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亀田興毅さん、幼少期に父親からマインドコントロールを受けていた。「ボクシング辞めてお前は何をするんや」

現役時代、ビッグマウスをしていた理由

やまだ:
 本当は全然ビッグマウスではないんじゃないですか。

亀田:
 まあ……ビッグマウスじゃないですか? だって、大きいことばっかり言ってますからね(笑)。

やまだ:
 でもそれもショーのひとつだったんじゃないかと。

亀田:
 面白くする発言とかもありますけど、調子に乗って言ってましたよ。だって17歳の時ですよ(笑)! 西成から出てきてね、学校にもなかなか行っていない様な感じで、そんな子供時代を送ってきてたんですよね。

 そうなるとやっぱり、多少は調子にも乗るでしょう(笑)。まあ、そういうのも全部経験ですよね。初めから完璧な人間なんていてないんですよ。良い事と悪い事と色々と経験して勉強していって大人になっていくんで(笑)。

やまだ:
 ビッグマウスをして、相手に対して強くなるって事はなかったですか。相手が怖くなくなるとか。

亀田:
 対戦相手を怖いと思ったことは、ほんまに1回もないです。

やまだ:
 あんなに命がけの戦いでも!?

亀田:
 負けると思ったら、負けるんじゃないですか。例えば風邪ひくと思ったら風邪をひくんですよ。全部気持ちからなんですよね。だから、絶対に勝つことしか考えてないですもん。その為に試合の相手をまず想像して、練習を積み重ねていったらだんだん自信が付いていくんですよ。

 これがちゃんとした練習ができていない時は、不安もあるんですよ。だからそういう不安が出てこない為にしっかり練習をする。

今、ここにいるのは親父のおかげ

やまだ:
 親父は強いけど、一回逃げようって思ったことはないんですか。

亀田:
 子供の時はボクシングなんてもともとやりたくなかったですから。あれはどちらかと言うと“三兄弟を世界チャンピオンにしたい”という親父の夢じゃないですか。だって別に面白くないじゃないですか(笑)。しんどいし(笑)。

 喧嘩だったら自信はあったんですよ。いざ、リングに上がったらこんなのは簡単だと思っていて、でも一発では相手はまず倒れませんよね。ラウンドの時間はどんどん過ぎていく、そして1分経った時にめちゃくちゃしんどいんです。

亀田:
 これだけしんどくてもたったの1分(笑)。それで俺は速攻ボクシング辞めようと思ったんです(笑)。その時は小学校6年生で、「これは俺にはちょっと無理やな」って思いました。でも、辞めるにも辞められへんし……親父に「じゃあ、お前は何をするんや」って言われて(笑)。

 「何をする、って言われても……わからへんし。ほな、ボクシングやっとこうか」と思って(笑)。そして1ラウンドが次に2ラウンドになって、4ラウンドができるようになって、練習をして出来るようになっていったんです。

やまだ:
 そうなっていくと……面白くなっていくんですか。

亀田:
 面白くはなりませんね(笑)。

一同:
 (笑)

亀田:
 親父からは「今は嫌かもわからん。でも、これはお前らの仕事や。給料はないけれども、体に貯金をしていけ。子供の時に遊ぶことなんて誰でもできる。みんなと一緒の事してどないするんや?」なんて、子供ながらにいろんなことをずっと言われて、一種のマインドコントロールですよね(笑)。

亀田:
 でも、親父がそうやってレールを引いてくれたから俺ら三兄弟は進むことができた。今思えばやっぱり感謝してますよね。今ここの席に座っているのも、三兄弟が世界チャンピオンになったからなんですよね。親父も毎日が戦いやったと思いますよ。自分に子供ができて思いますけど、子供に対して鬼になるのって難しいですよ。

やまだ:
 そうだよね、愛する子供なんだから優しくしてあげたくてもできない。今はお父さん同士の会話とかするんですか。

亀田:
 親父には構、子供のこととか聞いたりしますよ(笑)。

やまだ:
 そういう関係になれたってことは後期君が次のステージに進んだってことかもしれないね。

亀田:
 苦しいことを乗り越えてきたので、家族の絆って強いですよね。

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