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「日本の大麻解禁には100年かかる」武田邦彦ら研究者が明かす、日本の大麻研究が進まない理由とは

日本の大麻研究が進まない理由

モーリー:
 研究すら縛っている法律が日本にはあるんですか。

武田:
 僕が名古屋大学にいるときに大麻の研究をしようとしたのですが、大麻はもう入手するのが難しいんです。まず僕の場合、研究者っていう認可をとらなきゃいけない。研究者っていう認可をとって、それで入手先をどうのこうのって……。できないのと一緒なんです。

モーリー:
 つまり、結論を出させないように構造上縛っている。

武田:
 はい。それから私は名古屋大学にずっと教授でいましたから、その恩もあります。しかしそれよりか公共のことが大切だから言いますと、あるときに僕はアスベストの研究をしようとしたんですよ。

 ものすごく問題になったときに。そうしたら、大学当局から電話がかかってきまして、「この大学でアスベストを研究しちゃ困るんですけど。評判が悪くなります」って言われた。

モーリー:
 誰かに対して?

武田:
 世間に対して(笑)。

モーリー:
 世間に対して評判が悪くなる?

武田:
 そうそう。名古屋大学で、そういう毒物の、みんなが「いけない」って言うものを研究するのはいけないと。そうしたら、そういう危険なものは「大学で研究できない」って。

 「だけど名古屋大学は国立大学で帝国大学だから、そういうところでやらなきゃどこでやるんだ? 新インフルエンザの患者が出たのに、日本赤十字病院が診ないようなものでしょう。そんなことをしたら、国がだめになっちゃうじゃないですか」と大学の事務に言ったんですよ。だけど……もう、あらゆる抵抗に遭いまして……難しかった。

 だから研究しようと思っても、まず認可が難しいし、入手が難しいし、それから研究するところの管理が、また「みんなが文句を言うから」ってバッシングを恐れて教授に圧力をかけてくる。

 僕みたいに強ければ「表現の自由じゃないか。お前、憲法で捕まるぞ」と言えるけど、普通の人は研究費の額も下がっちゃうし、講座の部屋も汚いところに移されるからっていうので研究なんてやめちゃいますよ。

モーリー:
 例えば憲法学者が安全保障条約、安保法制に対していろんな見解を述べ、結果としてどう言っても社会から叩かれるという現象が最近ありましたけど、こういうのは分かるんですよ。思想や信条ですから。

 でも今ここで語っているのは「物質」であって、「サイエンス」なわけですよね。「サイエンス」が風評を恐れるというのは、ちょっと不健全じゃないんでしょうか。

武田:
 ものすごく不健全。小さな私立大学で収益もギリギリだっていうところだったら、多少風評を気にしてもいいけど。国立の名古屋大学は、山ほどの税金でやっているわけですから。国民のためにアスベストの研究も必要だし、それから大麻の研究も必要なんです。

 だけど、一個認めてくれたものがあって……僕の研究室のシンボルマークは大麻の葉っぱだったんです。

一同:
 (笑)

武田:
 これを研究室の中が認めてくれた。僕は教授だったけど、研究を続けるにはやっぱり研究室の中が合意しなきゃ。

 あとは大学のパンフレットに研究室を載せることになったんだけど、そのときに僕が「これは学問の自由を象徴するものだ。この大学はどんなものでも研究できるというシンボルに、うちでは大麻の葉っぱを使いたい」って、それで武田研究室は大麻の葉をバーンと出して。

モーリー:
 そこはちゃんと後押しをしてくれた?

武田:
 ええ、名古屋大学の正式パンフレットに僕の研究室は大麻の写真が載っている(笑)。

厚労省も動き出している

長吉:
 一方で国も動き始めているような感じがして、要するにアメリカがこういう状況になっていますから、それをずっと見ているわけですよ。一昨年の暮れですが厚生労働省の方に「説明してくれ」って呼ばれて大麻草のことについて説明したんです。

 そのとき彼が言っていたのは、「アメリカの情勢が変わっているので、連邦政府が変われば日本もじきに変わらざるを得ない。そのときに我々が何も知らないということではちょっと困るので」と。

モーリー:
 今からちょっとクッションを入れときたいということ?

