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「北朝鮮=反日」と思いきや、現地民はそうでもなかった件。「中国人の方が嫌われてますよ」元・朝鮮総連の職員が語る“反日のリアル”

国交不通の二カ国間をつなぐための障害

安:
 ブリッジ役をするとなった場合、「ダブルシンキング」をしなければならないんですけど。ダブルシンキングというのは、異なる2つの思考を同時に理解、納得して、その対立する思考が、同時に矛盾し合うのをわかっていながら受け入れることなんですけれども、これが出来る人ってなかなかいなくて。このダブルシンキングを実践していくと、必ずぶち当たるのが、「ダブルバインド」っていう状態なんですけど。

ニポポ:
 それはどういう状況ですか?

安:
 2つの矛盾した強制を受ける状態なんですよ。何かと言うと、例えば「Aを支持するなら不利益を与えるぞ。」という強制を与えられるのですが、その次に、「不利益を受けたくなければBを支持しろ。」という強制をまた受ける状態なんですね。ブリッジ役を安易に買って出ると、こういうダブルバインドが四方八方から飛んで来るんです。

ニポポ:
 それはあるね。

安:
 だから、こういうのは生まれながらの、例えば日韓ハーフとか、在日とか、そういったマイノリティーだったらそういう状況に慣れられるのですが、後天的にこれをやろうとすると、もの凄いストレスがかかってくるし、おそらく仕事も失うことになる。これを上手く乗り越えられる人っていうのは、あまりいないですよ。

 だから猪木さんみたいな、ちょっとイッちゃってる人じゃないと、ダブルシンキング、ダブルバインドができなくて、ブリッジ役ができない。だからよっぽどの人でないと、日朝のブリッジ役はできない。

「猪木さんみたいな、ちょっとイッちゃってる人じゃないと、ブリッジ役ができない」画像は猪木氏Twitterより。

ニポポ:
 なるほど。

安:
 このダブルバインドというのは、パワハラとかモラハラにもめちゃくちゃ利用されている手法なので、精神的によほどタフな人でないとできない。

ニポポ:
 うーん。なるほど。

安:
 ただ、私はブリッジ役を必ずしも猪木さんとか、そういうマイノリティー的な人がやるべきだとは思っていなくて、日朝、日本のそれぞれから見た日朝関係とか、拉致問題については日本人が当事者なので、あくまでもマイノリティーはサポート役でしかないと思っているので、そもそもそういうストレスフルになっている状況自体がおかしいというか。そこをちゃんと認識しなきゃいけないのかな、というのがあります。

ニポポ:
 今、ブリッジ役なしでは、物事が進まないという状況にはなってしまってはいるけれども、ここを何とか打破していければね。

安:
 そうですね。

ニポポ:
 でも、どうですか? これ民間で打破していけるものなの? 例えば僕が「北朝鮮の人と仲良くなりたい。」と言って、北朝鮮の人と交流する手段や仲良くなる場、ルートがあったりするものなのですか?

安:
 日朝交渉のですか?

ニポポ:
 日朝交渉とまでは行かなくても、例えば「今、日本はこんな感じで楽しんでますよ。北朝鮮はどうですか?」 みたいな。

安:
 そうですね。本当にハードルが高いんですけど、それが民間交流ではないですかね。よほどの金持ちの暇人か、よほどの朝鮮マニアか。あとは、アジア好きの西洋人でないと、金銭的に北朝鮮に渡航すること自体が厳しい。

ニポポ:
 渡航が本当に高いもんね!

安:
 厳しい状態ですね。

ニポポ:
 所謂オンライン的なやりとりは、まず無理?

安:
 無理でしょうね。

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