あなたの上司は大丈夫? 部下を鬱に追い込む“パワハラ上司”への対処法は「心が病んでいるんだね」とカウンセラー目線で接すること
「部下をうつに追い込む自覚のない上司たち。デキる上司が部下の心を折る原因とは?」というネットニュースが話題になっています。たとえばデキる上司が仕事の遅れている部下に対し、「こうすればいい」と論理的に対処法を教えるとプレッシャーになり、見えないフラストレーションが溜まっていく、とそのニュースでは主張されています。
漫画家の山田玲司氏は軍隊式のシステムを引きずり、イノベーションについていけない企業は精神的に病んでしまうと分析し、職場に自分を追い込むパワハラ上司がいるときの対処法を紹介します。
精神的にうまくいっていない企業は病んでしまう
山田:
上司たちの世代の人には『あしたのジョー』マインドを持っている人がいるんです。
乙君:
そうですね。
山田:
『あしたのジョー』マインドって、団塊世代なんですね。団塊世代のお父さんたちって、軍隊に行っていて「貴様それでも軍人か!」って殴られる経験をしているわけだ。お父さんたちがそうだったんだっていうことで、それが社会的遺伝子として引き継がれていった流れはすごくありますね。
学校って、そもそも軍隊の形を引き継いでいるんですよね、それが企業に引き継がれた。それと同時に、それまでの戦争のスタイルが変わって、目的がお金儲け、利潤追求になっていった。お金儲けが勝利になってくると、要するに「お国の為にお前なんかいらねえんだ」と言われていた時代から「利益の為にお前自身は、いらないんだ。犠牲になれ」という流れが来てしまっていることは、どうしようもない。
これを支えているのは儒教の流れにある体育会系という人たちね。体育会系の奴が就職しやすいと言われるのは、そこで自分を殺すことを慣れていて、自分で考えないで命令に従うということに慣れているから。ブラック企業の中には、そんなかつてのタイプの企業がいっぱいあって、それらの成功例をまだ信じている人たちが、イノベーションを行う次の世代に駆逐されている中で、結果が出ないから更にブラック企業は厳しい状況になっている。
とにかく精神的にうまくいっていない企業は、病んでいるんだよ。昔は経済がうまくいっていなくても、「金じゃねえ心だよ」って精神的に豊かであるとか、貧乏だけど仲間がいるからいいよなっていうのがあったんだけど、ある時期から「結局金でしょ!」ってなって、その「結局の金」がなくなったときに、嫌な感じでねじ曲がっていくんだね……。
すると、たとえば、エコ批判なんかもそうだよね。目的が金だから「綺麗事、言うんじゃねえよ!」と、なるわけだよ。そして、意識高い系も批判して、ゆとりも批判して……、金儲けが成功するとうまくいく社会が、金儲けが成功しなくなると……。
乙君:
ひずみが出ますよね。
山田:
要するに病にかかってしまう。そして上司という立場は、その中で「結果を出せ!」って言われているから、一番歪んでしまって大変なんだと思う。では、そうかと言って、すみやかにそこを退職して、イノベーション系の企業、もしくは自分で起業するか! ……みたいに簡単にはいかないよな。そもそも仕事って個人が能力を向上させて取り組むというよりは、本当に向き不向きだと思うんだよね。
乙君:
ほおー!
パワハラ上司への対処法1「患者だと思え」
山田:
前提として、偉い仕事・偉くない仕事があるとかではなくて、「向いたところに向かえ」っていうのが幸福論として一番正しいと思うんだよね。あんまりお金が儲からないような、みんなに馬鹿にされるような仕事であっても、本人が楽しく仕事が出来れば、それは幸福なんだ。
その認識がない状態で、「稼ぐな基準というの奴は上、稼がない奴は下」みたいが、この病んだ状態を作っているんじゃないかな。
乙君:
では……どうしたらいいですか。
山田:
自分をうつに追い込むようなパワハラ上司がいた場合どうしたらいいか、第一の作戦「主治医作戦」って結構いいと思うんだよね。自分が上司の主治医になったつもりでいる。
乙君:
ほうほう、カウンセラーみたいな?
山田:
上司が、またわけのわかんないこと言ってきたら「はいはい。患者さん、大丈夫ですよー。こちらにどうぞ」と心の中で思っている。俺ね、自分も患者だし、相手も患者だと思うんだ。人間だったらどこか心が病んでいても当然だし、今日はあちらが患者さん、と思えば、許せる部分もあるんじゃないかな?
乙君:
これは新しい対処法ですね。
山田:
次の対処法は「悲しみのバックストーリー製作委員会」