長吉:
 クッションを入れときたいというのが一つ。それともう一つは、今後これに対して「薬品会社の動きがどうなるのか」ということを知りたいと。それともう一つは、僕が質問に答えたあと、「これを放置したら、らい予防法【※】と同じような形になるんではなかろうか」みたいなことを彼は言っていたので、ある意味ではしっかりともう見据え始めているのかなとは思います。

※らい予防法
らい(ハンセン病)予防、治療を増進することを目的として制定された。らい予防法の廃止に関する法律とハンセン病問題の解決の促進に関する法律が国会で成立したことにより、この法律は廃止されている。

長吉:
 それと「とにかく連邦法が変われば日本も変わらざるを得ないだろう」という彼の見解ですけれども、役人も考え始めているんだなって。

武田:
 日本はアメリカの属国だからしょうがないかもしれないけど。

モーリー:
 属国にならないためには、どうすればいいんでしょう?

武田:
 やっぱり日本人は誠実でいくことですよ。

モーリー:
 その誠実を具体的に、大麻解禁に落とし込むとすれば?

武田:
 それは科学的なデータを出して、日本人の中で議論をして、そして段階的に合理的な方法に日本人が最終的に幸福になるように法律を決めると。

長吉:
 だから、カンナビノイド【※】をきっちりと科学的に調べればいいんですよ。医療大麻の講演会があって、日本臨床カンナビノイド学会というのをやっているので、こういうのが国内でも始まっているということなんですね。

 なので今、どんどん医療大麻の最新の情報っていうのがあるので、例えばCBDオイル(抗がんオイル)がいいと言われながらも、茎の成分からオイルをとったらどうなのかとか、いろんな議論もあるので、こういうのを調べていくっていうことも必要なんじゃないかなと僕は思うんですよね。

※カンナビノイド
大麻草に含まれる化学物質の総称。

日本の大麻解禁はあと100年かかる?

モーリー:
 誰が猫の首に鈴をつければいいんでしょう。本当は国民がやるべきだけど。

長吉:
 例えばお医者さんに頑張ってもらうとか言うことですかね。あとはもう市民がとにかく頑張るしかない。ただ医療大麻については議員の人たちは議連をつくり始めています。医療大麻だけじゃなくて薬用のハーブみたいなものの中に大麻も入れて。

モーリー:
 産業大麻とか。そういうことに賛同する傾向のある政党っていうのはあるんですか? それとも、それは超党派ですか。

長吉:
 超党派です。でも立候補しちゃうっていうのはどうですかね。だから結局、医療大麻をちゃんと使えるようにするには、大麻取締法の第4条というのがあって、医療用、研究、使用、施術してもいけない。患者としてそれを受けてもいけない、あるいは、それを宣伝してもいけないっていう、ガッチガチな法律があるんですね。

 だからこれをなくさなければ実は医療用としては使えないんです。だからちゃんと法律を変えないと実際には医療用としては使えないんです。

モーリー:
 まずその第4条をなんとかするべきだと。あとやっぱり国民への周知徹底ですよね。ニコ生はこういう番組を流すことを許してくれたわけですけれども、どうやったら広げていけるんだろう。

武田:
 そうですね。なかなか難しい、100年ぐらいかかるかな。

モーリー:
 100年ですか! 2115年に日本の大麻は解禁される。そのころ世界はLSDでも何でも大丈夫になっていたり(笑)。

モーリー:
 今日は、日本ではなぜか説明されるとタブー視されているこの大麻の話題を、深く扱いました。お二人はきょうも勇気あるご出演だったと思うんですけれども、何かご覧になっているみなさんにメッセージを最後にいただけますか。

武田:
 僕は日本はちゃんと合理的な話で、「みんなが言っているから」とか、「村八分」とか、「魔女狩り」とかはやめて、きちっと一つずつをまともにしてもらいたい。日本独自でちゃんと考えるようにしてもらいたいと思っています。

長吉:
 例えば捕まったとしても罪悪感は全く感じる必要はないですし、あるいは一生懸命、栽培している人たちは今後解禁になるために腕を磨いて、どんどん栽培してほしいと思います。

モーリー:
 なるほど(笑)。大胆なご意見をいただきました。

 大麻についてさまざまな考えをお届けしてきましたけれども、現在の日本の法律では、さっきの理不尽な法律は生きています。大麻の所持・栽培は禁じられています。もしそれで捕まったら魔女狩りで99.6%有罪になります。

 なぜなら裁判官がいなくて、検事しかいないからです。興味を持っても、手を出すのは0.4%の確率でしか成功しませんので、おすすめいたしません。それよりも宝くじを買って当てて、コロラドに行ってみてください。

一同:
 (笑)

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