは、荒畑寒村とか、岩波茂雄とか、宮本百合子とか、瀧川幸辰さんとか、今でいえば左翼の人ですよね。

 そういう人たちが共和国憲法の提案者である高野岩三郎さんを会長に選ぶっていう時代です。それをGHQは後押ししていたんです。

※共和国憲法
「日本共和国憲法私案要綱」。主権在民の原則を徹底し、天皇制廃止・共和制樹立の立場を採る憲法草案。

モーリー:
 なぜGHQはあえて占領している日本で、その後敵対することになる共産党もよしとしたんでしょう?

永田:
 軍国主義からの決別ですね。それから、やっぱり急進的な民主化をとにかく進めようとしたんです。だから、共産党の野坂参三っていう人が帰国するんですけれども、彼を総理大臣にしてもいいんじゃないかっていうのは、GHQが言うんですよ。

モーリー:
 で、50年ぐらいをきっかけに今度はソ連陣営と緊張して朝鮮戦争をやって……。

永田:
 共産党追放になるわけです。

日本メディアでNHKが圧倒的な地位にいる理由

モーリー:
 ネットがどんどん普及すると、テレビ局同士が複雑化して、競争して、進化していく。そうすると、こういうニコ生が今多くの人に見られていることでもわかるように、テレビ系列から外れたところでインディペンデントで流れて、しかも急成長しているはずなんですよ。

 ところが、永田さん、日本はNHKが圧倒的に強いですね。どうしてNHKが圧倒的に日本のメディアでまだまだ強いんでしょう?

永田:
 いくつかの理由があると思うんですよ。きょうの未明(2015年9月19日、放送当時)安保法案が強行採決されて、参議院でも可決されたことを受けて、NHKはニュースを、端的に言えば、安倍政権寄りの、非常に批判色の薄い、そういうニュースをひたすら出したわけです。

 世の中全体を見てみると、いろんなメディアがいろんな批判をしているんですけれども、例えばTBSの『NEWS23』とか、『報道ステーション』とか、そういうものが「市民が怒りの声を上げている」みたいなことを丁寧に伝えるのとは対極にある形で、非常に市民の動きに対しては冷ややかでもある。

 もう既に自公が衆参多数派なわけだから、もう法案が通るのはわかっているっていうことを前提にこの4カ月伝え続けたわけですよ。

 そういうことについて、世の中の怒りってどれぐらいのものなのかっていうことで言えば、私はNHKがそういうふうに伝えていることについては極めて残念だっていうふうに思っている人間なんですけれども、世の中全体はそれほど怒っていないっていうふうに思うんです。

永田:
 もちろん怒っている人はたくさんいますよ。NHKの信頼とか支持っていうものはどこからきているかっていうことで言えば、すごく残念なことなんですけども、実は公共放送であって国営放送ではないにもかかわらず、世の中の人はかなりの部分を誤解していて、国がやっている放送なんだから、それほどの間違いはないだろうっていうことで支持していると。

 例えば受信料を払うのはなぜっていうことで言えば、「もうこれは国が決めたことで、税金と同じだから払います」みたいに思っている人が思いのほか多いっていうことです。「公共放送っていうのは、つまり、国営放送と同じでしょ」っていうふうに、これは誤解なんですけども、そういうふうに思って払っている人が非常に多いということです。

モーリー:
 つまり、絶大な信頼がディベートのない状態で、無言のうちに……。

永田:
 「その信頼って何?」っていうことで言えば、いい放送を出している、正確な放送を出しているというよりも、お上の放送だから信頼するっていうことが非常に強いっていうことですね。これは残念なことだと思います。

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